FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:景気後退懸念が強まり全面安

前週末の米国株市場は主要3指数がそろって大幅下落となった。日経平均も寄り付きから大幅安スタートし、その後も下落幅を拡大した。主要国の金融引き締めに伴う景気後退懸念が強まり、全面安商状となった。資源価格の下落を受けてINPEXや三井物産の下げが大きかったほか、自動車関連の下げも目立った。結局、前営業日比722円安の2万6431円と3日続落して終了した。9月第2週(12~16日)の投資部門別売買動向によると海外投資家(外国人)は670億円の売り越しとなり、売り越しは5週連続となった。個人投資家は2784億円の買い越しとなり、買い越しは2週ぶりとなった。信託銀行は1194億円の売り越しとなり、売り越しは4週連続となった。

 

東京外国為替市場:為替介入への警戒感からドルの上値の重い展開

ドル/円は、国内の3連休明けで仲値に向けて本邦輸入勢などのドル買い・円売りが通常より多く持ち込まれ一時144円台へ乗せた。ユーロやポンドなどの欧州通貨に対するドル高が波及した面もあった。午後は、日米金融政策スタンスの違いを意識したドル買い・円売りが優勢になり、一時144.25円程度まで値を上げた。米長期金利が上昇したことも、ドルの押し上げにつながった。しかし、政府・日銀による為替介入への警戒感からドル売り・円買いが強まり、一時143円台半ばへ急落する荒い値動きとなった。ユーロ/ドルは、欧州景気の減速に対する根強い懸念から、ユーロ売り・ドル買い基調が続き、0.96ドル台半ばから0.96ドル前半へ水準を切り下げた。イタリア総選挙で極右政党『イタリアの同胞(FDI)』が第1党になる見通しとなり、同国の政局先行き不安が広がっていることもユーロの重しになった。

 

ドル買い比率低下:前週のFX

QUICKが26日に算出した23日時点の外国為替証拠金(FX)5社合計(週間)の建玉状況によると、円に対するドル買い比率は61.4%と前営業日に比べ3.8ポイント低下した。前週は22日に政府・日銀が24年ぶりの円買い・ドル売り介入に踏み切り、円相場は介入実施後に一時1ドル=140.31円近辺まで上昇した。こうした場面で、相場の流れに逆らって取引をする『逆張り』傾向が強いとされる個人投資家は円売り・ドル買いの持ち高を増やしたが、その後は利益確定などを目的とした円買い・ドル売りなども入り、円に対するドルの買い比率は下がった。『豪ドル/円』取引での豪ドル買い比率は前営業日比から7.7ポイント上昇の64.2%、『ユーロ/円』取引のユーロ買い比率は12.2ポイント上昇の33.7%、『ポンド/円』取引のポンド買い比率は14.2ポイント上昇の70.9%と2020年5月以来の高水準を付けた。

 

22年度末のTOPIX予想水準を引き下げ:大和証券

大和証券は26日付のリポートで、米長期金利想定の引き下げを踏まえ、22年度末のTOPIX予想水準を2070⇒1950に引き下げた。リポートは、23年度のTOPIXの1株当たり利益(EPS)を165.4、米長期金利を3.5%、変則イールド・ギャップ(益利回りと米10年債国債利回りの差)を5.0パーセントポイントと仮定すると、1950という数字が計算されるという。今後、米インフレ率の大幅低下などから米長期金利が低下した場合、TOPIXの水準にも情報修正の可能性が高まるともみていた。なお、足もとのドル高円安基調については『日米金利差と整合的な水準』とも指摘した。20年8月以降のドル/円レートとの連動性の強い日米5年物金利差が、22日以降の米金利上昇により拡大し、23日に3.91パーセントポイントまで広がったことを踏まえ、『23日の1ドル=143.2円は、その日米5年物金利差が示唆する水準に近い』とし、為替介入の効果に疑問を呈していた。

 

市場を動揺させずにドルを引き出すことが可能

米連邦準備制度が外国の中央銀行が利用可能なリバースレポファシリティー、海外・国際金融当局(FIMA)向けレポファシリティーを創設したことで、日銀のような海外の金融当局はそこに多額の現金を預けることができる。そしてこのドルを利用する必要がある場合、市場を動揺させずに引き出すことが可能である。ウォール街のストラテジストは日銀がFIMAレポファシリティーに1100億ドル(約15兆6500億円)余り預けていると推定する。日銀は保有する米国債を現金化する前に、この資金を利用できる可能性がある。

 

トルコリラの対ドルの価値は低下する一方

主要政策金利を13%から12%に引き下げたトルコ中銀は、世界経済の不確実性が高まるなか、鉱工業生産の成長モメンタムと雇用の増加傾向を維持するために必要な政策だと述べている。ただ高騰するインフレを放置したため、リラの対ドルでの価値は低下する一方である。ドル/リラは先週末に18.42リラ手前までドル高リラ安が進行している。昨年12月につけた当時のリラ史上最安値18.36リラ台を通過しており、現状ではドル買いリラ売りの流れを止めるものはない。

 

南ア経済の悪化がランドの重し

先週は南アからは8月の消費者物価指数(CPI)の発表があり、南アフリカ準備銀行(SARB)も0.75%の利上げを決定する等、イベントの多い週だった。今週は南アからは生産者物価指数(PPI)や貿易収支が発表されるが、先週のイベントの注目度が高かったこともあり、今週は経済指標等では動きにくい。SARBと日銀の金融政策の方向性の違いがランド買いを促す反面、南ア経済の悪化がランドの重しになっている。先週は、『これまでにないほど』と言われるほどの電力の負荷制限が行われていたことや、利上げによる住宅ローンの大幅引き上げなど、国内景気は決して良くない環境下にある。

 

為替介入は逆効果となる可能性が高い:JPモルガン

JPモルガンは26日付のリポートで『介入は逆に投機をひきつけ逆効果となる可能性が高い』との見解を示した。リポートでは、介入後にドル/円相場が145円台後半から140円台前半まで5円以上下落したことを踏まえつつ、『そもそも日本は市場の動きを投機筋のせいにして市場の動きをコントロールするこを試み、本当の問題から目を背ける傾向が強い。今回も投機的な動きに対抗しているとしているが、ここまでの円安は基本的にはファンダメンタルズに沿った実需の円売りが大きく、円買い介入を行ったことで、逆にこれから投機的な取引が助長されることになる可能性が高い』と指摘した。その上で、国際決済銀行(BIS)の調査によれば世界の為替市場の1日平均取引額は6.6兆ドル(19年4月中)としながら、『このうち、スポット取引の額は2兆ドルしかない。更にドル/円の取引は全体の13%で2600億ドルだ。そしてそのうち、1日の内にポジションが手仕舞われると考えられる銀行間取引が54%(1400億ドル)を占める。つまり、1日を超えてドル/円相場に影響を与えそうなフローは1日平均1200億ドル程度という計算になる。それでもまだ貿易収支よりは大きいが、実際にはそれ以外のフローも『売ったら買い戻す』、『買ったら売り戻す』というフローも多く、片道切符の貿易収支のインパクトはそれなりに大きくなる』とし、貿易収支のような片道のフローの影響が大きい現状を指摘した。また、今回の介入の額が30日に公表されることを踏まえ、『今回の円買い介入も恐らく1997年12月~98年6月の時と同様、1.3兆円程度の規模で散発的に数回行われるかもしれないが、合計10兆円まではいかないだろう」とみていた。

 

年内あと2回のFOMC会合で100bpの利上げの可能性

FRBの積極的な利上げを筆頭に、世界各国金融政策当局が大幅利上げを実施。FRBは9月FOMCで市場の予想通り3会合連続で0.75%の利上げを決定し、政策金利(フェデラルファンドFF金利の誘導目標)を、3.00-3.25%に決定した。注目となっていたスタッフ予測において、金利見通しが大幅引き上げられた。22年は6月の3.4%から4.4%。23年4.6%、24年3.9%を想定。年内あと2回のFOMC会合で、100BP近く引き上げ、来年第1四半期にも0.25%の利上げが予想されている。パウエル議長は主要なメッセージはジャクソンホール会合から変わっていないと、インフレ抑制のための力強い利上げを来年も継続する計画を明確化した。米国債相場では大幅利上げを織り込み長期金利が上昇し、ドル買いも継続すると予想される。

 

欧米市場イベント

○16:00   デギンドス欧州中央銀行(ECB)副総裁、講演
○16:00   ナーゲル独連銀総裁、講演
○16:00   シムカス・リトアニア中銀総裁、講演
○16:30   パネッタECB専務理事、講演
○17:00   デコス・スペイン中銀総裁、講演
○17:00   9月独Ifo企業景況感指数(予想:87.0)
○22:00   ラガルドECB総裁、講演
○23:00   コリンズ米ボストン連銀総裁、講演
○23:30   センテノ・ポルトガル中銀総裁、講演
○27日01:00   ボスティック米アトランタ連銀総裁、討議に参加
○27日01:00   テンレイロ英中銀金融政策委員会(MPC)委員、講演
○27日01:30   ローガン米ダラス連銀総裁、講演
○27日02:00   米財務省、2年債入札
○27日03:35   オアNZ準備銀行(RBNZ)総裁、ブリーフィング
○27日05:00   メスター米クリーブランド連銀総裁、講演
○アジア開発銀行(ADB)年次総会(マニラ、30日まで)

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