FITS エコノミックレポート

朝の市場コメント!

米国株式市場は続落:金融引き締めにより景気後退懸念から売り優勢

NYダウは522.45ドル安の30183.78ドルと6月17日以来約3ヵ月ぶりの安値、ナスダックは204.86ポイント安の11220.19ポイントと7月1日以来の安値で取引を終了した。連邦準備制度理事会(FRB)が連邦公開市場委員会(FOMC)で利上げピークを示唆する可能性などを期待した買いに寄り付き後は上昇した。FOMCが市場の予想通り3会合連続で0.75%の利上げを決定し、FRBのスタッフ予測で金利見通しが大幅に引き上げられ金利先高観が強まり、売りに転じた。同時に、景気後退リスクを受けた売りも強まり、引けにかけて主要株式指数は下げ幅を拡大し終了した。VIX指数は27.16から27.99へ上昇した。

 

NY外国為替市場:タカ派的なFOMC結果受け全般ドル買い優勢に

ユーロ/ドルは、『プーチン露大統領は軍の部分動員令に署名した』と伝わると、ウクライナ情勢の一段の悪化が懸念されて、経済・地理的に影響の大きい欧州通貨に売りが先行した。注目の米連邦公開市場委員会(FOMC)では3会合連続となる0.75%の大幅利上げが実施され、同時に公表された政策金利見通し(ドット・チャート)は2022年末で4.4%、23年末で4.6%と前回6月時点(22年末3.4%、23年末3.8%)から大幅に引き上げられた。市場では『ドット・チャートでは予想より高いターミナルレート(利上げの最終地点)と24年まで利下げが想定されていないことが示された。想定以上にタカ派的な内容だった』との声が聞かれ、米10年債利回りが一時3.6243%前後と11年2月以来の高水準を記録した。全般ドル買いが優勢となり、一時0.9814ドルと02年10月以来約20年ぶりの安値を更新した。なお、パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長が定例記者会見で『今後の利上げペースは経済データ次第』『いつか利上げペースを落とすのが適切になるだろう』などと発言すると、米10年債利回りが3.49%台まで低下した。ユーロ/ドルにも買い戻しが入り0.9910ドル付近まで下げ渋る場面もあったが、戻りは限定的だった。 

 

ドル/円は、米金融政策の影響を受けやすい米2年債利回りが急伸し、4%を突破すると全般ドル買いが先行した。FOMCが0.75%の利上げを決め、インフレ抑制に向け今後も大幅利上げを継続する方針を示すとドル買いが加速し、一時144.70円まで上値を伸ばした。ただ、7日に付けた約24年ぶりの高値144.99円には届かなかった。パウエルFRB議長の会見を受けて米長期金利が低下に転じると、全般ドル買いの勢いが後退し、ドル円も143.41円付近まで下押しした。主要通貨に対するドルの値動きを示すドルインデックスは一時111.58と02年6月以来の高値を付けたあと110.61付近まで上げ幅を縮めた。

 

NY原油先物市場は続落:金融引き締めによる景気減速への警戒感から売り

NY原油先物市場は82.49ドル-86.68ドルのレンジ相場となった。ウクライナを巡り欧米と産油国ロシアの対立が深まるなか、エネルギー供給逼迫への懸念を背景に時間外では買いが先行した。ただ、主要国が金融引き締めを強化するなか景気減速への警戒感は根強く、一巡後は再び上値を切り下げる動きとなった。米エネルギー省(EIA)週間石油在庫統計では原油とガソリンが共に積み増しとなったことも相場の重しとされた。ロンドン市場の序盤にかけて86.68ドルまで買われた後、ニューヨーク市場で反落。米連邦公開市場委員会(FOMC)会合の結果判明後に82.49ドルまで下げた。ただ、調整目的の売りが一巡した後は下げ渋り、通常取引終了後の時間外取引では主に83ドル台で推移した。 

 

NY金先物市場は3日ぶりに反発:地政学的リスクの高まりから買い優勢に

NY金先物市場は1661.30-1696.90ドルのレンジ相場となった。時間外から買い先行した。プーチン露大統領が『軍の部分動員令』に署名したことが伝わると、ウクライナでの戦闘激化への懸念から安全資産の金に資金が向かった。もっともNY勢の参入後はFOMCを控えて米2年債利回りが上昇基調を強めたことや、為替相場でドル高が進行したことなどが重しとなって伸び悩んだ。米連邦公開市場委員会(FOMC)会合の結果判明後に1661.30ドルまで下げたが、米長期金利の低下を受けて1696.90ドルまで買われる場面があった。ただ、米金利見通しは引き続き不透明であり、通常取引終了後の時間外取引では主に1690ドルを下回る水準で推移した。

 

米国債券市場はまちまち:米国株の急落により長期ゾーンに買い

米国債券市場で中期ゾーンは続落(利回りは上昇)した。米2年物国債利回りは前営業日比0.07%高い(価格は下落)4.03%で終了した。また、長期ゾーンは反発(利回りは低下)した。米10年物国債利回りは前営業日比0.03%低い(価格は上昇)3.53%で終了した。米連邦準備理事会(FRB)が今日まで開いた米連邦公開市場委員会(FOMC)で0.75%の利上げを決め、金利見通しで一段の大幅利上げを示唆すると債券売りが優勢になった。利回りは一時3.6243%前後と2011年2月以来の高水準を付けた。ただ、パウエルFRB議長が定例記者会見で『今後の利上げペースは経済データ次第』『いつか利上げペースを落とすのが適切になるだろう』などと発言すると、債券を買い戻す動きが優勢となり、上げに転じた。米国株相場が急落したことで、安全資産とされる米国債の買いを促した面もある。米金融政策の影響を受けやすい米2年債利回りは一時4.1168%前後と07年10月以来の高水準を付けた。

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