FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:世界景気の減速懸念が重荷となる展開

前日の米国市場が休場で手掛かりを欠く中、前日終値を挟んだ一進一退の動きとなった。前日まで4日続落しており、自立反発を期待した買いが先行して反発で始まった。短時間でマイナスに沈んだが、米株先物が堅調となる中で持ち直し、一時190円超高に上昇する場面もあった。値がさの半導体関連などが上値を伸ばし、指数の押し上げに寄与した。ただ、世界景気の減速懸念が重荷になり、下げに転じる場面もあった。結局、前日比6円高の2万7626円と5営業日ぶりに反発した。

 

東京外国為替市場:仕掛け的なドル買いが入り一時141円台乗せ

ドル/円は、持ち高調整などのドル売り・円買いが先行し、一時140.25円付近まで下落した。仲値にかけて本邦輸出勢のドル売り・円買いが通常より多くみられたこともドル/円の押し下げにつながった。ただ、休場明けとなる米国市場の株価動向や8月米ISM非製造業景況感指数を見極めたいとの雰囲気もあり、下値を追う動きは限られた。その後は、日米金融政策スタンスの違いを意識したドルの押し目買いが入り、140.50円付近へ値を持ち直した。午後のドル/円は、米長期金利が上昇すると、仕掛け的なドル買い・円売りが持ち込まれ、節目の141円を上抜け、一時141.08円付近まで上昇、約24年ぶりの高値を更新した。ユーロ/ドルは、0.99ドル台半ばで方向感に欠ける展開となった。欧州勢待ちの様相となっている。

 

中国人民銀行は外貨良き準備率を引き下げ:元安進行を緩和する狙い

中国各地で続くコロナ対策の厳しい行動制限や米国の金利上昇懸念で、元を売りドルを買う動きが広がっている。中国人民銀行(中央銀行)は5日、金融機関から外貨の一定割合を強制的に預かる外貨預金準備率を現行の8%から6%に引き下げると発表した。15日に適用する。市中に外貨の出回る量を増やすことで元売りの動きを抑制し、元安進行を緩和する狙いとみられる。

 

ユーロ圏の投資家センチメントはさらに悪化:センティックス

独調査会社センティックスが5日に発表した9月のユーロ圏投資家信頼感指数(総合)はマイナス31.8と前月比で6.6ポイント低下し、2020年5月以来の低水準となった。現況指数も前月比10.2ポイント低下のマイナス26.5と21年2月以来の低水準だった。期待指数は同3.2ポイント低下のマイナス37.0と、リーマン・ショック後の金融危機がピークだった08年12月以来の低水準に沈んだ。ユーロ圏の景気後退(リセッション)入りは避けられないというほどに投資家のセンチメントは落ち込んだ。センティックスは『すでに深刻な景気後退局面に入っている可能性が高い。現在の経済的混乱は、03年のITバブル株の崩壊、12年の欧州債務危機、20年の新型コロナウイルスの感染拡大によるロックダウン(都市封鎖)による崩壊に匹敵する。20年の崩壊時は中央銀行による巨額の金融支援で事態が好転したが、現在はインフレ沈静化も中央銀行から支援も期待できない』と悲観的である。

 

ロシアの外貨買いでトルコリラが含まれるか注目

先週はロシアが、友好国の通貨を対象に700億ドル規模の外貨買いを行う可能性が報じられた。友好国にはトルコも含まれるとの思惑からリラは対ドルで一瞬だけ買われたが、直ぐに水準を戻している。報道によれば、ルーブル高を緩和させるため、ロシアは今年中にも外貨買いを実施したいようである。外貨が喉から手がでるほど欲しいトルコとしては、悪い話ではないように聞こえる。ただ、ロシアはドルやユーロへのアクセスを制限されているため、ルーブルとリラのスワップ取引になってしまうかもしれない。そうなった場合は、見かけの外貨準備高を増やすだけになってしまう。

 

南アでは政治混迷が地方自治体にも広がっている

先週、9月1日の南アフリカ人権委員会 (SAHRC) の会議で、ラマポーザ南ア大統領が演説を行った。大統領は地方自治体の失敗について述べ、このままでは地方自治体が持続可能ではないと発言した。地方自治体の問題点として『政治的論争と内紛』『スキルの欠如』『法律上の規定を順守しない』『貧弱なガバナンス』『説明責任の欠如と』『腐敗の蔓延』などが挙げられる。会計検査院長官の最近の報告によると、南アフリカの257の地方自治体のうち100の自治体が非適格監査を受けている。会計検査の責任者は『今年の監査結果を見ると、地方自治体の透明性、説明責任、パフォーマンス、または整合性の状態に改善がないことが明らか』と指摘した。これが意味することは、多くの地方自治体が基本的なサービスを提供できず、診療所や病院の建設および改善、道路を修理したりすることができないということである。南アの政治的混迷は地方自治体にも広がっており、今後の改革が急務となっている。

 

メキシコの国内イベントの注目点

国内イベントの注目としては、8日の8月消費者物価指数(CPI)になる。現時点での予想は+8.66%と中銀の目標レンジからは明らかに逸脱しており、さらなる利上げが必要になることが数字で証明されている。先週に発表されたメキシコ中銀のインフレレポートでは年末時点での予想を+8.1%としており、今後は9月以降、鈍化するとの見通しになっているが、仮に来月以降のデータでも鈍化が確認されない場合にはさらなる利上げ期待が高まることになる。

 

市場のターミナル・レートの見通しを注視:4%以上の利上げ意識なら円売り

市場では来年にかけて米政策金利FFのターミナル・レート(利上げの最終到達地点)は3.8%前後に達するという見方が50%強に上ってきた。すでに織り込みは進捗しつつある。今週以降は米国の指標悪化やインフレ懸念の緩和、資源下落、FRB幹部による過度な利上げ前のめり姿勢の後退など、ちょっとした材料で過熱調整的なドル安・円高に振れる短期余地も残されている。ターミナル・レートについては、予想中心が現状の3.8%から4%前後でとどまっている限り、織り込み進捗もあって、ドル/円は『140円前後でドルは底堅いも上値は限定的』というレンジ相場入りの可能性がある。一方で先行き4%以上の利上げ余地が意識されてくると、145円や1998年のドル高値147円、150円方向への『ドルの先高観測』が広がってくる可能性が注視される。

 

タカ派衝動は欧州からもたらされる可能性:ゴールドマン

ゴールドマン・サックスは5日付のリポートで、リスク資産の急落が8月中旬に始まったとしながら、『8月以降、債券利回りは実質金利にけん引されて急激に上昇したが、少なくとも英国以外ではブレークイーブン・インフレ率は大幅に低下している。実質金利の上昇は、ハト派的なFRBの方向転換に対する投資家の期待が失望となり、ECBのシュナーベル理事がよりタカ派的なメッセージを送ったため、ジャクソンホール会合後に加速した』との見解を示した。リポートでは、2日の米雇用統計を受けてやや相場が戻したものの、米10年債利回りは名目・実質共に新型コロナウイルスの感染拡大後の第高値に迫っており、『再び株式市場を圧迫し始めている』と指摘した。その上で、『現段階では、世界的なタカ派の衝動に対する最大の貢献は欧州からもたらされる可能性がある。エコノミストらは、ECBが今週、利上げペースを上げて75bpの利上げを行い、BOEも50bpベースの利上げを行うと予想している』とし、欧州株安のヘッジ手段としてドル金利のレシーブの売りを推奨していた。

 

米国市場では8月ISM非製造業景況指数が公表:予想は55.2

7月実績は56.7で6月実績を上回った。物価上昇圧力が多少緩和したことが要因となった。8月については、ガソリン価格の下落は好材料だが、人員や資材の不足が解消されていないこと、インフレが引き続きサービス業の障害になっていることから、7月実績を下回る可能性がある。

 

欧米市場のイベント

○15:00   7月独製造業新規受注(予想:前月比▲0.7%/前年同月比▲13.4%)
○17:30   8月英建設業購買担当者景気指数(PMI、予想:48.0)
○18:30   4-6月期南アフリカ国内総生産(GDP、予想:前期比▲0.8%/前年同期比0.6%)
○22:45   8月米サービス部門PMI改定値(予想:44.2)
○22:45   8月米総合PMI改定値(予想:45.0)
○23:00   8月米ISM非製造業指数(予想:55.1)
○トラス英新首相任命

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