FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:米国株安に連れて売り優勢に

前日の米国株式市場では、大幅続落となった。週内に米ワイオミング州ジャクソンホールで開催される経済シンポジウム(ジャクソンホール会合)で、パウエル議長がインフレ抑止に向けた強いコミットメントを表明するとみられることが懸念材料となった。日本株も米国株の下げに歩調を合わせて軟化した。夏休みシーズンが続いているためか、引き続き商いは低調となっている。ただ、日本株については第1四半期の決算発表をにおいて割安と確認されたとの声も聞かれ、それが株価を支える要因になった。米長期金利の上昇がグロース(成長)株の重荷となった面もある。結局、前営業日比341円安の2万8452円と4日続落して終了した。

 

東京外国為替市場:137円台前半まで下落後狭いレンジ相場

ドル/円は、前日のNY市場で米長期金利の上昇を手がかりに堅調だった流れを引き継ぎ、137.71円付近まで値を上げて約1ヵ月ぶりのドル高・円安を更新する場面があった。しかし、日経平均株価の大幅安でリスク回避姿勢が強まっており、積極的な上値追いは手控えられた。その後、急ピッチの上昇に対する警戒感から利益確定やポジション調整のドル売り・円買いが持ち込まれ、137円台前半へ下落した。一部メディアが『ロシアが数日内にウクライナ攻撃を強化する可能性がある』と報じたことも円買いを誘った。午後は、日経平均株価や米長期金利を睨みながら、137.20円台を中心とする狭いレンジで取引された。今晩は米国株動向や米経済指標を見極めたいとのムードが広がっている。ユーロ/ドルは、ウクライナ情勢の緊迫化を警戒して一時0.9915ドル付近まで下落し、およそ20年ぶりのユーロ安・ドル高を更新した。エネルギー供給不安で、欧州の景気減速懸念が強まっていることもユーロ売りにつながった。

 

海外勢の『日本国債ショート』の中立化と生損保の『外債からの回帰』

日本証券業協会が公表した7月の公社債店頭売買高(短期国債を除く)では、海外勢による買い戻しが鮮明だった。中期・長期・超長期債ともに買い越し、総額5兆3582億円はデータを遡ることができる1998年1月以降で最多となった。6月の日銀金融政策決定会合に絡んだ政策修正への期待で海外勢を長期債を中心に『日本国債ショート』のポジションを構築したが、7月には長期債と超長期債の買い越しでポジションの中立化を急いだようだ。生損保の超長期債の買い越しも4590憶円と3月以来の高水準となり、『外債投資から日本国債への回帰』が示される格好となった。

 

欧米市場では8月S&Pグローバル製造業PMIが公表:予想は49.0

7月実績は49.8で節目の50を下回った。高インフレが続いていることや欧州向け天然ガスの供給不足などの影響があった。8月については、大幅な改善は期待できないため、製造業PMIは2ヵ月連続で50を下回る可能性がある。

 

トルコ中銀による利下げ後も意外と底堅いリラ

エルドアン・トルコ大統領が利上げを否定する発言をしたが、市場の反応は限られた。リラ/円は先週のトルコ中銀によるサプライズ利下げ後も意外と底堅いという印象である。昨日は欧米株式市場が軟調に推移した一方、イスタンブール株式市場は強含み、こちらもリラ買い戻しに繋がった。しかしながら、ドル/リラは依然として18リラ台とリラ安水準での値動きであり、対ドル主導でリラ売りが強まることへの警戒感は常に持っておく必要がある。なお、欧州の景気減速を危惧する声が高まっており、同地域に輸出の多くを依存するトルコの経済にとっても他人事ではない。本日はユーロ圏主要国や英国の8月製造業/サービス部門PMI速報値が発表される。さえない結果となるようなら、リラも伸び悩むことになりそうである。 

 

南アでは4-6月期の失業率が発表:雇用問題がランドの重し

本日は南アから4-6月期の失業率が発表される。昨年末と比較すると徐々に失業率は改善傾向にありるが、それでも35%近い結果が出るとの予想である。24日には大規模ストライキが行われ、公務員組合の労使交渉の進展もみられないことで、雇用問題は南アおよびランドに重くのしかかりそうである。

 

メキシコペソは外部要因に左右される展開が継続

今週は25日にメキシコから4-6月期メキシコGDP確定値などの発表が予定されているが、確定値ということもあり、相場への影響は限られる。投資家のリスク志向やドル円相場などの外部要因に左右される展開が続きそうである。今週末には米カンザスシティー連銀主催のジャクソンホール会議で、パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長の講演が予定されている。足もとでFRB高官からタカ派発言が相次いでいることを考慮すると、ドル/円は日米金利差拡大への思惑から底堅い展開が続くと予想され、ペソ円もつれてしっかりとなりそうである。

 

米中間選挙で民主党の支配確率を上方修正:ユーラシア

米NBCニュースが21日に発表した世論調査では、11月の米中間選挙に関して共和党と民衆党のどちらが支配する議会を望むかとの問いに、共和党は47%、民主党が45%と拮抗していた。トランプ前大統領の不正疑惑に対する調査については、『継続すべき』が57%で、『継続すべきでない』の40%を上回った。ユーラシア・グループは23日付リポートで、『(インフレ抑制法案やCHIPS法など)立法面での成功、ガソリン価格の下落、元大統領のドナルド・トランプ氏に関する報道が続いていること、上院の弱い候補者たちの状況を踏まえると、共和党が上院で過半数を得るチャンスを損ない(確率は60%から55%に低下)、下院で過半数を取る確率をわずかに下げている(90%から85%に)』と指摘した。

 

米国市場ではS&Pグローバルサービス業PMIが公表:予想は49.2

7月実績は47.3に悪化し、2020年5月以来の低水準になった。高インフレや金利上昇、消費者信頼感の悪化などを背景に経済が停滞している状況を示唆した。8月については、大幅な改善は期待できないため、サービス業PMIは2ヵ月連続で50を下回る可能性がある。

 

欧米市場イベント

○16:15   8月仏製造業購買担当者景気指数(PMI)速報値(予想:49.0)
○16:15   8月仏サービス部門PMI速報値(予想:53.0)
○16:30   8月独製造業PMI速報値(予想:48.2)
○16:30   8月独サービス部門PMI速報値(予想:49.0)
○17:00   8月ユーロ圏製造業PMI速報値(予想:49.0)
○17:00   8月ユーロ圏サービス部門PMI速報値(予想:50.5)
○17:30   8月英製造業PMI速報値(予想:51.1)
○17:30   8月英サービス部門PMI速報値(予想:52.0)
○18:30   4-6月期南アフリカ失業率(予想:35.0%)
○20:00   パネッタ欧州中央銀行(ECB)専務理事、講演
○22:45   8月米製造業PMI速報値(予想:52.0)
○22:45   8月米サービス部門PMI速報値(予想:49.2)
○22:45   8月米総合PMI速報値
○23:00   8月ユーロ圏消費者信頼感指数(速報値、予想:▲28.0)
○23:00   7月米新築住宅販売件数(予想:前月比▲2.5%/57.5万件)
○23:00   8月米リッチモンド連銀製造業景気指数(予想:▲4)
○24日02:00   米財務省、2年債入札

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