FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:好業績銘柄が下支え

好調な米雇用統計を受けて連邦準備理事会(FRB)が積極的な利上げを継続するとの懸念が再燃した一方、好決算を手掛かりに業績堅調な銘柄が物色された。日経平均は上値も重く、伸び悩んだ。市場では、米金融引き締めへの警戒感が菜園する中、10日に発表される米消費者物価指数(CPI)に関心が寄せられており、見極めたいとのムードも高まった。結局、前営業日比73円高の2万8249円で終了し、3月29日以来の高値を付けた。

 

東京外国為替市場:135円台前半で方向感に乏しい値動きが続いた

ドル/円は、5日に発表された7月米雇用統計の強い数字を好感して、海外勢などがドル買い・円売りに動き、135.58円付近まで上昇した。日経平均株価がマイナス圏からプラス圏へ転じたことも、リスク回避姿勢を和らげて円売りを誘った。しかし、高値警戒感から上値では利益確定や持ち高調整のドル売り・円買いが見られ、135円台前半へ押し戻された。午後のドル/円は、手掛かり材料難から積極的な売り買いは目立たず、135円台前半で方向感に乏しい値動きが続いた。10日に発表される7月米消費者物価指数(CPI)のイベントを前に、様子見ムードが広がった。内閣府が14時に発表した7月景気ウォッチャー調査(街角景気)によると、現状判断指数は43.8と予想の51.5を下回ったが、ドル/円相場への影響は限定的だった。ユーロ/ドルは、1.01ドル台後半で小動きに終始した。欧州勢待ちの様相となっている。

 

ドル買い比率が低下:前週のFX概況

QUICKが8日に算出した店頭の外国為替証拠金(FX)5社合計の建玉状況によると、『ドル/円』取引で総建玉に占めるドル買い比率は5日時点で63.6%だった。前の週末から6.7ポイント低下した。7月の米雇用統計が雇用情勢の堅調さを映す結果となった。米連邦準備理事会(FRB)が積極的な利上げを続けるとの観測が強まり、円安・ドル高が進んだ局面で個人投資家は利益確定を目的とした円買い・ドル売りに動いた。5日に発表された7月米雇用統計では、非農業部門の雇用者数が前月比52万8000人増と市場予想(25万8000人増)を大きく上回った。失業率が低下したほか、賃金も高い伸びが続いたことで円相場は1ドル)135円台まで急落する場面があった。『4日までに個人のドル買い比率は上昇しており、米雇用統計を受けて円売り・ドル買いのか持ち高を縮小する動きが広がった。』

米ドル以外の通貨ペアであるクロス円取引でも円買い・外貨売りが目立った。『オーストラリアドル/円』取引では、豪ドル買いの比率が前の週末から5.1ポイント低い58.8%となった。『ユーロ/円』取引ではユーロ買い比率が5.5ポイント低下の38.3%、『ポンド/円』取引のポンド買い比率は56.0%と5.7ポイント低下した。

 

トルコ中銀による金融政策の軌道修正が必要:オランダ金融大手ING

先週トルコ統計局が発表した同国7月消費者物価指数(CPI)は前年比79.6%と1998年以来の高水準を記録した。CPIの結果を受けてオランダ金融大手INGは、同指数は今年の秋には85-90%まで加速すると予想した。その後は年末にかけて約70%付近まで低下すると見込んでいるものの、価格動向が悪化する可能性やリラ安の影響で、インフレリスクは上向きとした。インフレ抑制のためには、トルコ中銀による金融政策の軌道修正が必要とINGのチーフエコノミストは指摘している。しかしながら、エルドアン大統領は『金利が下げれば、インフレ率も低下する』という主張を譲るつもりは全くない。その権力者に中銀・金融政策委員会(MPC)が逆らえるはずもなく、政策金利の見通しは、基本路線が現行14.00%でしばらく維持、悪いパターンだと大統領が望む利下げも可能性ゼロではない。そのトルコ中銀は先月末、四半期レポートで年末インフレ見通しの中心値を60.4%とした。前述のINGとは約10ポイントの開きがあり、やはり公的機関は楽観的であるとの声も聞かれる。ただ先週後半にかけて原油などのエネルギー価格が低下基調を強めたことは、明るい兆しかもしれない。

 

南アからポジティブなニュースを探すのが難しい状況

南アからはポジティブなニュースを探すのが難しい状況は変わりはない。先週も電力の負荷制限が週後半からステージ4に引き上げられ、公務員組合によるストライキも継続されるなど、経済や社会不安となるニュースが多く、ランドを積極的に買うのは難しそうである。引き続き米金利の動向を中心にランド相場は上下しそうだが。ネガティブな要因が多すぎることで上値は限られると思われる。

 

メキシコペソは11日の金融政策を控え動きにくい展開

CPIと金融政策発表という重要指標が控えているが、基本的にはペソにとってマイナス材料となる可能性は低く、順当にいけば金利先高期待からのペソ買いを期待したいところである。まず、CPIについては21年ぶりとなる8%台に乗せることが想定されており、すでに中銀の四半期目標は超えている状況であり、この結果によって週後半に予定されているメキシコ中銀の金融政策決定会合での利上げ期待につながることになる。中銀は2会合連続で0.75%の異例の大幅利上げを実施するとの予想が大勢となっており、声明にて今後も同ペースの利上げが実施されるかどうかの姿勢を窺うことになる。また、ここ最近は全会一致での利上げ決定であるが、ハト派とされるヒース副総裁やエスキベル副総裁が利上げ幅を縮めてくるかどうかにも注意が必要である。

 

バフェット氏のバークシャーは4-6月期に株式を買い越し

著名投資家ウォーレン・バフェットの投資・保険会社バークシャー・ハサウェイは4-6月(第2四半期)の株式を38億ドル(約5100億円)買い越した。6日の決算発表から分かった。S&P500種株価指数は第2四半期に16%下落、押し目買いの好機を生かした格好である。前年同期は株式を売り越していた。第2四半期の営業利益は92億ドル。保険と鉄道事業が寄与した。ただ、個人向け自動車保険のガイコは4億8700万ドルの引き受け損失を計上した。中古車価格上昇と自動車部品不足が原因で保険金請求が増えたという。投資ポートフォリオの530億ドルの損失のため純損益は438億ドルの赤字となったが、バークシャーは会計規則によるもので実際のパフォーマンスを示すものではないと説明している。

 

米雇用統計では大幅利上げに耐え得るに十分な程強いとの見解

最新7月雇用統計も失業率が3.5%と予想外に6月3.6%から低下し、パンデミック前の20年2月以降で最低と、50年ぶりの低水準付近を回復した。非農業部門雇用者数は前月比+52.8万人と、6月から伸びの縮小予想に反して大幅拡大した。2月来で最大となった。6月分は+39.8万人と、+37.2万人から上方修正されたほか、5月、6月の2カ月で2.8万人上方修正された。平均時給は前年比+5.2%と、伸びの鈍化予想に反して6月と同水準を維持。6月分も5.1%から5.2%へ上方修正。賃金インフレの上昇も懸念される。失業率が50年ぶりの低水準で雇用者数が50万人超増の強い労働市場のもと、景気後退入りの可能性は少ない。パウエル議長はじめ、FRB高官が主張していた労働市場が依然力強く、ひっ迫しており、米国経済が大幅利上げに耐え得るに十分な程強いとの見解を、最新雇用統計の結果は裏付けた形となった。

 

欧米市場イベント

○14:45   7月スイス失業率(季節調整前、予想:2.0%)

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