FITS エコノミックレポート

朝の市場コメント!

米国株式市場はまちまち:地政学リスクの高まりを嫌気した売り

NYダウは85.68ドル安の32726.82ドル、ナスダックは52.42ポイント高の12720.58ポイントで取引を終了した。週次失業保険申請件数の増加で、雇用減速を警戒した売りに、寄り付き後は下落した。さらに、ペロシ下院議長の台湾訪問を受け、台湾を包囲した軍事演習中の中国が試射したミサイルが台湾上空通過の可能性が高いとの報道を受け、地政学的リスクの上昇を警戒した売りに一段安となった。NYダウは終日軟調に推移した。ただ、7月米雇用統計を前に投資家の様子見ムードも強く、方向感に欠ける展開だった。 金利の低下で、ナスダック総合指数は底堅く推移し、プラス圏を維持し引けた。VIX指数は21.95から21.44へ低下した。

 

NY外国為替市場:地政学リスクの高まりからリスク回避の円買い

ドル/円は、『中国軍が台湾東部沖に発射した複数のミサイルが日本の排他的経済水域(EEZ)内に落ちた』と伝わると、リスク回避の円買い・ドル売りが先行した。米長期金利の低下に伴うドル売りも出て、一時132.77円と日通し安値を更新した。テクニカル的なポイントとして意識されていた一目均衡表雲の上限133.71円を下回ったこともドル円の戻りを鈍くした。なお、岸信夫防衛相は4日夜、中国軍が発射した弾道ミサイル5発が日本のEEZ内に落下したことを受けて、臨時記者会見を開き『我が国の安全保障、国民の安全に関わる重大な問題。強く非難する』と表明した。

 

ユーロ/ドルは、米長期金利の低下に伴うユーロ買い・ドル売りが優勢となり、一時1.0254ドルと日通し高値を更新した。世界的に感染が拡大しているサル痘を巡り、米政府が公衆衛生上の緊急事態を宣言したこともドル売りを誘った。

 

NY原油先物市場は続落:需給ひっ迫の思惑が後退して売り優勢に

NY原油先物市場は87.55ドル-91.90ドルのレンジ相場となった。前日、米エネルギー情報局(EIA)が発表した原油・ガソリン在庫が予想に反して積み増しとなったことや、欧米を中心に世界景気後退懸念が根強いことを背景に原油相場のさえない動きが継続した。9月物は中心限月として2月中旬以来の90ドル割れとなった。ロンドン市場で91.90ドルまで戻したが、需給ひっ迫の思惑後退で売りが強まり、ニューヨーク市場の後半にかけて87.55ドルまで一段安となった。通常取引終了後の時間外取引では主に88ドルを挟んだ水準で推移した。 

 

NY金先物市場は反発:地政学リスクとドル安を意識した買い優勢

NY金先物市場は1779.40-1812.00ドルのレンジ相場となった。ペロシ米下院議長の訪台に反発し、中国人民軍は予告通りに台湾付近で軍事演習を開始した。地政学リスクの警戒感で安全資産の金に買いが入った。また、為替相場でドル安が進んだのも金の買いを後押した。アジア市場で1779.40ドルまで売られたが、ユーロ高米ドル安の相場展開となったことから、ニューヨーク市場の序盤にかけて1800ドル台に上昇した。一時1790ドル近辺まで反落したが、米長期金利の低下を意識した買いが入ったことで1812.00ドルまで買われている。通常取引終了後の時間外取引では主に1810ドルを挟んだ水準で推移した。 

 

米国債券市場はまちまち:世界的な景気後退懸念や台湾情勢の緊迫懸念を意識

米国債券市場で中期ゾーンは前日比変わらずだった。米2年物国債利回りは前営業日比変わらずの3.06%で終了した。また、長期ゾーンは続伸(利回りは低下)した。米10年物国債利回りは前営業日比0.02%低い(価格は上昇)2.69%で終了した。英中銀(BOE)が示した見通しで世界的な景気後退懸念が意識されたほか、台湾情勢の緊迫懸念が依然として強く、相対的に安全資産とされる米国債に買いが入りやすい地合いとなった。 

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