FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:過度なリスク回避の動きが緩和された買い

ペロシ米下院議長の訪台に伴う米中の緊張感は想定以上には高まらず地政学リスクへの警戒感がいったん和らいだほか、円安進行も支えとなり日経平均は堅調に推移した。ただ、節目の2万8000円を前に上値の重さも意識され、前場引けにかけてはもみ合う展開となった。好決算を発表した銘柄への物色が活発になったほか、産業別では昨日大きく下落した精密機器、機械などが買い戻された。もっとも、本日の上昇は米中関係緊迫化の懸念や円高などの不安材料が一時的に払しょくされただけとの声も聞かれ、『何か中身のある反発とは言えない』との指摘もあった。結局、前日比147円高の2万7741円と反発して終了した。信用評価損益率は7月29日申し込み時点でマイナス11.17%と、前の週のマイナス11.03%からマイナス幅が0.14ポイント悪化した。悪化は2週ぶりとなった。

 

東京外国為替市場:ドル/円は荒い値動きに終始

ドル/円は、本邦輸入勢などのドル買い・円売りや日経平均株価の反発に支えられ、133円台前半から133.90円付近へ上昇した。前日にFRB当局者から金融引き締めに前向きな発言が相次ぎ、日米金融政策スタンスの違いが鮮明になっていることもドル買い要因となった。その後、米長期金利低下を眺めたドル売り・円買いが入り、133.00円付近へじり安となった。ペロシ米下院議長と台湾の蔡英文総統の会談が始まったと報じられ、米中関係の悪化が警戒されたこともドル/円の押し下げにつながった。午後に入ると、台湾国防部が『中国軍が軍事演習で台湾領内に侵入した』『領土主権を侵す行動に対抗措置を講じる』などと発表した。台湾情勢の緊迫化で海外勢などがドル売り・円買いを持ち込み、一時132.30円付近まで下落した。ただ、今晩予定されている米経済指標やFRB当局者の講演内容を見極めたいとの雰囲気もあり、下げは一服した。その後は、値ごろ感からドルを買い戻す動きも見られ、133.20円付近へ値を切り返す荒い値動きとなった。ユーロ/ドルは1.01ドル台後半で小幅な値動きに終始した。欧州勢待ちの様相となっている。

 

米実質金利が40bp程度上昇した場合にドル/円は136円:SMBC日興

ペロシ下院議長の訪台を受け、地政学リスクが警戒されてドル/円が不安定な展開となる中、SMBC日興証券は3日付のリポートで『今後、ドル/円レートは米国金利がポイントとなるだろう』との見解を示した。リポートでは米連邦理事会(FRB)のパウエル議長が7月FOMC後の記者会見で、『労働供給が回復するまで金融引き締めに伴うある程度の景気減速は避けられない。供給側の問題が解消するまでは潜在成長率を下回る期間が必要だと考えている』と述べたことを踏まえ、「経済成長率を潜在成長率以下にするには、FF金利を中立金利以上に維持する必要がある』と指摘。実質ベースの中立金利(均衡金利)は0.5%程度(中立金利2.5%-目標インフレ率2%)としながら、『市場の1年先の実質FF金利は0.1%となっており、約40bpの差が開いている』と指摘した。今後1年で労働供給が急回復すればそれもあり得るとしながら、『現時点では明確ではない。仮に米実質金利が今後40bp程度上昇した場合、ドル/円は2.6円程度円安となり136円程度まで減価する可能性がある』とし、中長期的には円安基調が続くと見ていた。

 

7月トルコCPIの発表に注目:インフレが加速見込まれる

本日は7月トルコ消費者物価指数(CPI)が発表されまる。市場予想は前月比2.9%、前年比では80.5%まで伸び率加速が見込まれている。トルコ中銀は先日発表した四半期のインフレレポートで、この秋には90%近くまでのインフレ加速を見込んでいる。そのため予想から多少の上下振れについては、市場としてもそれほど気にしないであろう。ただ、買い材料になるようなものでは決してなく、リラの売り場探しという状況に変わりはなさそうである。なお一部通信社によれば、トルコ政府が昨年末に導入した為替リンクのリラ建て定期預金(リラ安となった場合は下落分を補填)は7-8月に300億ドル分が満期を迎えるとされていた。外貨需要を抑制するための預金がそのまま取り崩されるようだと、リラ売りが加速してしまうのでないかとの懸念が高まっている。ただ報道によれば、満期額の3分の1のロールオーバーが完了しているようである。8月も一定額の更新が見込まれると、金融関係者の話しとして報じられている。

 

南ア政府と公務員組合の賃金再協議:政府側が歩み姿勢を見せるかがポイント

本日は南ア政府とストライキを継続している公務員組合の再協議が予定されている。政府の提案と、組合の要求の隔たりがあまりにも大きいため、どこまでその隔たりを縮小できるかが注目される。組合は要求を10%から6.5%に引き下げたが、政府は2%を維持したままである。インフレ率が組合要求より上回っていること、昨年も組合はインフレ率よりかなり低い水準での賃上げで妥協したことを考えると、さすがに2.0%の要求を組合が承服するのは難しいと思われる。政府側がもう少し歩み寄り姿勢を見せられるかがポイントとなりそうである。

 

米労働市場の減速を示唆するもFRBは利上げ継続を主張

米労働省が発表した6月JOLT求人件数は1069.8万件となった。3カ月連続の減少で、予想を下回り昨年9月来の低水準となった。求人率(Job openings rate)は6.6%と、5月6.9%から低下した。また、採用者数は637.4万人と、21年5月来で最低で、4カ月連続で減少した。採用率(Hiring rate)は4.2%と5月4.3%から低下した。労働市場の自信をあらわすとして注目される自主退職者数は3.7万人減の423.7万人と、2021年10月来で最低。労働市場も明らかに減速を見せている。解雇は130万人、解雇率(Layoffs/discharges rate)も0.9%と前月とほぼ変わらずとなった。 ただ、連邦準備制度理事会(FRB)高官は労働市場は減速も依然ひっ迫が続いており利上げ軌道を維持すべきとの見解を変えていない。

 

FRB高官3人は市場の利上げ減速観測にクギ:インフレ警戒隠さず

FRBの3人の高官が2日、市場で広がる利上げ減速期待にクギを刺した。サンフランシスコ連銀のデイリー総裁は『市場の見方には困惑している。データのどこを見ているのか』と市場の反応に疑問を示した。クリーブランド連銀のメンスター総裁も『インフレはまだピークに達していない』と指摘、金融引き締めの手を当面は緩めるべきではないと主張した。シカゴ連銀のエバンズ総裁は9月のFOMCで、通常の3倍の0.75%の利上げを支持する可能性を示唆した。実現すれば3会合連続の0.75%利上げとなる。一連の発言を受け、2日の米債券市場では中長期債と長期債が売られた。前日夜に2.51%を付けた長期金利は2.77%まで上昇する場面があった。

 

欧米市場イベント

○15:00   6月独貿易収支(予想:2億ユーロの黒字)
○15:30   7月スイス消費者物価指数(CPI、予想:前月比▲0.1%)
○16:00   7月トルコCPI(予想:前月2.90%/前年比80.50%)
○16:50   7月仏サービス部門PMI改定値(予想:52.1)
○16:55   7月独サービス部門PMI改定値(予想:49.2)
○17:00   7月ユーロ圏サービス部門PMI改定値(予想:50.6)
○17:30   7月英サービス部門PMI改定値(予想:53.3)
○18:00   6月ユーロ圏卸売物価指数(PPI、予想:前月比1.0%/前年比35.7%)
○18:00   6月ユーロ圏小売売上高(予想:前月比横ばい/前年比▲1.7%)
○20:00   MBA住宅ローン申請指数
○22:45   7月米サービス部門PMI改定値(予想:47.0)
○22:45   7月米総合PMI改定値
○23:00   7月米ISM非製造業指数(予想:53.5)
○23:00   6月米製造業新規受注(予想:前月比1.1%)
○23:30   EIA週間在庫統計
○23:30   ハーカー米フィラデルフィア連銀総裁、講演
○4日00:45   バーキン米リッチモンド連銀総裁、講演
○4日03:30   カシュカリ米ミネアポリス連銀総裁、講演
○4日06:30   ブラジル中銀、政策金利発表(予想:13.75%に引き上げ)
○英中銀金融政策委員会(MPC)
○石油輸出国機構(OPEC)プラス閣僚級会合(オンライン)

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