FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:個別材料を手掛かりにした物色が広がる

前週末の米国株は主要3指数がそろって上昇した。この流れを引き継ぎ、日本株も朝方は底堅くスタートした。一時、マイナス圏とプラス圏を行ったり来たりするなど方向感のない動きがみられたが、下値の堅さが確認されるとプラス圏でしっかりした値動きとなった。半導体関連株が堅調に推移したほか、個別材料を手掛かりにした物色も広がった。直近の好決算銘柄やこれから決算発表を控える銘柄に買いが広がり、相場はじわじわ上げ幅を広げ、6月9日以来約2ヵ月ぶりの高値となった。結局、前営業日比191円高の2万7993円で終了した。

 

東京外国為替市場:132.00円接近では値ごろ感からのドル買い

ドル/円は、28日に発表された4-6月期米国内総生産(GDP)が2四半期連続のマイナス成長で、米国のリセッション入りを警戒して下値を模索する展開になった。海外投機筋などがドル売り・円買いを持ち込み、133円台を割り込んで一時132.07円付近まで急落し、約1か月半ぶりの安値を付けた。その後、心理的節目の132.00円に接近すると、値ごろ感からドルを買い戻す動きも見られ、132.40円台へ値を切り返した。午後のドル/円は、利益確定などのドル買い・円売りが入り、132.75円付近へ持ち直す動きとなった。しかし、今晩発表される米ISM製造業景況感指数を見極めたいとの雰囲気から、上値を追う動きは限られた。その後は、米国の大幅利上げ観測の後退でドル売りも見られ、やや値を下げて132円台半ばでもみ合いとなった。ユーロ/ドルは、1.02ドル台前半で小動きのもみ合い相場となった。欧州勢待ちの様相となっている。

 

ドル買い比率は低下でユーロ買い比率は5ヵ月ぶり高水準:前週のFX概況

QUICKが1日に算出した7月29日時点の外国為替証拠金(FX)5社合計の建玉除去うによると、円に対するドル買い比率は70.3%と前の週末から2.1ポイント低下した。米景気が減速するとの懸念を背景に、前週は就航はに円高・ドル安が急速に進んだ。普段は相場の流れに逆らう『逆張り』戦略をとる傾向が強い個人投資も、足もとでは米景気への警戒感から円買い・ドル売りに傾いた。円は7月29日に一時1ドル=132.51円近辺まで上昇し、6月17日以来およそ1ヵ月ぶりの円高水準をつけた。7月28日発表の実質国内総生産(GDP)が2四半期連続でマイナスとなり、米景気の後退局面入りが意識された。米連邦準備理事会(FRB)が利上げペースを緩めるとの観測も重なり、前週後半の外国為替市場では円買い・ドル売りが優勢になった。個人投資家の動きについて、市場では「米景気後退への懸念から、以前のように『ドルを買っておけば安心』という状況ではなくなった」との声も聞かれた。『ユーロ/円』取引のユーロ買い比率は7.5ポイント高い43.8%と3月上旬以来、約5ヵ月ぶりの高水準となった。前週末にかけて円高・ユーロ安が進んだ場面で、ユーロに対しては個人投資家から『逆張りの円売り・ユーロ買いげ出た』との見方があった。

 

トルコ中銀は金融引き締めに舵を切る雰囲気は全くない

週半ばにはトルコの7月消費者物価指数(CPI)が発表される。先週トルコ中銀が発表した四半期インフレレポートでは、年末のインフレ率見通しを60.4%と前回4月時点の42.8%から引き上げた。ただし秋にかけては足もとからの一段の上昇を見込んでおり、今回7月がもし改善されても市場インパクトは小さい。レポートでは2023年末見通しも前回示した12.9%から19.2%まで上方修正している。これまで中銀はインフレ圧力を過小評価する傾向にあるが、今回の見通し修正をみると、現実を受け入れる方向に変わりつつあるのかもしれない。ただし、インフレ加速の主要因とするエネルギーなどの商品価格の高騰は、地域紛争の解決とともに正常化すると述べている。その上で、ディスインフレプロセスが始まることを期待するとし、多くの中央銀行がインフレ抑制のために進めている金融引き締めに舵を切る雰囲気は全くない。

 

南アでは特に不安定な電力の供給問題に注目

国際通貨基金(IMF)は南アの成長見通しをわずかに上方修正しているものの、世界経済の見通しを下方修正している。世界経済の停滞は、新興国通貨からの資金流出となりランドの重しになる。南ア国内からは今週は市場を動意づける主だった経済指標の発表はありません。ただし、インフレ高進、エネルギー価格の高騰、電力の負荷制限の3つを合わせ『トリプル・ブロー』と呼ばれる問題点からは目を離さないようにしておきたい。特に不安定な電力の供給は先週も続いていることで、負荷制限がどの程度になるかも注目である。

 

メキシコ経済は比較的良好:米景気減速懸念から不透明感も根強い

メキシコ経済は比較的良好な状態にある。格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスがメキシコ格付けを引き下げた際に、『コロナ禍に生じた経済への損害は回復せず、成長速度が遅いことを懸念』としていたが、前週末に発表された4-6月期メキシコ国内総生産(GDP)速報値は市場予想を上回り、前年同期比では1-3月期から成長率の伸びが確認された。もっとも、今回のGDP上昇をけん引した要因は、世界的なエネルギー価格の高騰を支えにした原油輸出と、米国向けの自動車販売の回復である。エネルギー価格の先行きについてはウクライナ情勢次第で先行きが見通しにくいうえ、米国は2四半期連続のマイナス成長(リセッション)に陥っていることから、メキシコ経済の今後に関しては不透明感も根強い状況である。

 

景気減速が広がるなか波乱に満ちたテク大手決算:米WSJ

米テク大手の決算はいつになく波乱に満ちたものとなった。景気減速が広がる中、事業環境が急速に悪化している様子が浮き彫りになった。ネット通販大手アマゾン・ドット・コムは2四半期連続で赤字を計上。同じ日に半導体大手インテルが発表した赤字決算は市場に衝撃を与えた。4-6月期(第2四半期)売上高の落ち込みはここ10年余りで最も大きいものだった。一方、フェイスブックを運営するメタ・プラットフォームズは四半期ベースで初の減収に沈んだ。マイクロソフトも、利益の伸びがここ2年で最も低水準に鈍化した。インフレ高進やドル高、サプライチェーン(供給網)の混乱が続く中、消費者の購買意欲はしぼんでいる。だが、これまで市場が動揺するたびに持ちこたえてきたテク大手が今回のような決算になった原因はこれだけではない。低調なネット小売りやウエアラブル端末の不振、中小企業のIT投資への手控えなど、テク企業はあらゆる面で影響を受けている。

 

米利上げ終了時期は12月を予想:QUICK月次調査

QUICKは1日、7月の債券月次調査を発表した。米FRBの金融政策について聞いたところ、政策金利の到達点の予測中央値は3.50%だった。現在の政策金利(2.25~2.50%)から1.25%の利上げを見込む市場参加者が多い。調査は7月26日~28日に実施し、証券会社や銀行など市場関係者114人から回答を得た。米利上げの終了時期を巡っては『2022年12月」との回答が有効回答数97のうち43に上り、最多だった。『23年11月』が11、『23年2月』が10で続いた。年末、もしくは来年の早いうちに利上げ局面が一巡するとの予想が多い。『米国では大幅な利上げでインフレが減速し、秋以降利上げ幅を徐々に縮小する』との声が聞かれた。FRBが利下げに転じる時期については『23年6月』が14と最多。次いで『23年9月』が13、『23年12月』が12だった。債券相場の見通しについて、米長期金利の予測中央値は1ヵ月後が2.90%、3ヵ月後が3.00%、6ヵ月後が2.90%だった。

 

米国市場では7月ISM製造業景況指数が公表:予想は52.3

6月実績は53.0だった。7月については、支払い価格の低下は新規受注の伸び悩みなどによって指数はやや低下する見込みである。物価高によって経済成長は減速しつつあることから、景況指数の反発は期待できない。

 

欧米市場のイベント

○15:00   6月独小売売上高(予想:前月比0.2%/前年比▲8.0%)
○16:00   7月トルコ製造業PMI
○16:50   7月仏製造業PMI改定値(予想:49.6)
○16:55   7月独製造業PMI改定値(予想:49.2)
○17:00   7月ユーロ圏製造業PMI改定値(予想:49.6)
○17:30   7月英製造業PMI改定値(予想:52.2)
○17:30   4-6月期香港域内総生産(GDP)速報値(予想:前期比3.8%/前年比0.6%)
○18:00   6月ユーロ圏失業率(予想:6.6%)
○22:45   7月米製造業PMI改定値(予想:52.3)
○23:00   7月米サプライマネジメント協会(ISM)製造業景気指数(予想:52.0)
○23:00   6月米建設支出(予想:前月比0.2%)
○23:30   7月メキシコ製造業PMI
○2日03:00   7月ブラジル貿易収支(予想:70.79億ドルの黒字)
○岸田首相、核拡散防止条約(NPT)再検討会議で演説(ニューヨーク)
○豪州(バンクホリデー)、スイス(建国記念日)、カナダ(市民の日)、休場

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