FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:連騰後の利益確定売りが優勢に

欧米景気後退懸念がくすぶっているほか、7連騰後の反動もあり朝方から利益確定売りが優勢にとなった。日経平均は下げの勢いが鈍る場面もあったが、値がさ株の下落や米国株先物の軟調推移が重しとなり、再び下げ幅が広がった。日経平均全体では軟調な動きとなったものの、下げ幅を拡大する雰囲気は見られなった。今週は米連邦公開市場委員会(FOMC)を控えており、利上げ幅を見極めたいとの思惑で動きづらい面もあった。結局、前営業日比215円安の2万7699円と8営業日ぶりに反落した。

 

東京外国為替市場:米景気先行き懸念から上値追いは手控えられる

ドル/円は、仲値にかけて本邦輸入勢などのドル買い・円売りが通常より多く持ち込まれ、136円台前半から一時136.61円付近まで上昇した。ただ、最近発表された米経済指標は低調な数字が多く、米景気先行き懸念から積極的な上値追いは手控えられた。仲値発表後は、内外株安を嫌気したドル売り・円買いが持ち込まれ、一時135.89円付近まで下落した。その後は、日米金融政策スタンスの違いを意識したドル押し目買いが見られ、136円台前半へ切り返した。午後は手掛かり材料難から積極的な売買は控えられ136円台前半で小動きに推移した。ユーロ/ドルは、1.020ドルを挟んで方向感に欠ける展開となっている。欧州勢待ちの様相となっている。

 

ドル買い・ユーロ買い比率が上昇:前週のFX概況

QUICKが算出した22日時点の外国為替証拠金(FX)5社合計(週間)の建玉状況によると、円に対するドルの買い比率は72.4%と前の週末から12.7ポイント上昇した。前週は米経済指標の内容を受けて米景気懸念が再燃して円相場が強含み、円売り・ドル買いに動く個人投資家が増えた。21日に米フィラデルフィア連銀が発表した7月の製造業景況感指数は前月から悪化した。週間の失業保険申請件数も市場予想以上に増えた。欧州中央銀行(ECB)が大幅利上げを発表したことで欧米の景気減速懸念が広がったことなどもあり、円相場は対ドルで一時135円台まで上昇する場面があった。相場の流れに逆らう『逆張り』とされる個人投資家は円売り・ドル買いの持ち高を増やした。『ユーロ/円』鳥非違のユーロ買い比率は前の週末から2.7ポイント上昇の36.3%だった。一方、『豪ドル/円』取引での豪ドル買い比率は前の週末から0.3ポイント低下の57.0%だった。『ポンド/円』取引のポンド買い比率は3.1ポイント上昇の59.1%だった。

 

ISM製造業50割れ回避でCTAの弱気ポジション巻き戻しも:野村証券

野村証券の25日付のクオンツリポートで商品投資顧問(CTA)の投機ポジションについて、先行き1ヵ月では米国株と日本株でショートカバーが進みやすいといした一方、欧州株は横ばい推移となりやすい地合いであるとの見方を示した。CTAのS&P500種株価指数のポジションは米サプライマネジメント協会(ISM)製造業景況感指数の50割れに相当する景気後退を織り込んだ水準にあるとし、6月水準である53を多少下回る程度の景気悪化にとどまることで、目先は弱気ポジションの巻き戻しバイアスがかかりやすいとの見方も示されている。また、日経平均においても、先行指標である中国クレジットインパルスの持ち直しが続いていることから『CTAのショートカバーが継続することには違和感がない』ともしている。

 

トルコの大幅な実質金利のマイナスがリラを手放す動きを加速

27日ニューヨーク午後の米連邦公開市場委員会(FOMC)による金融政策の発表である。追加の大幅利上げは確実視されており、声明でもインフレ抑制に向けた強い意志が示されることが予想される。欧州中央銀行(ECB)も金融引き締めに舵を切っており、ドルやユーロの借り入れコストは拡大する。外貨債務の大きいトルコにとっては負担増、つまりリラ売りに繋がる。また、トルコ中銀への信頼度が低下する一方なのも、リラを買いづらくさせる要因である。エルドアン大統領に睨まれた中銀・金融政策委員会(MPC)は、インフレ抑制に向けた行動、つまり政策金利の引き上げを実施することができない。トルコの実質金利は大幅マイナスであり、その解消のめどは全く立たないことがリラを手放す動きを加速させている。

 

南ア中銀は先行きのCPI予想を上方修正

6月の消費者物価指数(CPI)が上昇しただけでなく、南アフリカ準備銀行(SARB)は、今後も2022年は6.5%(前回+5.9%)、2023年5.7%(前回5.0%)、2024年4.7%(前回同じ)、コアCPIは2022年4.3%(前回3.9%)、2023年5.6%(前回5.1%)、2024年4.9%(前回4.8%)と概ねすべて上方修正した。また、ランド安と食料と燃料価格の上昇がリスク要因としている。インフレ高進、エネルギー価格の高騰、電力の負荷制限の3つを合わせ『トリプル・ブロー』と呼ばれる問題点が南ア企業に大きな痛手となっている。南アの景気停滞懸念が強まっていることはランドの売り材料となる。また、世界各国の景気停滞により、新興国通貨は売られる傾向が強いことで、上値も限られそうである。

 

メキシコの今週の注目点は4-6月GDP

今週の国内イベントとして注目なのは、29日の4-6月期メキシコ国内総生産(GDP)速報値である。先日、米格付け会社ムーディーズがメキシコの格付けを引き下げたが、その際のコメントで、GDPデータが思ったほど回復せず、成長速度が遅いことが懸念と指摘していたので、結果次第ではさらなる格下げリスクが浮上する可能性がある。なお、ロペスオブラドール大統領は定例記者会見で、米通商代表部(USTR)がメキシコ政府の国営企業を優遇するエネルギー政策に対して苦情を申し立てたことに早速反論した。USTRは米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)に基づく協議を要請したが、大統領は協議には応じるものの、メキシコの政策はUSMCAに違反していないとの姿勢を示した。予想通りではあるが、早期の問題解決には至らない。

 

米FOMC参加者の景気認識が悪化するか注目:大和証券

22日に発表された米国とユーロ圏の7月購買担当者経緯指数(PMI、速報値)で総合PMIがともに悪化し、好不調の目安となる50を下回った。大和証券は25日付のリポートで『特に米サービス業の悪化幅が大きい。セントルイス連銀のブラード総裁や米連邦準備理事会(FRB)のウォラー理事らの米連邦公開市場委員会(FOMC)参加者はこれまで米経済のソフトランディングの可能性が高いと論じてきた。7月のFOMCでの注目点の1つは、米景気先行指標の悪化を受けてFOMC参加者の景気認識が悪化方向に変化するかだろう』との見解を示した。リポートでは、この日に米長期金利が低下したほか、市場の期待インフレを現すブレーク・イーブン・インフレ率(BEI)が上昇したことを踏まえ、『実質金利の大幅低下は米景気懸念の強まりを示唆する』とも指摘した。『米中長期金利上昇の一巡から円安ドル高トレンドもピークアウトしつつあるかもしれない』ともみていた。

 

米国のリセッションの兆しは見られず:イエレン米財務長官

イエレン米財務長官は、金融当局によるインフレとの闘いに信頼感を示した。また米経済が広範なリセッション(景気後退)に陥っている兆しは見られないと述べた。イエレン氏は24日、NBCの番組『ミート・ザ・プレス』で、『雇用創出ペースがやや減速する可能性が高い』としつつ、『それはリセッションではないだろう。リセッションとは経済が広い範囲で弱くなることだ。現在のところ、そうした状況は目にしていない』と述べた。イエレン氏はまた、米経済が2四半期連続でのマイナス成長となった場合でも、景気循環を判定する全米経済研究所(NBER)がリセッションと認定するとは考えていないと語った。労働市場が力強いことを理由に挙げた。イエレン氏は、『マイナス成長が2四半期続いたとしても、NBERがこのところの状況をリセッションと判断したら私としては驚きだ』とし、『米国の労働市場は非常に力強い。1カ月当たり40万人近くの雇用を創出している状況はリセッションではない』と述べた。

 

欧米市場イベント

○14:00   6月シンガポール消費者物価指数(CPI、予想:前年比6.2%)
○17:00   7月独Ifo企業景況感指数(予想:90.2)
○26日02:00   米財務省、2年債入札

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