FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価指数:2万7000円が戻りの壁として意識

前日の米国株市場は反落したが、米FRBの金融引き締めに対する過度な懸念が後退したことが安心感を誘い、幅広い業種に買いが入った。ただ、上値を買い上がるだけの材料が見当たらず、買い一巡後は伸び悩み指数は一進一退の展開となった。米国企業の決算発表が注目されるほか、国内企業も決算発表シーズンを迎えるため模様眺めムードにもなりやすい。取引時間中として約1週間ぶりに2万7000円の節目を超える場面があったが、長続きしなかった。結局、前営業日比173円高の2万6961円と4営業日続伸して終了した。

 

東京外国為替市場:利益確定や持ち高調整がドルの上値の重しに

ドル/円は、連休明けで仲値に向けて本邦輸入勢などのドル買い・円売りが通常より多く持ち込まれ、138.20円台から138.39円付近まで上昇した。しかし、前日の海外市場でつけた高値138.44円に接近すると上げは一服した。その後は、利益確定や持ち高調整のドル売り・円買いも見られ、小幅に値を下げて138.20円前後で取引された。午後のドル/円は、米FRBによる1.0%の大幅利上げ観測がやや後退していることで、海外勢などがドル売り・円買いを持ち込み、138円を割り込んで137.90円付近へじり安となった。ただ、下値では値ごろ感からドルの押し目買いが入り、138.00円を挟んでもみ合いとなった。ユーロ/ドルは、今週予定されているECB理事会を控えた持ち高調整などのユーロ買い・ドル売りが入り、1.01ドル台前半から1.01ドル台半ばへ水準を切り上げた。

 

ドル買い比率は小幅に低下:前週のFX概況

QUICKが19日に算出した15日時点の外国為替証拠金(FX)5社合計(週間)の建玉状況によると、円に対するドルの買い比率は59.7%と前の週末から0.1ポイント低下した。前週の円相場は週後半にかけて1ドル=139円台前半とおよそ24年ぶりの安値を更新した。目先の利益確定を目的とした円買い・ドル売りが増えた。前週の円相場は対ドルで139.38円と24年ぶりの安値を更新する場面があった。13日に発表された6月の米消費者物価指数(CPI)は市場予想を上回る伸び率となり、米FRBが利上げペースを加速するとの思惑が浮上した。円は対ドルで売りが加速し、140円台を前に個人投資家はいち早く利益確定に動いた。『ユーロ/円』取引のユーロ買い比率は7.2ポイント低下の33.6%だった。米CPIを受けて円は対ユーロでも売られ、相場の流れに逆らう『逆張り』とされる個人投資家は円買い・ユーロ売りの持ち高を増やした。『豪ドル/円』取引での豪ドル買い比率は前の週末から4.9ポイント低下の57.3%と3月末以来の低水準だった。

 

顧客が米株を3週連続で買い越すもHFは2週ぶり売り越し=BofAセキュリティーズ

19日付の顧客フローのリポートによると、同社の顧客は11~15日の1週間に米株を22億7700万ドル買い越した。3週連続の買い越しとなる。この週は15日に発表されたミシガン大学調査で消費者の期待インフレ率が前月から低下したことで週末に主要指数が大幅高となったものの、弱い米決算シーズンの序盤でS&P500指数が週間で0.92%安となって2週ぶりに小幅安で終えた時だった。主体べう動向では、ヘッジファンド(HF)が2億5700万ドルの売り越しで、2週ぶりの売り越しとなった。機関投資家は4億2500万ドルの小幅買い越しで、3週連続の買い越しとなった。個人投資家は13億8700万ドルの買い越しで、3週連続の買い越しとなった。企業の自社株買いは7億2200万ドルで4週移動平均線(9億2100万ドル)を下回って低調だった。全体としては、3週連続の買い越しだったが、前週に8週ぶりに買い越しに転じたHFが再び売り越しとなったほか、企業の自社株買いが低調だった。個別株買い/上昇投資信託(ETF)売りの流れで、債券ETFへの資金流入も見られた。

 

トルコ・ロシア・イランの3者首脳会談:トルコの立場に注目

今週は21日にトルコ中銀金融政策委員会(MPC)が開かれるものの、政策金利は14.00%で据え置きが確実視されている。ただ、『物価の番人』という役割を捨てた中銀が発行する通貨は買いづらいままである。本日はエルドアン・トルコ大統領がイランを訪問し、プーチン露大統領とライシ・イラン大統領と会談する予定である。3者会談はシリア情勢に関する協議が中心と言われている。ただしロシア、イランとも西側諸国、特に米国との対立を強めている国であり、米国との関係も話題に挙がることが予想される。そこで、エルドアン大統領が両大統領になびくのか、それとも仲介役としての立場を取るのかが注目される。

 

南アではストライキ継続で国境検問所の人員がひっ迫

市場はあまり取り上げていないが、南ア国内でもネガティブなニュースが多いことも懸念材料である。公務員協会(PSA)と全国教育保健連合(Nehawu)は7%の賃上げを要求していたが、週末に却下されたことによりストライキは継続する。この影響で南アフリカ歳入庁(SARS)は40の支店を閉鎖することを余儀なくされた。日本人から見ると7%の賃上げという要求に驚くかもしれないが、今週発表される南アのインフレ指標は7%を上回る上昇が予想され、組合の要求もある程度は理にかなっていると言える。なおストライキでの人員不足を補うため、組合の対象外となっている上級スタッフが国境検問所に急遽配属されているほど人員がひっ迫している。

 

南アでは先行き暗号通貨の売買を承認する予定

先週南アフリカ準備銀行(SARB)が『暗号通貨(暗号資産、仮想通貨)を金融商品と認め、国内取引所で売買を承認する予定』と発表した。あくまでも予定だが、取引が可能になるのは12カ月から18カ月後としている。取引を可能とした理由としては、積極的に暗号通貨取引を推奨するのではなく、逆に金融資産とすることで、規制をかけやすくすることが狙いと報じられている。これまで南アでは暗号通貨へ規制しておらず、そのため暗号通貨取引が急拡大した。取引で多くの損失が出ていることなどが問題とされていた。SARBは暗号通貨を使用してのマネーロンダリング、脱税、テロ組織の資金活動を監視しやすくすることに舵を切ったと報じられている。現時点ではどのような規制の枠組みを導入するかは決定していない。SARBは国境を越えた暗号通貨の取引を否定しているわけではないが、外貨取引と同様に規制が必要との考えを示している。

 

米7月NAHB住宅市場指数がパンデミック来で最低

全米住宅産業協会(NAHB)が発表した7月NAHB住宅市場指数は55と、予想を大幅に下回り、パンデミックによる経済封鎖直後の20年5月来で最低を記録した。6カ月連続の低下。6月からは12ポイントの低下となった。低下幅は統計開始以降37年間で、20年4月の42ポイントに続き2番目に大きな幅を記録。50は活動の縮小と拡大の境目となるが購買見込み客足指数は37と、6月に続き2カ月連続でマイナス圏。1戸建販売見通しは50と、マイナス圏をかろうじてまぬかれた。30年物の固定住宅ローン金利が1月以降ほぼ倍の6%近くまで上昇した。住宅ローン金利の急伸で需要が急激に減少しており、住宅建設業者の景況観に大きく影響した。 

 

米国市場では6月住宅着工件数が公表:予想は158.0万戸

5月実績は154.9万戸で市場予想を下回った。住宅ローン金利は一段と上昇しており、一般顧客の負担が増していることが要因となっている。集合旧宅の着工件数の減少が目立っていることから、6月の着工件数が大幅に増加する可能性は低いとみられる。

 

7月FOMCでは今夏以降の利上げに関するガイダンスを提供:モルガン

モルガン・スタンレーは18日付リポートでパウエル議長の記者会見について『我々は議長が、インフレを現在の高いレベルから引き下げるという理事会のコミットメントを引き続き強調することを予想する。さらに、労働市場が引き続き堅調であり、より高い金利に耐えることができることを再確認することを期待する』と指摘。フォワードガイダンスについては、『議長今夏以降に予想されることについて、何らかの追加的なガイダンスを提供することが見込まれる。それはおそらく、月次インフレが同じペースで推移し続ける場合には、金利上昇を同じ規模で継続することが適切である可能性があること、月次インフレが一連の指標で説得力をもって減速し始める場合には、金利上昇ペースを遅らせることが適切である可能性があること、インフレ上昇リスクが顕在化した場合には、金利上昇ペースを速めることが適切であることを示す条件付きガイダンスだ』とも指摘。短期金利の指標であるフェデラルファンド(FF)金利の利上げ幅は7月に0.75%、9月に0.5%と見込んだ。

 

欧米市場イベント

○15:00   6月英雇用統計(失業保険申請件数推移/失業率)
○15:00   3-5月英失業率(ILO方式、予想:3.9%)
○18:00   6月ユーロ圏消費者物価指数(HICP)改定値(予想:前年比8.6%)
○18:00   6月ユーロ圏HICPコア改定値(予想:前年比3.7%)
○18:00   5月ユーロ圏建設支出
○21:30   6月米住宅着工件数(予想:158.0万件、前月比 2.0%)
        建設許可件数(予想:165.0万件、前月比▲2.7%)
○23:00   マクルーフ・アイルランド中銀総裁、講演
○24:00   ベイリー英中銀(BOE)総裁、講演

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