FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:安倍元首相の銃撃事件報道を受けると上げ幅縮小

米長期金利にピークアウト感が生じているとの見方から、グロース株も戻りが活発化し、株価を押し上げる要因になった。さらに、中国の経済対策が観測されていることも注目された。市場では『本日はETFの分配金ねん出に伴う大量の売りで下げるとの思惑があったものの、反対の動きになって売り方は完全に裏目に出たことで、買い戻す動きも活発化しているようだ』との声も聞かれた。安倍元首相が撃たれ心肺停止との報道を受けて昼休み中に先物が売られ、それに沿う形で後場が開いた後、現物指数も上値が重くなった。結局、前営業日比26円高の2万6517円と小幅に続伸した。

 

東京外国為替市場:持ち高調整のドル売りで135円半ばでもみ合い

ドル/円は、本邦輸出勢などのドル買い・円売りや日経平均株価の大幅高に支えられ、135円台後半から136.15円付近まで上昇した。ただ、前日の欧州市場でつけた高値136.22円に接近すると上げは一服した。その後は、週末を控えて利益確定などのドル売り・円買いも見られ、やや値を下げて135.90円台を中心とする狭いレンジでもみ合いとなった。昼前に、国内メディアが『奈良市内の路上で街頭演説をしていた安倍元首相が、男に背後から散弾銃で撃たれた』と報じると、リスク回避の円買いが強まり、135円台半ばへ急落した。午後に入っても、この流れは続いて一時135.34円付近まで下落する場面があった。しかし、今晩発表される6月米雇用統計を見極めたいとの雰囲気もあり、下値を追う動きは限られた。その後、日米金融政策スタンスの違いを意識したドルの押し目買いが見られ、135.80円付近まで値を切り返した。ただ、日経平均株価が安倍元首相の銃撃に関する報道を嫌気して上げ幅を縮小すると、持ち高調整などのドル売り・円買いが入り、135.60円前後で取引された。ユーロ/ドルは、エネルギー価格の高騰による、欧州景気の減速を警戒したユーロ売り・ドル買い基調が続き、1.01ドル台後半から一時1.014ドル付近まで下落しておよそ19年半ぶりの安値をつけた。

 

安倍元首相の銃撃事件で一時的な円高・消費自粛ムードは株安リスク:野村証券

10日の参議院選挙の投開票日を控える中、安倍元首相が8日午前、奈良市で演説中に撃たれたとNHKなどが報じた。心肺停止の状態との報道もあり、安倍首相の安否、選挙戦への影響が気になる。報道によれば逮捕された職業不詳、山上徹也容疑者は2005年頃まで3年間、海上自衛隊で勤務していたという。政治的な背景や動機などは不明で続報が待たれる。野村証券は銃撃事件を受けて8日付のリポートで『仮に日本株への影響が及ぶとすれば、第一、日銀の緩和修正期待の高まりによる、円高・金利上昇を通じた株安圧力があり得る』との見解を示した。その場合、一時的に、為替敏感な輸出株および金利敏感な不動産株が調整することには注意したいとしながら、『第二に、国民の間に治安への不安や自粛ムードが高まり、外出を控えるなど消費への悪影響が及ぶ可能性にも注意したい』と指摘した。その一方、株価の反応が限定的になる要素としては、①安倍元首相の政治的な影響力の強さを前提とした日本株運用は大きいとは見られない。②ニュースフローに敏感な海外投資家の日本株ポジションは元より大幅なアンダーウエイトであり、日経平均先物ポジションも直近でショートに傾いている、③23年4月までの黒田総裁の在任中の金融政策大台修正は想定しにくいといった点が挙げられるともみていた。

 

トルコの外貨準備高は低水準:3週連続で80億ドル割れ

トルコ銀行規制当局による外貨保有企業へのけん制(銀行からの融資禁止)も効果がかなり薄まった状態である。資本規制強化への警戒感から、外国人投資家もトルコに資金を留めておくことを躊躇しているようにも見える。昨日トルコ中銀が発表した1日時点でのネット外貨準備高は、75.1億ドルと3週連続で80億ドル割れの低水準である。4月末からは半分以下になり、昨年12月初めからだと3分の1まで落ち込んでいる。光明とされたサウジアラビア中銀との通貨スワップ締結についても、相手サイドから良い返事をもらえていないようである。

 

南アの出力負荷制限は緩和

国営電力会社エスコムによる電力負荷制限は、本日はステージ4に引き下げられる予定である。また週末から週明けにかけてはステージ2-3への引き下げも検討されている。エスコムは過去に同社で働いていた社員を、高齢者を含め再雇用し、電力対策を行っている。

 

メキシコを巡る経済情勢は強弱入り混じる状況

メキシコを巡る経済情勢は強弱が入り混じる状況である。プラス材料としては、昨日に米格付け会社S&Pグローバル・レーティングがメキシコの格付け『BBB』の見通しを従来の『ネガティブ』から『ステーブル』に引き上げたことが挙げられる。S&Pによると、ロペスオブラドール政権のエネルギー政策の不確実性が低下したことを見通し引き上げの理由としている。一方、足もとで原油先物価格の下落が続いていることは産油国通貨であるメキシコペソにとってマイナス材料となる。また、欧米の景気減速懸念が高まるなか、投資家のリスク志向が低下傾向にあることもペソを買いづらくさせる要因となっている。

 

米住宅ローン金利が1ヵ月ぶりに低水準

米国の住宅ローン金利が週間ベースで2008年以来の大幅低下を記録した。フレディマック(連邦住宅貸付抵当公社)の7日発表によると、30年物固定金利は平均5.3%。前週の同5.7%から下がり、1ヵ月ぶりの低水準となった。今年の大幅な住宅ローン金利上昇は買い手の購買意欲を減退させ、それが在庫の拡大を招き、一部地域では物件の売り出し価格を引き下げる動きも出ていた。フレディマックのチーフエコノミスト、サム・カーター氏は『住宅ローン金利の低下は買い手に小さな救いを与えるものだ。住宅取得能力の低さと予想される景気減速の組み合わせで住宅価格の伸びが大幅に鈍化すれば、住宅市場の正常化は続くとみられる』と述べた。

 

米労働市場の減速の兆しでもFRBによる金融引き締めは継続か

最新の先週分新規失業保険申請件数は予想外に前回から増加し、6カ月ぶり高水準で推移した。NY連銀製造業景況指数の週平均就業時間は現況で6カ月平均を大きく下回り、6カ月先の指数はマイナスに落ち込んだ。全米製造業活動を示すISM製造業景況指数雇用は47.31と予想外に2カ月連続で50を割り込み活動の縮小を示した。米国経済の7割を消費が占めるため注目のISM非製造業景況指数の雇用も47.4と再び50を割り込んだ。このため、雇用統計で雇用の伸びも抑制される可能性がある。ただ、米連邦準備制度理事会(FRB)は6月連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨の中で、雇用は依然強いとの見方を再確認した。失業率が上昇したとしても、歴史的には依然低い水準にとどまると見ている。同時に、FRBの引き締めが成長を弱め、成長見通しも下方に傾斜したことも認識しているうえで、高インフレの抑制が最優先課題であることを再確認した。このため、FRBが計画している引き締めの軌道が大きく変更される可能性は少ないと思われる。

 

欧米市場イベント

○15:45   5月仏貿易収支(予想:128.00億ユーロの赤字)
○15:45   5月仏経常収支
○16:00   5月トルコ経常収支(予想:67.0億ドルの赤字)
○17:00   ビスコ伊中銀総裁、講演
○19:00   ミュラー・エストニア中銀総裁、講演
○20:55   ラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁、講演
○21:00   6月ブラジルIBGE消費者物価指数(IPCA、予想:前年同月比11.90%)
○21:30   6月カナダ雇用統計(予想:新規雇用者数変化2.35万人/失業率5.1%)
○21:30   6月米雇用統計(予想:非農業部門雇用者数変化26.8万人/失業率3.6%/平均時給、前月比0.3%/前年比5.0%)
○23:00   5月米卸売売上高(予想:前月比0.9%)
○24:00   ウィリアムズ米ニューヨーク連銀総裁、講演
○9日01:00   6月ロシア消費者物価指数(CPI、予想:前月比▲0.2%)
○9日01:45   ビルロワドガロー仏中銀総裁、講演
○9日04:00   5月米消費者信用残高(予想:319.0億ドル)
○20カ国・地域(G20)外相会合(インドネシア・バリ島、最終日)

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