FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:世界景気後退への警戒感が相場の重し

日本を除く主要国の中銀による金融引き締めと、世界景気後退への警戒感が引き続き相場の重しになった。需給悪化への警戒感もあり、前日までの戻り歩調が巻き戻された。世界景気後退への懸念は根強く、ディフェンシブ株が底堅い動きとなった一方、景気敏感株が売られた。新型コロナウイルスの感染再拡大が警戒される中国株が軟調となったことも、投資家心理の重しになった。市場では、『FOMC議事要旨などのイベントを控える中、需給悪化要因も意識されており、前日までの戻り歩調の反動が出やすかった』との声が聞かれた。また、上昇投資信託(ETF)の決算が週末に集中することから、分配金の捻出売りへの警戒感が出ている。結局、前営業日比315円安の2万6107円と3営業日ぶりに反落して終了した。

 

東京外国為替市場:持ち高調整とリスク回避から135円台前半でもみ合い

ドル/円は、前日の海外市場で景気後退の予兆とされる米長短金利の逆転(逆イールド)が発生したことから、持ち高調整などのドル売り・円買いが入り135.15円付近へ軟化した。日経平均株価の下げ幅拡大で、リスク回避姿勢が強まったことも円買いを誘った。午後のドル/円は、日米金融政策スタンスの違いを意識したドルの押し目買いが入り、135.50円付近まで値を切り返す場面があった。しかし、NY時間に予定されている6月米ISM非製造業景況感指数や米FOMC議事要旨を見極めたいとの雰囲気もあり、上値を追う動きは限られた。その後は、日経平均株価や米長期金利を睨みながら、やや値を下げて135.20円前後でもみ合いとなった。ユーロ/ドルは、この後に参入してくる欧州勢待ちの様相を呈しており、1.02台半ばで方向感に欠ける値動きとなった。

 

独が貿易赤字転落で域内のリセッション懸念:ユーロ売り強まる

ドイツの5月貿易収支は‐10億ユーロと1991年ぶりの赤字で、赤字幅は過去最高となった。輸出が前年比+11.7%、輸入は前年比+27.8%。長期にわたりドイツ経済は輸出がけん引してきたが、ここにきて、ウクライナ戦争などでエネルギー、食品価格の高騰で輸入が膨らんだ。ウクライナ戦争により、欧州が対ロ制裁を強化。ロシアは報復措置として、欧州への天然ガスの供給を減らしているため、欧州はコストがかかる代替措置を余儀なくされている。また、ウクライナは欧州にとり重要な輸出国であったが、戦争により輸出がままならない。欧州最大ドイツの貿易収支が赤字に転落、経済を脅かすためで、欧州経済が12カ月内に景気後退入りするとの懸念が一段と強まった。欧州中央銀行(ECB)も高インフレ対処で想定されているペースでの利上げ実施が困難との見方にユーロ売りに拍車がかかった。欧米の金利差拡大で、ユーロ・ドル相場が1.000ドルまで下落するとの見方も強まりつつある。

 

リセッション直撃なら原油は年末までに65ドルに下落:シティグループ

需要に打撃を与えるリセッション(景気後退)が直撃した場合、原油相場は今年末までに1バレル=65ドルに下落し、2023年末までに45ドルに値下がりする可能性がある。シティグループがこうした見方を示した。この見通しは、石油輸出国機構(OPEC)と非加盟の主要産油国で構成する『OPECプラス」の産油国による介入がないことと、原油投資の減少という前提に基づいていると、フランチェスコ・マルトチャ、エド・モース両氏を含むアナリストがリポートで指摘した。国際的な指標である北海ブレント原油は直近では1バレル=113ドル近辺で推移している。シティのアナリストらは5日のリポートで、『原油については、最悪の世界的リセッション時のみに原油需要がマイナスになることを歴史的証拠が示唆している』とした上で 『ただ、原油価格は全てのリセッション時にほぼ限界費用まで下落している』と指摘した。

 

NATOは北欧2国加盟に年内にも署名の予定

北大西洋条約機構(NATO)加盟の全30カ国は5日、ブリュッセルの本部で、北欧のフィンランドとスウェーデンの加盟議定書に署名した。ロシアのウクライナ侵攻を受け、冷戦中も維持してきた中立政策と決別した北欧2カ国の加盟を正式に承認した。加盟各国での批准手続きが順調に進めば、年内にも31、32カ国目として加盟が実現する。北欧勢の新規加盟で欧州の安全保障体制は大きな転換点を迎える。ただトルコは、北欧2カ国が約束したテロ対策などを履行しなければ批准しないと警告しており、手続きが難航する可能性もある。

 

トルコのリラ建て融資規制による為替相場の影響も剥落しつつある

先月下旬にトルコの銀行規制当局が発表した『外貨を大量保有する企業へのリラ建て融資禁止』は、為替相場への影響(対象企業による外貨売りリラ買い戻し)は既に剥落しつつある。公式発表による足もとのインフレ率が80%に迫ろうとするなか、政府は公務員の給与引き上げなど小手先の手段でしか対応できていない。国内のインフレ対策は完全に手詰まり感が出ており、できることは『金融引き締めのみ』という状況ではないだろうか。しかしながらそれも、頑ななまでに金利を嫌うエルドアン大統領によって阻まれてしまっている。今必要なのは、英FT紙のインタビューでイマモール・イスタンブール市長が主張しているように、経済界から大統領を諫める姿勢なのである。

 

南アでは燃料料金上昇でインフレ高進する可能性が高まる

注目されていた南アのガソリン等の免税措置では、従来通り本日7日から免税額はリッター1.50ランドから0.75ランドに引き下げられる。これによりガソリン価格はリッター2.37ランドから2.57ランド、ディーゼル価格は2.31ランド前後、本日から上昇する。この措置によりインフレはさらに高進する可能性が高まった。南アの金利高によるランド買いという面はあるが、景気減速懸念の方が上回るのではないかと思われ、ランド売り圧力が懸念される。

 

米タイガーのファンド損益:WSJ

米有力ヘッジファンドであるタイガー・グローバル・マネジメントの旗艦ファンドの6月の運用成績は3.4%のプラスだった。米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)電子版が日本時間6日、関係者の話しとして報じた。同ファンドの運用損益がプラスになるのは昨年もなるのは昨年10月以来となる。一方、1~6月期の運用リターンはマイナス50.1%で、米主要株価指数よりも下落率が大きかった。

 

米短期金融市場では23年半ばの利下げを予想

米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は、入手するデータを精査しつつ金融当局として『機敏』に対応していくと表明している。ただ金融市場の動きに遅れずついていくためには極めて機敏になる必要がある。1カ月足らず前には、フェデラルファンド(FF)金利誘導目標が4%を超える水準に上昇する利上げサイクルが織り込まれていた。だがそうした利上げ予想は急速に弱まっており、現在では23年1-3月(第1四半期)に約3.3%でピークを付けると見込まれている。このところの米経済指標では、5月のインフレ調整後の個人消費支出(PCE)の減少したほか、6月の製造業活動も鈍化が示された。そうした状況を背景に、JPモルガン・チェースやモルガン・スタンレーなど金融機関のエコノミストは米経済の成長予想を引き下げている。

 

米国市場では6月ISM非製造業景況指数:予想は55.5

5月実績は55.9で4月実績を下回った。中国の新型コロナウイルス対策やロシアによるウクライナ侵攻で悪化が続くサプライチェーンの制約が影響したとみられる。6月については、サプライチェーンの制約が対象改善される可能性があるが、新規受注や雇用指数の改善は期待できないとの見方が多く、5月実績を多少下回り可能性がある。

 

欧米市場イベント

○15:00   5月独製造業新規受注(予想:前月比▲0.6%/前年同月比▲5.0%)
○16:00   レーン・フィンランド中銀総裁、講演
○17:10   ピル英中銀MPC委員兼チーフエコノミスト、講演
○17:30   6月英建設業購買担当者景気指数(PMI、予想:55.0)
○18:00   5月ユーロ圏小売売上高(予想:前月比0.4%/前年比▲0.4%)
○20:00   MBA住宅ローン申請指数
○22:00   カンリフ英中銀(BOE)副総裁、講演
○22:00   ウィリアムズ米ニューヨーク連銀総裁、あいさつ
○22:45   6月米サービス部門PMI改定値(予想:51.6)
○22:45   6月米総合PMI改定値(予想:51.2)
○23:00   6月米ISM非製造業指数(予想:54.3)
○7日03:00   米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨(6月14-15日分)

カテゴリー: 欧州タイム市場コメント

カテゴリー

カレンダー

4月 2024
« 1月    
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
2930  

ページの先頭へ