FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:米金利の低下と円安を好感した買い優勢

欧州の主要な株価の上昇を好感する形で高く寄り付いた後も上値を伸ばした。米金利の低下基調を見込んだグロース(成長)株の物色や、米WTI原油先物の上昇を受けた鉱業や石油・石炭製品の買いがみられた。米国株先物が小じっかりと推移したほか、為替のドル/円が136円台と円安方向い振れ、投資家心理を支えた。市場では、『米経済指標が弱含み、インフレ懸念が収まる兆しが見えてきた一方、リセッションへの警戒が浮上し、綱引きになっている。そのため、投資家のセンチメントは切り替わりやすく、ボラティリティーは高まりやすい』との見方が出ている。結局、前営業日比269円高の2万6423円と続伸して終了した。

 

東京外国為替市場:リスク選好の円売りと利益確定のドル売りが交錯

ドル/円は、本邦輸入勢のドル買い・円売りや米長期金利上昇に支えられ、136.35円付近へ上昇した。日経平均株価の上げ幅が一時350円を超え、リスク選好が高まったことも円売りを誘った。ただ、休場明けとなる米国市場の株価動向や米経済指標を見極めたいとの雰囲気もあり、上げは一服した。その後は、利益確定などのドル売り・円買いも見られ、136.10円台へ小緩んだ。午後は、日経平均株や米長期金利を睨みながら、やや値を切り返して136.20円台を中心とする狭いレンジで取引された。本邦実需筋の売り買いが午前で一巡したこともあり、商いは薄かった。ユーロ/ドルは、このところ低調な米経済指標が相次いでいることで、持ち高調整などのユーロ買い・ドル売りが入り、1.04ドル台前半から1.04ドル台半ばへ水準を切り上げた。

 

トルコではインフレの加速度は増すばかり

欧州序盤に発表された6月トルコ消費者物価指数(CPI)は前年比+78.62%まで上昇し、同コア指数も+57%台まで伸び率を加速させた。同月生産者物価指数(PPI)に至っては前年比+138%台を記録した。トルコCPI(前年比)が前回値を上回ったのは13カ月連続となり、インフレの加速度は増すばかりである。『インフレを抑制するためには金融引き締め』とやるべきことが明らかにもかかわらず、トルコ中銀はまったく動く気配がない。最高権力者エルドアン大統領が金利を引き上げることを認めず、それどころか利下げにまで言及しており、中銀はそれにただ従っているだけという状態が続いている。中央銀行が独立性を完全に失い、物価高騰に無策である国の通貨を投資家が手放す動きは続いてしまう。さらに問題は、市民がトルコ統計局の数値を信じていないということでしょう。一部報道によると6月CPIについてイスタンブール商工会議所は+94%と割り出し、民間の調査機関ENAGはなんと+175%との調査結果を発表した。世論調査でも、民間データに近い物価上昇率をトルコ国民は感じている。

 

南アではガソリン等の免税措置変更でインフレ高進に拍車

今週は南アから主だった経済指標の発表がないことで、明日6日のガソリン等の免税措置の変更がないかを見定めることが重要になる。現時点での計算によるとガソリンはリッター2.37ランドから2.57ランド、ディーゼルは2.31ランド前後の上昇が予想され、1年前の54%高となる。現時点では免税額減額を延長するとの発表がないことで、このまま期限が切れた場合はエネルギー高で南アのインフレ高進に拍車がかかる。なお、国営電力会社エスコムはステージ6の電力負荷制限を昨日の午後から再開している。ここ最近はステージ6という数値に慣れてきているが、2008年から2019年までは3000MWまでの負荷制限のステージ3までしかない。しかし、2019年末に6000MWまでの負荷制限のステージ6を導入した。今年はこのステージ6が再び始まっている。なお、負荷制限はステージは8まであるが、その場合は1日6回または12時間までしか電力が供給されなくなる。

 

米大統領が対中関税一部撤廃との報道:野村証券

米WSJ電子版は4日、『バイデン大統領が間もなく対中関税の一部撤廃を発表すると見込まれている』と報じた。米国内のインフレ対策のほか、中国に対する経済的圧力を維持するという拮抗した問題で制約された決定を週内に行うとみられるという。野村証券は5日付のリポートで『通称協議、外交、安全保障などとの政策上の兼ね合いから大幅撤回は見込み難い』との見解を示した。リポ―トでは、バイデン政権が判断を下すと報じたのは、5日に通商法301条に基づく制裁関税制裁第1弾(リスト1)の品目別見直しの期限を迎えることを受けたものと考えられるとしながら、『品目見直しの期限はリスト2が8月22日、リスト3が9月23日、リスト4Aが来年8月31日となっているが、バイデン政権が同時に見直しを発表するかが、『対中制裁完全を無条件に撤回すれば、中国を抑止する効果が弱まることになりかねない』などと指摘し、対中制裁関税を広範に撤回するために大統領令を出す可能性は低く、概ね通商法に定めた米企業の要請に基づいて制裁を見直すことにとどまるとみていた。

 

6日のFOMCの議事録に注目:利上げスタンスを確認

米国市場では、6日にFRBによるFOMCの議事録が公表される(6月14-15日開催分)。FRBの金融政策に関しては前週6月29日、パウエル議長が行き過ぎた利上げがリセッション(景気後退)を招く可能性よりも、高インフレの抑制に失敗するリスクへの懸念のほうが大きいとの考えを示した。景気後退のリスクを高める結果になったとしてもFRBは利上げを急ぐ必要があるとし、インフレ高進が定着することのほうがより大きな危険になる、と強調している。今週の議事録でもこうした利上げ前傾(タカ派)スタンスが再確認されると、前週からの地合いに沿えば、米景気の先行き悪化懸念と米債金利の低下、ドル安と円高に作用する可能性がある。一方で米債金利の低下や資源下落は、米国株の支援材料となる。今週に米国株に上昇局面があると、クロス円ではリスク選好の円安・外貨高を支援する。ドル/円でも円高・ドル安が抑制される可能性がある。

 

インフレリスクよりもリセッションリスクに関心移る:ゴールドマン

ゴールドマン・サックスは4日付のリポートで『株式市場とコモディティ相場の相関性は最近の3ヵ月間で再び負の領域に達し、約20年ぶりの低水準に達した。これは市場がインフレリスクよりも成長やリセッションのリスクに関心を持ち始めていることを示唆している』との見解を示した。リポートでは、最近の工業用金属などの下落に着目。銅価格は最近まで、サプライチェーンの問題から中国の成長鈍化リスクの影響を受けていなかったが、中国リスクの影響が出てきているという。その一方、アセットアロケーションに関して今後3ヵ月は現金とコモディティをオーバーウエイト、株式と債券をニュートラル、クレジットをアンダーウエイトとする従来の見解を維持したものの、今後12ヵ月に関してはリスク資産を増やす機会を模索していると指摘。コモディティ相場がリセッションリスクで圧迫されているものの、今後3ヵ月、12ヵ月についてはコモディティのオーバーウエイトを維持した。

 

欧米市場イベント

○15:45   5月仏鉱工業生産(予想:前月比0.2%)
○16:50   6月仏サービス部門PMI改定値(予想:54.4)
○16:55   6月独サービス部門PMI改定値(予想:52.4)
○17:00   6月ユーロ圏サービス部門PMI改定値(予想:52.8)
○17:30   6月英サービス部門PMI改定値(予想:53.4)
○18:30   英中銀(BOE)、金融安定報告書を公表
○21:30   5月カナダ住宅建設許可件数(予想:前月比2.4%)
○23:00   5月米製造業新規受注(予想:前月比0.5%)
○6日01:30   テンレイロ英中銀金融政策委員会(MPC)委員、講演

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