FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:世界景気減速懸念が引き続き意識され買い控え

前日の下落を受けて自律反発を期待した買いが先行したが、米国などの金融引き締めの加速による世界景気減速懸念が引き続き意識され積極的な買いは手控えられた。米国株先物が軟調に推移したことも相場の重しになった。また、市場では、東京都が新型コロナの警戒度を1段階引き上げたことで国内経済の回復が遅れるとの思惑も、相場の重しになった。自動車や半導体関連など景気敏感株を中心に幅広い銘柄が売られた。日経平均の下げ幅は500円を超える場面があった。結局、前日比457円安の2万5935円と、6月20日以来の2万6000円割れとなった。

 

東京外国為替市場:リスク回避強まり135円割れの展開

ドル/円は、本邦輸入勢などのドル買い・円売りに支えられ、135.99円まで値を上げた。しかし、前日に発表された5月米個人消費支出や5月米PCEコアデフレーターが予想を下回り、米景気後退が警戒されていることから、積極的な上値追いは手控えられた。その後、米長期金利低下を眺めたドル売り・円買いに押される展開となり、135.20円台へ軟化した。日経平均株価や米株価先物の下落で、リスク回避が強まったことも円買いを誘った。午後に入ると、日経平均株価の心理的節目の2万6000円を割り込んで一段と下げ幅を拡大した。これを受けて、ドル/円はドル売り・円買いに弾みがつき、135円を割り込んで一時134.80円近辺へ下落した。ただ、今晩公表される6月米ISM製造業景況指数を見極めたいとの雰囲気もあり、下げは一服した。その後は、値ごろ感からドルを買い戻す動きも見られ、値を切り返して135.00円を挟んでもみ合いとなった。ユーロ/ドルは、週末を控えた持ち高調整などのユーロ売り・ドル買いが一巡すると、1.046ドル台方向感に欠ける値動きとなった。

 

日銀短観が2四半期連続で悪化:ゴールドマン・サックス証券

日銀が発表した6月短観で、大企業・製造業の業況判断DIがプラス9で前回3月調査のプラス14から悪化し、市場予想の中心値(プラス12)を下回った。ゴールドマン・サックス証券の1日付のリポートで『悪化は2四半期連続となる。業種別に見ると、16業種中12業種で悪化し、改善は2業種に止まった(2業種は不変)。主な悪化業種は木材・木製品、鉄鋼、汎用機械である。エネルギーをはじめとするコモディティ価格の高騰や、中国のゼロ・コロナ政策などによる供給ボトルネックが重石となった可能性が高い』との見解を示した。リポートでは大企業の先行き業況DIがほぼ横ばいとなっていることについて『製造業では、自動車、鉄鋼などで改善見込まれている一方、石油・石炭製品、木材・木製品などでは悪化が予想されている』と指摘した。22年度の想定為替レートが118.96円となったことについては『3月と比べて7円ほど円安方向に傾いているものの、足もとの水準(135円近辺)に照らすと依然としてキャッチアップは遅れており、このまま行けば輸出企業にとっては収益上アップサイド要因となる』と指摘した。ただ、『製造業でも輸入依存の高い素材業種や非製造業全般ではダウンサイド要因となる可能性が高いためっ要注意だ』とし、円安のネガティブな影響を警戒していた。

 

6月トルコ製造業PMIが公表:下振れには注意が必要

本日は6月トルコ製造業PMIが発表される。先月まで3カ月連続で景況感判断の境目となる50を下回っていた。エネルギー価格の高騰など基本的に製造業への負担は大きいままであり、状況が改善していないなか、結果の更なる下振れには注意が必要である。なお、エルドアン・トルコ大統領は昨日、NATOに加盟申請をしていたフィンランドとスウェーデンと結んだ覚書の内容は、トルコの外交的勝利を意味すると述べた。また、バイデン米大統領は、エルドアン大統領に米国はF16戦闘機を売却すべきと話した、と述べている。政府寄りのメディアは今回の成果を大きく持ち上げているが、一般市民がどのように感じているか、世論調査の結果が待たれるところである。 

 

南アでは6月CPIも高い水準なら75pbの利上げの可能性も

昨日発表された5月の南ア卸売物価指数(PPI)は前年比で14.7%の上昇となり、市場予想(14.1%)や前回(13.1%)を上回る結果になった。この結果は2008年9月に16%に達して以来の高水準となっている。燃料と食糧価格の上昇に歯止めがかからないことがPPIを引き上げている。すでにCPIも予想を上回る上げ幅だったことで、今月21日の南アフリカ準備銀行(SARB)金融政策委員会(MPC)での50ベーシスポイント(bp)の利上げは織り込んでいるが、MPC前に発表される6月CPIも高い水準となれば、米連邦準備理事会(FRB)に歩調を合わせ75bpの利上げの可能性もある。

 

メキシコでは大気汚染が深刻な問題

メキシコの首都メキシコシティで大気汚染が深刻な問題となっている。環境当局は今年前半の段階ですでに5回の大気質アラートを発令した。前年の4回をすでに上回った。環境学者などの分析によると、原因の一つが新型コロナウイルス後の経済活動の再開した。さらには今年前半の気温が平年と比べて高かったこと、春先に強い風が吹かなかったことも要因となっている。大気汚染の中でも特に問題視されているのがディーゼルやガソリン、天然ガスなどによる燃焼で発生した微小粒子状物質(PM2.5)である。国際環境保護団体グリーンピースは、2020年にメキシコシティでPM2.5によって亡くなった人数が1万5000人に達したとしており、今年は一段と深刻な大気汚染によって健康を害する人数が増加することも懸念される。

 

米インフレピークアウト:9月の利上げ休止観測強まる

米連邦準備制度理事会(FRB)がインフレ指標として特に注視している変動の激しい燃料や食品などを除いたコアPCE価格指数は前年比+4.7%となった。伸びは3カ月連続の鈍化で、予想も下回り昨年11月来で最小にとどまった。インフレがピークに達した可能性が示唆された。5月個人所得は前月比+0.5%と、予想に一致した。個人消費支出(PCE)は前月比+0.2%。伸びは4月+0.6%から予想以上に鈍化し、年初来で最小にとどまった。インフレを調整した実質個人支出は前月比-0.4%と昨年12月来で初めてのマイナスに落ち込んだ。1月から3月分も下方修正された。ガソリンや食料品価格の上昇で、支出が抑えられた証拠になった。下半期の消費の勢いが弱まり、成長の重しとなる可能性が示唆された。消費者信頼感指数も過去最低付近、高インフレでサービスの支出の伸びが弱まる可能性が強まった。6月の原油価格は月ベースで昨年11月以降初めて下落した。このため、今後のヘッドラインインフレ率が低下していく可能性がある。これに伴い期待インフレも低下すると見られ、大幅な利上げの必要性も薄れる。7月連邦公開市場委員会(FOMC)での0.75%の利上げ確率も低下傾向にあるほか、9月FOMCでは利上げ一時休止観測も強まりつつある。

 

S&P500 の過去140年弱気相場の下落期間は平均9.6ヵ月

米BofAの『Bull & Bear Indicattor』は既に『0』という極度の恐怖に至り市場センチメントが正に『陰の極み』に到達したようだが、アナリストは『売りは始まったばかり』と警鐘を鳴らしている。米BofAによれば、過去140年で19回の『Bear Market』(弱気相場)の株価下落率(平均)は37%、下落期間は289日(約9.6ヶ月)とされ、この平均値に従えば今回の『Bear 』(弱気)相場の下落調整はS&P500指数で3000水準、日柄的には1月4日高値4818から9.6ヶ月後の今秋10月頃まで波乱相場が続く可能性が指摘される。

 

欧米市場イベント

○16:00   6月トルコ製造業購買担当者景気指数(PMI)
○16:30   6月スイス製造業PMI(予想:57.9)
○16:50   6月仏製造業PMI改定値(予想:51.0)
○16:55   6月独製造業PMI改定値(予想:52.0)
○17:00   6月ユーロ圏製造業PMI改定値(予想:52.0)
○17:30   6月英製造業PMI改定値(予想:53.4)
○17:30   5月英消費者信用残高(予想:13億ポンド)
○17:30   5月英マネーサプライM4
○18:00   6月ユーロ圏消費者物価指数(HICP)速報値(予想:前年比8.4%)
○18:00   6月ユーロ圏HICPコア速報値(予想:前年比3.9%)
○22:45   6月米製造業PMI改定値(予想:52.4)
○23:00   6月米サプライマネジメント協会(ISM)製造業景気指数(予想:54.9)
○23:00   5月米建設支出(予想:前月比0.4%)
○23:30   6月メキシコ製造業PMI
○2日01:00   1-3月期ロシア国内総生産(GDP)確報値(予想:前年比3.5%)
○2日02:00   デコス・スペイン中銀総裁、講演
○2日03:00   6月ブラジル貿易収支(予想:99.94億ドルの黒字)
○米債券市場は短縮取引(独立記念日の前営業日)
○カナダ(建国記念日)、休場

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