FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:内需関連に買いが入り指数を下支え

日経平均株価も朝方は売り優勢で始まったものの、一時は2万7000円を回復するなど、小緩みながらも底堅さを感じさせる動きとなった。実質6月最終日とあって12月の決算企業の中間配当権利を取る動きがあったものの、全体的に方向感に乏しい展開だった。ただ、自動車などの景気敏感が買われたほか、内需関連にも買いが入り、指数を支えた。前日比178円高の2万7049円と4日続伸して終了した。

 

東京外国為替市場:月末絡みのドル売りがやや優勢

ドル/円は、仲値にかけて本邦輸出勢から月末に絡むドル売り・円買いフローが多く持ち込まれ、135.40円付近へ下落した。その後も、米長期金利低下を眺めたドル売り・円買いに押され、135.10円付近へ下落した。ただ、NY市場でつけた安値135.03円に接近すると下げは一服した。その後は、日米金融政策スタンスの違いを意識したドルの押し目買いが入り、135.25円付近へ値を切り返した。日経平均株価や米長期金利を睨みながら、135.30円台を中心とする狭いレンジで取引された。ユーロ/ドルは、1.05ドル台後半で小幅な値動きに終始した。欧州勢待ちの様相となっている。

 

S&P500指数が上昇した週にHFは6週連続売り越し:BofAセキュリティーズ

BofAセキュリティーズの27日付の顧客フローのリポートによると、同社の顧客は20~24日の1週間に米株を12億2700万ドル売り越した。4週連続の売り越しとなる。この週は24日に発表された6月のミシガン大学消費者信頼感指数確報値で1年先の予想インフレ率が5.3%となり、速報値(5.4%)から下方修正されたことを受けてインフレ懸念が和らぐ中、S&P500指数が週間で6.44%高となって4週ぶりに大幅反発した時だった。主体別動向では、ヘッジファンド(HF)が2億6200万ドルの売り越し。機関投資家は13億6000万ドルの売り越しで、5週連続の売り越しだった。個人投資家は4億6600万ドルの売り越しで、2週連続の売り越し。企業の自社株買いは8億6100万ドルの売り越しで、5週連続の売り越しだった。企業の自社株買いは8億6100万ドルで4週移動平均(10億300万ドル)を下回って低調だった。相場が反発局面を迎えたものの、上場投資信託(ETF)を含めれば29億ドル超の大幅売り越しとなり、積極的な買い手不在の状況が伺えた。中でもエネルギー関連のETFの売越額が膨らみ、同セクターのETFとしては2017年以来の大きさを記録した。

 

イタリアで最大政党が分裂:政局リスクが金利上昇の一因

イタリアでは議会最大勢力の五つ星運動がウクライナ支援を巡って分裂した。ディマイオ外相が旗揚げした新党はドラギ政権を支持する方針を示唆しているが、コンテ前首相が率いる五つ星運動内には来年の選挙を睨んで政権から距離を置くべきとの声も浮上している。総選挙後は右派ポピュリスト政権が誕生する可能性が高く、財政運営などを巡ってEUとの対立再燃が不安視される。ECBの利上げ開始が近づくなか、イタリアの長期金利に上昇圧力が及んでいる。緊急理事会で南欧金利の上昇抑制策の検討が支持されたが、政治不安からも金利に上昇圧力が及びやすい。

 

トルコの銀行調整監視機構の融資禁止規制の影響が残った

先週末にトルコの銀行調整監視機構(BRSAまたはBDDK)が決定した『外貨の大量保有企業に対するリラ建て融資禁止』の影響が残った。対象となる外貨現金資産が多い企業が、リラ転換を急ぐのではないかとの思惑が強まった。銀行規制当局が融資禁止とした企業は、1500万リラ相当(1ドル=16.5リラで9000万ドル超)以上の外貨キャッシュを保有し、それが総資産または1年間の売上高の10%を超える場合である。一部通信社の調べでは、監査対象となる企業数は約1万社とされているが、その中でもダメージを受ける企業の数は限られるということである。先週末と週初の上げでリラの下値警戒感は一旦緩んだかもしれない。しかしながら、資本規制強化への警戒感は高まる一方であり、外資の流入増はあまり見込めそうにもない。なお、29日からマドリードで始まる北大西洋条約機構(NATO)首脳会議に参加するエルドアン大統領は、前日から現地入りする。そこでストルテンベルグ事務総長と、NATO加盟を申請している北欧2カ国の首脳と話しあうことが報じられている。

 

南アジャンク債から脱出できるか

格付け会社スタンダード&プアーズ(S&P)は5月20日に南ア債の格付けをStableからPositiveに引き上げた。南ア債はいまだにジャンク扱いのままですが、Positiveになったことで、どのようにしたら格上げされ、ジャンク債から脱出ができるかということが注目されている。 脱出のために必要とされているのは、南アの政策が依然として不確実性が高いことで、改善が必要とされている。ラマポーザ政権樹立後はある程度安定はしているが、重要な政策について与党内でも異なる方向に動くことが多いことで、海外からの直接投資の障壁になっているとされている。また、大きな問題としては国営電力会社エスコムによる度重なる負荷制限の改善が必要と指摘されている。手ごろな価格で信頼性が高く、安定したエネルギー供給はどの国の開発とGDP成長にも不可欠となることで、エスコム問題の解決も必至とされている。ポジティブまで見通しは上がった南ア債だが、ここからが正念場と言える。 

 

メキシコ中銀の金利先高期待が高まる:次回会合も0.75%の利上げか

先週のメキシコ中銀による金融政策は満場一致での0.75%の大幅利上げとなり、利上げに消極的だったエスキベル副総裁やヒース副総裁も利上げに賛同したことで、さらなる金利先高期待が高まっている。声明文では『次回の会合でも政策金利の引き上げを継続する意向で、必要であれば同様の強硬策を取ることを検討』としている通り、次回会合でも0.75%の大幅利上げが市場では予想され始めている。最新のCPIも前年比で+7.8%と、先日中銀が発表した四半期リポートでのピーク値+7.6%をすでに超えてきており、インフレ抑制のための一段の金融引き締めは避けられない。

 

米国の金利市場は景気後退リスクを過少評価:ゴールドマン・サックス

ゴールドマン・サックス・グループの金利ストラテジストは、米金利市場が2024年のリセッション(景気後退)リスクを過小評価しているとの見方を示した。プラビーン・コラパティ氏ら同行ストラテジストは24日付のリポートで、市場が示唆する米政策金利予想は、23年の早い時期の『下振れ余地は限定的』と示唆する水準に過去数週間で低下したが、24年のフェデラルファンド(FF)金利のプライシングは景気後退リスクを過小評価している可能性があると指摘した。インフレの高止まりリスクは、リセッション懸念によるイールドカーブの傾斜への影響を複雑にしていると述べた。

 

米国市場では6月CB消費者物価指数:予想は100.4

5月実績は106.4で4月実績の108.6から低下した。インフレの高止まりや大幅な利上げが消費者心理を圧迫しつつあるとみられる。6月については、インフレの状況が改善していないことや金利高が懸念されていることから、5月実績を下回る可能性が高い。

 

欧米市場イベント

○15:00   7月独消費者信頼感指数(Gfk調査、予想:▲27.6)
○15:45   6月仏消費者信頼感指数(予想:84)
○17:00   ラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁、講演
○17:30   レーンECB専務理事兼チーフ・エコノミスト、講演
○18:30   エルダーソンECB専務理事、講演
○20:00   パネッタECB専務理事、講演
○20:00   5月メキシコ失業率(季節調整前、予想:3.10%)
○21:30   5月米卸売在庫(予想:前月比2.1%)
○22:00   4月米住宅価格指数(予想:前月比1.5%)
○22:00   4月米ケース・シラー住宅価格指数(予想:前年比21.0%)
○23:00   6月米消費者信頼感指数(予想:100.4)
○23:00   6月米リッチモンド連銀製造業景気指数(予想:▲5)
○23:00   デイリー米サンフランシスコ連銀総裁、インタビュー
○29日02:00   米財務省、7年債入札
○主要7カ国首脳会議(G7サミット、独エルマウ、最終日)
○ECB年次フォーラム(ポルトガル・シントラ、29日まで)

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