FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:週末の米国高を好感した買い優勢

前週末の米国市場では、米ミシガン大学が発表した6月の消費者信頼感指数(確報値)が速報値から下方修正され、過去最低を更新した。そのため、米連邦準備理事会(FRB)による金融引き締めへの過度な警戒感が和らいだ。米市場でハイテク株比率の高い米ナスダック総合やフィラデルフィア半導体指数が大幅上昇し、日本市場でも半導体製造装置関連や電子部品がしっかりだったほか、WTI原油先物が堅調な中、鉱業や石油・石炭製品が買われた。中国株が小高く推移したことも相場を支援した。上海市でコロナの感染が収まっていきており、需要回復への思惑から設備投資関連株も物色された。上げ幅は一時400円を超えた。結局、前週末比379円高の2万6871円と3日続伸して終了した。

 

東京外国為替市場:上下に振れるも午後は134円台後半でのもみ合い相場

ドル/円は、仲値に向けて本邦輸出勢などのドル売り・円買いフローが多く持ち込まれ、135円を割り込んで134.53円付近まで下落した。24日に発表された6月ミシガン大学諸費者信頼感指数・確報値が50.0と過去最低に落ち込み、米国の景気減速が懸念されていることもドル売り要因となった。ただ、同日の東京市場でつけた安値134.36円が視界に入ると下げは一服した。その後は、日米金融政策スタンスの違いを意識してドルを買い戻す動きも見られ、134.90円付近へ値を切り返した。午後は、日経平均株価や米長期金利を睨みながら、134円台後半でのもみ合いが続いた。ユーロ/ドルは1.056ドルを注視とする狭いレンジ相場となった。欧州勢待ちの様相となっている。

 

前週のFX概況はドル買い比率が上昇:ユーロや豪ドルの買いは低下

QUICKが27日算出したFX5社合計(週間)の建玉状況によると、『ドル/円』取引の総建玉に占めるドル買い比率は24日時点で66.5%だった。前の週末から6.0ポイント上昇した。円相場が約24年ぶりの安値圏から大きく上昇する局面で、相場の流れに逆らう(逆張り)』傾向が強いとされる個人投資家は円売り・ドル買いに動いた。前週21日に円相場は一時1ドル=136.71円と1998年10月以来の安値を更新した。その後は米景気の先行き懸念が強まり、円相場は134円台前半まで戻す場面があり、個人の円売り・ドル買いが増えた。しかし、市場では『円安が続くとしても4~5月のような一方的な下げ局面は終わったとみる個人は少なくないため、135円台後半に差し掛かると利益確定を目的とした円買い・ドル売りが増え始める』との声も聞かれた。ドル以外の通過に対しては円買い・外貨売りが増えた。『ユーロ/円』取引ではユーロ買い比率が0.9ポイント低下の23.6%となったほか、『豪ドル/円』取引では豪ドル買いの比率が63.0%と1.2ポイント低下した。

 

ロシア政府は対外債務不履行:米WSJ報道

米紙WSJ電子版は日本時間27日朝、ロシア政府が外貨建てでの債務不履行(デフォルト)に陥ったと報じた。債券保有者の話では、ロシア側は26日遅くまで2つの外貨建て債券の支払いを怠ったという。WSJによるとロシアが外貨建てでのデフォルトに陥るのは、ロシア革命直後に債務不払いを宣言した1918年以降で初めて。この日は5月に利払い期限があった国債の30日の猶予期間の最終日にあたり、債券保有者にドルとユーロで1億ドル相当を支払う期日となっていた。だが、ウクライナ侵攻に伴う経済制裁の一環でロシアが国際金融システムから切り離されたことで、利払いが出来なかったみられる。

 

トルコ銀行規制当局が融資制限を発表:リラを支える対応の一環

先週末にトルコの銀行規制当局が突然発表した『外貨を保有する企業へのリラ融資制限』の影響をまずは見極めることになる。トルコでは24日夜、同国銀行調整監視機構(BDDK)が、ドルやユーロなど外貨を大量に保有する企業グループに対し、銀行が新たなリラ建て融資を行うことを禁止すると公表した。週末の流動性が薄い時間帯に相場は一時リラ買いを強め急騰した。 今回の対象は、外貨保有額が『総資産や年間収益の10%か1500万リラ相当を超える企業』に適用される。借り手となる一般企業への衝撃はもとより、貸し手の銀行セクターも混乱が予想される。金利を上げずにリラを支えようとする当局の対応の一環だが、トルコ経済全般への打撃に繋がってしまうかもしれない。 一部エコノミストからは『資本規制の強化』とも指摘され、今後も同様の措置が続くことが警戒される。今回の施策によりトルコ国内に資金を置くことへの恐怖感が増し、資本の流出が加速してしまうのではないかとの見方もある。

 

南アでは7月の再利上げは織り込み:今週に指標結果で利上げ幅の予想変更も

先週発表された5月の南ア消費者物価指数(CPI)は市場予想を上回る6.5%の上昇となった。この結果は2017年1月以来の高い水準だったが、当時の政策金利は6.6%だった(現在は4.75%)。市場では7月に50bpの再利上げ予想が織り込まれているが、次回の南アフリカ準備銀行(SARB)・金融政策委員会(MPC)前に6月CPIの発表も予定されている。利上げ幅予想も変更になる可能性もある。南アのインフレ高進による利上げ期待がランド/円の支えにな今週発表される経済指標は29日に4-6月期BER消費者信頼感指数、30日にそれぞれ5月の生産者物価指数(PPI)と貿易収支が発表される。これらの指標でランドが急変するのは難しいが、消費者信頼感指数が落ち込んでいる場合は、南アのスタグフレーション懸念も高まると思われることで注目したい。また、今週も米債利回りや米株式市場の動きがランドの値動きを左右しそうである。

 

メキシコと米国の関係に新たな亀裂

メキシコ政府が原油の輸出入や給油所の運営で民間企業の許認可を停止できる改正法案、電力取引で国営企業が有利になる法改正を推し進めるなか、米通商代表部(USTR)は自由貿易協定に違反しているとの主張を強める構えであることが明らかになった。USTRはほかの象徴と協議をしながら正式な協議の要請を検討しており、要請が実現化された場合はメキシコは30日以内に協議の設定に同意する必要があるということである。ロペスオブラドール大統領は数週間後にはワシントンを訪れる予定となっているが、今回の件で懸念を表明する可能性があり、米・メキシコの関係悪化が深刻化する可能性も出てきた。すでに今月初旬に開催していた米州首脳会議は米国側のキューバなどへの対応を不服にメキシコ大統領は異例の欠席を選ぶなど、両者の亀裂が入るなかで緊張感が高まってきた。

 

機関投資家アンケートでは年末S&P500予想は弱気:JPモルガン

JPモルガンは24日付リポートで、6月中旬に開催したマクロ・クオンツ・カンファレンスで行った機関投資家アンケート調査の結果を示した。アンケートでは、『機関投資家はS&P500種株価指数に弱気で、年末の予想は3000~4500の範囲にあり、下値に大きく偏っている。米国株の変動性指数(XIV)は22年下期に平均で25.0~27.5程度になると予想した。また、年末までに10年債利回りが3~4%、コアCPI(米消費者物価指数)物価上昇率が3~6%の間になると予想している。インフレ圧力はあと3ヵ月から12ヵ月続くと多くの人が考えている一方、回答者の18%は12ヵ月以上続くとみている。多くの投資家(44%)は、年末までに原油価格が1バレル=100~120ドルの間で上昇すると見ており、一部(29%)はさらに上昇して120~140ドルと見ている。投資家は原油価格が1バレル当たり140~150ドルになれば、需要は減少すると考えている』との結果が示された。また、リポートでは『投資家のほぼ半数が中立金利を2.5~3%の間と推定し、多くの人(31%)が2~2.5%の間と予想している。米連邦準備理事会(FRB)の政策金利は、このサイクルで3.5%前後でピークに達すると見込んでいた。回答者のほぼ全員(およそ90%)が、2022年か23年に景気後退を予想している』との見方が示されていた。

 

米国市場では5月耐久財受注が公表:予想は前月比+0.1%

4月実績は前月比+0.4%だった。輸送用機器の受注が増加した。ただ、コア資本財の受注はやや低い伸びにとどまっており5月については全体的な受注水準は4月実績を下回る可能性がある。

 

欧米市場イベント

○16:00   ビルロワドガロー仏中銀総裁、講演
○20:00   5月メキシコ貿易収支
○21:30   5月米耐久財受注額(予想:前月比0.2%/輸送用機器を除く前月比0.4%)
○23:00   5月米住宅販売保留指数(仮契約住宅販売指数、予想:前月比▲3.8%/前年比なし)
○28日00:30   米財務省、2年債入札
○28日02:00   米財務省、5年債入札
○28日02:30   ラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁、講演
○ECB年次フォーラム(ポルトガル・シントラ、29日まで)
○主要7カ国首脳会議(G7サミット、独エルマウ、28日まで)

カテゴリー: 欧州タイム市場コメント

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