FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:米イベント通過に伴う買い戻し

市場の関心が高かった米連邦公開市場委員会(FOMC)を通過し、買い戻しが先行した。一時600円超高に上昇したが、心理的節目となる2万7000円の手前では利益確定売りに抑えられ伸び悩んだ。前日までの4営業日で終値ベースで約1900円下落しており、イベントの通過に伴って買い戻しが強まった。自動車など輸送用危機器や機械株といった輸出関連株、ハイテク株、高PER株など幅広い銘柄で買い戻しが先行した。午後は主力銘柄に持ち高調整の売りが出て上げ幅を縮めた。結局、前営業日比105円高の5営業日ぶりに反発した。東京証券取引所が16日発表した6月第2週(6日~10日)の投資部門別株式売買動向によると、海外投資家(外国人)は1823億円買い越した。買い越しは3週ぶりとなった。個人投資家は15億円売り越しとなり、売り越しは4週連続となった。信託銀行は119億円売り越しとなり、売り越しは3週連続となった。

 

東京外国為替市場:ドル/円は利益確定売りなどのドル売りやや優勢

ドル/円は、低下していた米長期金利の持ち直しや日経平均株価の大幅反発を眺めたドル買い・円売りが入り、134.68円付近までじり高となった。仲値にかけて本邦輸入勢のドル買い・円売りが通常より多く観測されたことも、ドル/円の押し上げ要因となった。ただ、今晩の米経済指標や米株動向を見極めたいとの雰囲気もあり、上げは一服した。その後は、利益確定などのドル売り・円買いも見られ、134円台半ばでもみ合いとなった。午後は、日経平均株価や米長期金利を睨みながら、やや値を下げて134.30円前後で取引された。明日予定されている日銀金融政策決定会合の結果や黒田総裁の記者会見を前に、ポジションを傾けにくくなっている。ユーロ/ドルは、1.04ドル台前半で小動きに終始した。欧州勢待ちの様相となっている。

 

トルコのCDSの急上昇:金融・経済への警戒感高まる

信用リスクを示すクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)は、トルコ5年債が800ベーシスポイント(bp)を超えて推移、2年債に至っては900bpを大きく上回っている。投資家のトルコ金融・経済への警戒感は高まる一方ですある。トルコ中銀が導入した『市中銀行が外貨預金を保有(顧客に外貨預金サービスを提供)するためには、5年満期以上のリラ建て国債(固定金利)が担保に必要』も市場には不評のようである。外貨預金は2380億ドル規模とされ、その3-10%分のトルコ債買いが必要になり、既にリラ建ての長期債利回りは低下傾向である。ただ、これは結果的に『利下げ』と同じと受け止められ、為替相場ではリラ売りが続いている。なお、北大西洋条約機構(NATO)は月末に首脳会議を行う予定である。それに先立ち15-16日と国防相理事会が開かれ、加盟を申請したフィンランドとスウェーデンも参加している。月末の会議までに、北欧2カ国の加盟に否定的なトルコをどのように説得するのかが注目される。

 

南アの4月小売売上高は予想上回る

昨日発表された南ア4月小売売上高は市場予想を上回る結果となった。最大の成長は家庭用家具、電化製品、などで6.8%の伸びとなった。また、衣料品、靴、皮革製品の売上高も6.4%増加した。規制の緩和により、上述した家庭用家具、電化製品は今後は伸びが低下するとの声が出ている。一方で、規制緩和によるオンラインからの脱却で、繊維、衣類等が伸びるとされている。懸念材料としては、インフレの高進、経済成長の低さ、資金調達コストの上昇、企業や消費者のセンチメントの低さが今後の課題として残っていると南アでは報じられている。

 

メキシコ中銀は強力な金融政策をとる必要:インフレ目標を上回る状態

ヒース副総裁は講演で『個人的な見解では75bpの利上げ派が過半数を占めるだろう』と発言した。中銀はインフレ抑制のために必要に応じてより強力な金融政策を取る必要があり、今後の焦点は『8月11日の会合で利上げ幅を75bpとするか、50bpに戻すかだ』としている。さらに政府のインフレ抑制策やガソリン価格への補助金制度がなければ、インフレ率は今後10%台に乗せる可能性もあると指摘した。世界的なエネルギー価格の高騰に対して強い懸念を示した。なお、9日に発表された最新の消費者物価指数(CPI、5月分)は前年比で7.65%の上昇した。前回の同7.68%からはわずかに伸びが鈍化したものの、依然として中銀のインフレ目標(3.0%±1.0%)を大きく上回る状態が続いている。

 

FRBの金利見通しが市場に追いつく

米連邦準備制度理事会(FRB)は市場の思惑通り連邦公開市場委員会(FOMC)で1994年以降最大となる0.75%の追加利上げを決定し、インフレ抑制に努める強い姿勢を見せた。FRBの金利見通しも市場予想との大きな乖離を縮小した。パウエル議長は、夏の終わりまでにFFを2%台とし、年末までに金利を3%-3.5%水準にしたいと言及した。6月、7月FOMCで 0.75%の利上げ(150BP)、9月、11月FOMCで0.5%の (100BP)に踏み切る軌道で、市場予想にほぼ一致する。

 

債券市場でFRB議長の会見はハト派的と捉える:ゴールドマン・サックス

米連邦準備理事会(FRB)が14~15日に開いた米連邦公開市場委員会(FOMC)で、市場予想通り75bpの大幅利上げが決まった。パウエル議長はFOMC後の記者会見で『この規模が普通になるとは思っていない』と述べつつ、7月FOMCに関して『0.5か0.75のいずれの決定になる可能性が高い』と述べ、50bpの利上げに戻り可能性を示唆した。ゴールドマン・サックスは15日付のリポートで『FRB6月FOMCで75bpの利上げを発表し、四半期経済見通し(SEP)のFF金利のドット・プロットでは22年末の目標レポートでは、債券市場が記者会見をハト派的と捉えたことについて『7月に100bpではなく、50bpか75bpの利上げがありそうだと述べたからだろう』と指摘した。その一方、パウエル議長が記者会見でバランスの取れたメッセージを発したことに着目。パウエル議長は、これまでの金融引き締めには満足していると指摘しながらも、FOMCが景気後退を誘導しようとしているわけではないことを力説した点に関心を寄せた。

 

欧米市場イベント

○16:00   ビスコ伊中銀総裁、講演
○16:30   スイス国立銀行(中央銀行)、政策金利発表(予想:▲0.75%で据え置き)
○16:45   ビルロワドガロー仏中銀総裁、講演
○16:50   パネッタ欧州中央銀行(ECB)専務理事、講演
○17:00   バスレ・スロベニア中銀総裁、講演
○17:30   デギンドスECB副総裁、講演
○18:30   クノット・オランダ中銀総裁、センテノ・ポルトガル中銀総裁、デコス・スペイン中銀総裁、講演
○20:00   英中銀(BOE)、政策金利発表(予想:1.25%に引き上げ)
○20:00   英中銀金融政策委員会(MPC)議事要旨
○21:20   マクルーフ・アイルランド中銀総裁、講演
○21:30   4月カナダ卸売売上高(予想:前月比0.2%)
○21:30   5月米住宅着工件数(予想:169.6万件、前月比▲1.6%)
          建設許可件数(予想:178.0万件、前月比▲2.4%)
○21:30   6月米フィラデルフィア連銀製造業景気指数(予想:5.5)
○21:30   前週分の米新規失業保険申請件数/失業保険継続受給者数(予想:21.5万件/130.2万人)
○ポーランド(聖体祭)、南アフリカ(青年の日)、ブラジル(キリスト聖体祭)、休場

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