FITS エコノミックレポート

朝の市場コメント!

米国株式市場は下落:インフレ高進や経済後退懸念が意識された売り

NYダウは269.24ドル安の32910.90ドル、ナスダックは88.96ポイント安の12086.27ポイントで取引を終了した。経済協力開発機構(OECD)が世界経済の見通しを大幅に引き下げたことを背景に、成長鈍化を警戒した売りに寄り付き後は下落した。また、10年債利回りが再び3%台に達し、金利の上昇も重しとなった。さらに、天然ガス、原油価格の上昇でインフレ高進への警戒も強まり、主要株式指数をさらに押し下げた。VIX指数は24.02から23.96へわずかに低下した。

 

NY外国為替市場:日銀の金融緩和継続による円売り優勢

ドル/円は、黒田東彦日銀総裁が国会答弁や講演などで、大規模な金融緩和策の継続を繰り返し表明すると、日米金融政策の方向性の違いに着目した円売り・ドル買いが活発化し、一時134.47円と2002年2月以来20年4カ月ぶりの高値を更新した。米10年債利回りが3.03%台から2.98%台まで上昇幅を縮めると133.61円付近まで売られる場面もあったが、下押しは限定的だった。米10年債入札が『低調』と伝わり、米10年債利回りが3.04%前後まで上昇したことを受け、134.30円付近まで強含んだ。 

 

ユーロ/ドルは、欧州中央銀行(ECB)がインフレに対応するため金融引き締めを急ぐとの見方が強まる中、独10年債利回りが一時1.363%前後と14年6月以来8年ぶりの高水準を記録した。ユーロ買い・ドル売りが優勢となり、一時1.0748ドルと日通し高値を更新した。ただ、米長期金利が上昇傾向を強めると1.0713ドル付近まで上値を切り下げた。

 

NY原油先物市場は続伸:供給不足を警戒した買い優勢

NY原油先物市場は119.30ドル-123.18ドルのレンジ相場となった。米エネルギー省(EIA)の週間石油在庫で、ガソリン在庫が予想に反して取り崩しとなったことが材料視された。今後も需給が引き締まるとの見方から一時は123.18ドルまで上昇する場面も見られた。アジア市場の序盤で119.30ドルまで下げたが、その後反転し、ロンドン市場で121ドル台まで買われた。ニューヨーク市場の序盤で119.44ドルまで反落したが、供給不安を警戒した買いが入ったことで一時123.18ドルまで一段高となった。通常取引終了後の時間外取引では122ドル台で推移した。 

 

NY金先物市場は続伸:株安を意識した買い

NY金先物市場は1846.60-1862.40ドルのレンジ相場となった。米国株式相場が下落したことで、安全資産とされる金に買いが入った。また、外国為替市場では対ユーロでドル安が進み、ドル建てで決済される金価格の割安感が意識された面もある。ニューヨーク市場の序盤にかけて1846.60ドルまで下げたが、株安を意識した買いが入ったことで一時182.40ドルまで上昇した。ただ、米長期金利の上昇を受けてポジション調整的な売りも観測され、上げ渋った。通常取引終了後の時間外取引では主に1855ドルを挟んだ水準で推移した。 

 

米国債券市場は下落:原油高でインフレへの懸念強まる

米国債券市場で中長期ゾーンは下落(利回りは上昇)した。米2年物国債利回りは前営業日比0.03%高い(価格は下落)2.76%で終了した。また、米10年物国債利回りは前営業日比0.05%高い3.02%で終了した。原油高でインフレへの懸念が強まると債券売りが広がった。10年債入札が『低調』と受け止められたことも相場の重し。なお、市場では『10日に発表される5月米消費者物価指数(CPI)に注目が集まっている』との声が聞かれた。

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