FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:円安と米株価指数先物の上昇を好感した買い

先週末の米5月雇用統計を受けた米国株の下落を受け、寄り付きは200円超下げて始まった。しかし、寄り付き直後を安値に直ぐに下げ幅を2桁に縮小した。外国為替市場で円安・ドル高が進んだことが自動車や機械といった輸出関連の支えとなった。また、米株価指数先物が午後に上げ幅を広げており、日本株の買い安心感にもつながった。米国が高インフレに対応するため、対中関税を引き下げる候補に日用品や自動車などを挙げていることが好感された。結局、前営業日比154円高の27915円と続伸して、3月30日以来の高値となった。

 

東京外国為替市場:ドル/円は130円台半ばでもみ合う展開

ドル/円は、先週末に発表された5月米雇用統計の強い数字で、米FRBの利上げペースが加速するとの思惑から一時130.98円付近まで上昇し、約1ヵ月ぶりのドル高・円安をつけた。しかし、東京市場で急ピッチの上昇に対する警戒感から、利益確定やポジション調整のドル売り・円買いが持ち込まれ、130.55円付近へ軟化した。米長期金利が時間取引で小幅に低下したことも、ドルの押し下げにつながった。昼過ぎに、黒田総裁が講演を行い『強力な緩和を粘り強く続ける必要がある』『経済は感染症から回復途上にあり、所得面は資源価格上昇で下押しされているため、金融引き締めを行う状況には全くない』などと発言した。新味に乏しい内容と受け止められ、ドル/円相場への影響は限定的となった。午後に入ると、本邦輸出勢のドル売り・円買いが観測されるなかで一時130.43円付近まで値を下げた。しかし、今晩の米株価動向を見極めたいとの雰囲気もあり、下値を追う動きは限られた。その後、日経平均株価の上げ幅拡大がリスク選好の円売りを誘い、値を持ち直して130.60円台を中心に取引された。ユーロ/ドルは、本日はフランスやドイツが休場となるため、積極的な売り買いは目立たず、1.07ドル台前半で小動きに終始した。

 

ドイツとフランスが休日のため動意に乏しい展開の可能性も

本日のロンドン為替市場のユーロドルは、スウェーデンが建国記念日で休日、ノルウェー、ドイツ、スイス、フランスが聖霊降臨祭翌日の月曜日で休日となることで、動意に乏しい展開が予想される。ユーロドルは、9日の欧州中央銀行(ECB)理事会に向けて動きづらい展開が予想される中、ウクライナ情勢には引き続き要警戒となる。5日午前、ウクライナの首都キーウ(キエフ)で複数回の爆発があったとクリチコ市長が明らかにした。キーウは4月下旬を最後に攻撃を受けていなかったことで、ロシアによる首都への攻撃が再開される可能性に要警戒となる。プーチン露大統領は、ウクライナにより射程の長いミサイルが供与されれば、ロシアは新たな標的に対して攻撃を拡大する、と警告している。一方で、ロシア建国の日である6月12日の『ロシアの日』を節目に軍事作戦を終了させるのではないか、との噂も流れており、引き続きウクライナ関連のヘッドラインには要警戒となる。

 

前週のFX概況ではドル買い比率低下

QUICKが6日に算出した店頭の外国為替証拠金(FX)5社合計(週間)の建玉状況によると、『ドル/円』取引で総建玉に占めるドル買い比率は3日時点で56.7%だった。前の週末から13.3ポイント低下し、4月中旬以来の低水準となった。約20年ぶり安値である1ドル=131円台前半がせまる中、個人投資家は目先の利益を確定する目的で円買い・ドル売りを入れた。前週は5月の米雇用統計など市場予想を上回る米経済指標の発表が相次いだほか、NY原油先物相場も再び1バレル120ドル台に上昇、米長期金利が上昇したのもあって外国為替市場では円相場が3日に一時130.98円と5月9日以来およそ1ヵ月ぶりの安値を付けていた。だが、131円台に入ると円は底堅さを増すとの見方から、個人投資家はいち早く利益確定売りに動いた。ドル以外の通貨では円買い・ユーロ売りの勢いが増している。『ユーロ/円』取引ではユーロ買い比率が12.0ポイント低い13.6%と、2007年2月の算出開始以降で最低となった。円が対ユーロで1ユーロ=140円台前半で約7年ぶりの円安・ユーロ高水準で推移する中、個人による利益確定目的に円買い・ユーロ売りが入ったほか、欧州の景気減速を意識した新たにユーロ売りの持ち高を形成する動きも活発となった。

 

トルコでは抜本的な対策なしではインフレ抑制も難しい

先週末に発表された5月トルコ消費者物価指数(CPI)は前年比73.5%と市場予想を下回ったものの、1998年以来の伸び率を記録した。トルコ中銀が政策決定のうえで重要視するとしたコアCPIも、前年比が前回52%台から56%まで上昇した。くわえて、同月生産者物価指数(PPI、前年比)が132%超えと加速度は増すばかりである。このインフレ結果を受けてネバティ・トルコ財務相は、月次インフレ率が低下傾向にあると指摘した。今後も天候の良さで農業生産が拡大し(食料品の価格が下落)、インフレ緩和に向かうだろうと述べている。 確かに前月比CPIは3%をやや割り込み、前回7%台から4%まで低下するとの予想値も下回った。ただし、天気頼みの農業生産だけが明るい兆しとは心許ないと言える。エネルギー価格も上昇基調を維持するなか、抜本的な対策なしではインフレ抑制は難しそうである。

 

南アの財政悪化が懸念されランドの重し

南ア政府は4・5月には、エネルギー価格上昇抑制のために、ガソリンなどにかかる関税をリッター当たり1.5ランド免除してきた。6月の対応が注目されていたが、先週鉱物資源エネルギー省(DMRE)は引き続き1日から7月6日まで同水準の免税延長、7月7日から8月2日にかけては0.75ランドの免除を発表した。また、今月のガソリン等の基準価格も、市場予想より価格上昇が抑えられた。この措置はインフレ抑制と国民の不満解消の一助にはなるが、大規模洪水被害によるインフラ再整備やコモディティ価格の上昇が小休止しているなか、南アの財政悪化が懸念されており、ランドの重しとなりそうである。その状況下で9日に発表される、経常収支には注目をしておきたいところである。

 

メキシコ中銀総裁はインフレ高進からペソ高容認姿勢

先日発表された四半期のインフレリポートでは、インフレのピーク値が引き上げられたほか、中銀目標値まで戻ってくる時期を後ずれした。また、各メンバーの見解も伝わっている。先日の会合では0.75%の利上げを主張するなど、メンバーの中で最もタカ派寄りのエスピノーサ副総裁は『インフレ見通しが引き上げられたことでさらなる利上げが必要になった。ただ、何回、どれだけの規模の利上げが必要となるかは不透明』と述べている。なお、ロドリゲス総裁はメキシコペソについて語っており、『ペソ高はマクロ経済の安定から来ている』とペソ高へは容認する姿勢を示している。

 

米国の利上げ議論は9月のFOMCに移っている

5月の米雇用統計が力強い内容だったことを受け、連邦準備制度理事会(FRB)は2週間後に開く次回および7月下旬の連邦公開市場委員会(FOMC)で0.5ポイントの利上げを決めることがほぼ確実となった。労働省が3日発表した雇用統計によると、非農業部門就業者数は前月比39万人増加した。職探しをする人が増える中、失業率は3.6%で横ばいだった。賃金の前月比上昇率は0.3%と再び鈍化した。この傾向が持続すれば、労働市場の過熱を巡るFRB当局者の懸念は若干和らぐ。FRB当局者は6月と7月のFOMCで0.5ポイント利上げする必要があるとの見方でおおむね一致している。そのため、議論は9月のFOMCに移っている。

 

欧米市場イベント

○ニュージーランド(女王誕生日)、韓国(戦没者慰霊日)、スウェーデン(建国記念日)、ノルウェー、ドイツ、スイス、フランス(聖霊降臨祭翌日の月曜日)、休場

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