FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:米国先物の上昇と円安基調が支援

連休明けの米国株式市場は反落したものの、日本株は米国株先物のしっかりした動きや外国為替市場での円安基調が支援した。市場では、米国株との連動性が薄まっており、日本株は重いのほか底堅いとの声が聞かれた。米長期金利が上昇し、為替の円安が進む中、景気敏感セクターを中心に買いが先行、外資系証券などの日本株の投資判断も支援材料となった。結局、前営業日比178円高の2万7457円で終了した。4月21日以来の高値となった。信用評価損益率は5月27日申し込み時点でマイナス12.4%と、前の週のマイナス12.16%からマイナス幅が0.24ポイント悪化した。悪化は2週ぶりとなった。

 

東京外国為替市場:日米金融政策スタンスの違いを意識した円売り優勢

ドル/円は、本邦輸入勢などのドル買い・円売りや米長期金利上昇に支えられ、129.10円台へ値を上げた。日経平均株価の上げ幅拡大で、リスク選好が高まったことも円売りを誘った。ただ、高値警戒感から上値では利益確定売りや持ち高調整のドル売り・円買いも見られ、129.00円付近へ緩んだ。午後に入ると、日米金融政策スタンスの違いを意識したドル買い・円売りで一時129.30円近くまで上昇した。ユーロ/ドルは、欧州景気の減速に対する根強い懸念から、ユーロ売り・ドル買いが優勢となり、1.07ドル割れをうかがう姿勢を見せた。

 

HFや機関投資家が売り越し:BofAセキュリティーズ

BofAセキュリティーズの5月31日付の顧客フローのリポートによると、同社の顧客は23日~27日の1週間に米株を12億5000万ドル売り越した。6週ぶりに売り越しに転じたことになる。この週は、27日に発表された4月の米個人消費者支出(PCE)コア物価指数が鈍化してインフレ懸念がやや和らいだことで、S&P500指数が週間で6.58%高となって8週間ぶりに反発して終えた時だった。主体別動向ではヘッジファンド(HF)が7億4500万ドルの売り越しで、2週連続の売り越しとなった。機関投資家は16億9600万ドルの売り越しで、2週ぶりの売り越しだった。個人投資家は2200万ドルの小幅買い越しで、2週連続の買い越しとなった。企業の自社株買いは11億7000万ドルで4週移動平均(18億6700万ドル)を下回って好調だった。リリーフ・ラリーで強い相場展開の中、個別株の売り越しが大きかった反面、上昇投資信託(ETF)への資金流入は3月末以来の大きさを記録した。決算シーズンの終わりが近づく中、企業の自社株買いのペースは鈍化した。

 

1-3月期トルコGDP予想を上振れ:今後は消費の落ち込みが懸念

昨日発表された1-3月期トルコ国内総生産(GDP、前年比)は7.3%増と予想から0.2%ほど上振れた。金融緩和を背景とした個人消費の拡大や、通貨安の恩恵を受けた輸出増に支えられた。ただし前四半期の9.1%増から鈍化しており、手放しで喜ぶことはできない。インフレ高騰から脱却する術も見当たらず、今後は消費の落ち込みが懸念されている。観光シーズンに入る4-6月期であるが、トルコにとって優良顧客であったロシアとウクライナの戦争が泥沼化するなか、観光業の回復の遅れは避けられない。今四半期の成長はあまり期待できそうにもなく、やはりリラの買いづらさは変わらない。ところで一部メディアは、トルコ野党連合の『総選挙が今年11月に前倒しされる可能性』との見方を報じている。経済問題で国民の苛立ちが強まるなか、エルドアン大統領は予定されていた来年6月まで待てないと見ている。選挙に関する大統領の発言が今後は注目される。

 

南アのエネルギー関税の免除延期:財政の急激な悪化懸念

昨日、最大の注目となった南アのエネルギー関税は、リッター1.5ランドの免除が6月1日から7月6日まで延長された。また、その後7月7日から8月2日かけては、0.75ランドの免除実施が鉱物資源エネルギー省(DMRE)から発表された。また、今月のガソリン等の基準価格も、市場予想よりも価格上昇が抑えられた。国内価格を抑えたことで国民の不満爆発は一先ず避けられそうだが、今後の南ア財政の急激な悪化は懸念される。先月20日に格付け会社スタンダード&プアーズ(S&P)社が南ア債の格付け見通しを、『安定的』から『ポジティブ』に引き上げたが、今後は見通しの引き下げの可能性もあり得るかもしれない。

 

南アの1-3月期の失業率は改善方向

昨日発表された1‐3月期の失業率は34.5%となり、市場予想や前回値(35.3%)よりも強い結果となった。また、拡大失業率(求職をあきらめた人を含む)は46.2%から45.5%へ低下、15歳から24歳の若年層失業率も63.9%(前回66.5%)に改善された。コロナの影響で2020年からは電話でのデータ収集だったものが、今回からは対面でのデータ収集となったことも改善要因となった。 なお、4月の貿易収支は市場予想を下回った。アジア圏への輸出が中国でのロックダウンの影響もあり31%減少したことが、黒字額の減少の要因とされた。

 

米国市場では5月ISM製造業景況指数:予想は54.5

参考となる4月実績は55.4で2020年7月以来の低い水準となった。受注残、雇用指数が低下した。仕入れ価格の上昇ペースは鈍化しつつある。5月については、サプライチェーンの制約状況は改善しつつあるが、中国における都市封鎖の影響が出ていることから、4月実績を下回る可能性がある。

 

欧米市場イベント

○15:00   4月独小売売上高(予想:前月比▲0.2%/前年比4.0%)
○15:00   5月英ネーションワイド住宅価格指数(予想:前月比0.6%)
○16:00   5月トルコ製造業PMI
○16:30   5月スイス製造業PMI(予想:61.0)
○16:50   5月仏製造業PMI改定値(予想:54.5)
○16:55   5月独製造業PMI改定値(予想:54.7)
○17:00   5月ユーロ圏製造業PMI改定値(予想:54.4)
○17:00   クノット・オランダ中銀総裁、講演
○17:30   5月英製造業PMI改定値(予想:54.6)
○18:00   4月ユーロ圏失業率(予想:6.8%)
○20:00   MBA住宅ローン申請指数
○20:00   ラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁、ビルロワドガロー仏中銀総裁、パネルディスカッションに参加
○22:45   5月米製造業PMI改定値(予想:57.5)
○23:00   カナダ銀行(BOC、中央銀行)、政策金利発表(予想:1.50%に引き上げ)
○23:00   5月米サプライマネジメント協会(ISM)製造業景気指数(予想:54.5)
○23:00   4月米建設支出(予想:前月比0.5%)
○23:30   5月メキシコ製造業PMI
○2日00:15   パネッタECB専務理事、議会証言
○2日00:30   レーンECB専務理事兼チーフ・エコノミスト、講演
○2日00:30   ウィリアムズ米ニューヨーク連銀総裁、講演
○2日01:00   4月ロシア失業率(予想:4.3%)
○2日02:00   ブラード米セントルイス連銀総裁、講演
○2日03:00   米地区連銀経済報告(ベージュブック)
○2日03:00   5月ブラジル貿易収支(予想:45.66億ドルの黒字)

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