FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:2万7000円が心理的な壁として注目

米国株は主要3株株価指数がFRBが公表した米FOMC議事要旨を無難に通過し、米国株が買い戻された。前日の米国株高を受けて日経平均株価は、朝方は200円超高と堅調に推移したが、その後は値を消して前日終値近辺でのもみ合いが続いた。外国為替市場でドル/円の動向や値がさハイテク株の値動きに左右される展開となった。引き続き手掛かり材料難となる中、上値の重さが意識される状況となった。市場では2万7000円が心理的な壁として注目された。これを突破するには新たな材料が必要となるとの声が聞かれた。結局、前営業日比72円安の26604円と3日続落して終了した。5月第3週(16~20日)の海外投資家(外国人)は336億円の買い越しとなり、2週連続となった。個人投資家は389億円の売り越しとなり、2週ぶりの売り越しとなった。信託銀行は566億円の買い越しとなり、4週連続となった。

 

東京外国為替市場:米景気への減速懸念から127円台前半でのもみ合い相場

ドル/円は、日経平均株価の上げ幅が一時200円を超えたことや米長期金利上昇に支えられてドル買い・円売りが進み127.50円付近へじり高となった。仲値にかけて国内輸入企業のドル買い・円売りが通常より多く観測されたことも、ドル/円の押し上げにつながった。仲値発表後も堅調地合いは続き、127.58円付近まで値を上げた。ただ、24日の欧州市場でつけた127.64円が上値の目処として意識されると上げは一服した。その後、日経平均株価が急速に伸び悩むと、持ち高調整などのドル売り・円買いに押され、127円台半ばから127円台前半へ水準を切り下げた。午後に入ると、海外勢などからドル買い・円売りフローが持ち込まれ、127.55円付近へ値を上げた。しかし、米長期金利が一時低下に転じたこともあり、上値を追う動きは限られた。その後、米景気への減速に対する根強い懸念からドル売りも見られ、やや値を下げて127.30円台を中心とする狭いレンジでもみ合いとなった。ユーロ/ドルは、前日にECB当局者から金融緩和を緩やかに解除していく方針が望ましいとの発言が伝わったことで、ユーロ売り・ドル買いが優勢となり、1.0665ドル近くへ下落した。

 

中国経済は20年のコロナ禍より幾つかの側面で深刻:李克強首相

中国の李克強首相は同国経済について、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)が世界を襲った2020年よりも幾つかの側面で悪化しているとの見方を示し、失業率の低下に取り組むよう求めた。地方当局者や国有企業、金融機関と景気安定の方策について協議した李首相は、会合後に『中国の経済統計は著しく悪化している。厳しさは幾つかの側面において、またある程度において、パンデミックの打撃を受けた2020年よりも深刻だ』と述べた。首相は当局者らに対し、失業率を低下させ、今年4-6月(第2四半期)の経済活動が『妥当なレンジ』で推移するよう確実を期すことを求めたと、国営メディアが報じた。

 

ECBは7月に利上げ開始へ

ラガルド総裁は6月理事会を17日後に控えた異例のタイミングで、7月の利上げ開始と9月末までのマイナス金利脱却の方針を示唆した。こうした方針は既に理事会内のコンセンサスとなっている模様だが、インフレ抑止に向けたECBの強い政策意図が読み取れる。一部のタカ派メンバーが7月の50bp利上げを主張しているが、景気の先行きや金融政策を取り巻く環境の不透明感に鑑み、主流派メンバーの多くは7月と9月に25bpの連続利上げを選択する可能性が高い。

 

トルコの中銀金融政策委員会が会合結果を発表:据え置き予想

本日はトルコ中銀金融政策委員会(MPC)が会合結果を発表する。足もとのインフレが70%近くまで急騰しているのにもかかわらず、エルドアン・トルコ大統領の圧力に屈したMPCが引き締めに動くことはないと見られている。予想通りであれば、主要政策金利である1週間レポレートは5会合連続となる14.00%で据え置かれることになる。 注目は声明内容である。前回4月の会合では『物価と金融の安定のために取られた措置と、ベース効果によるインフレ率の低下、および進行中の地域紛争の解決を背景に、ディスインフレーションプロセスが開始されると予想』とし、インフレが減速する見通しを示した。ただ、昨年末から今月にかけて政府や中銀が講じてきた物価抑制策や、リラ安阻止を目的とした対策の効果が薄れているのは明らかである。金融当局者が現実を受け止め、インフレ抑制に向けての強い意志を表すようであれば、市場の不安を和らげることにつながるかもしれない。一方、年末に向けて依然として楽観的と受け取られるようだと、リラの失望売りを呼んでしまうかもしれない。

 

南アではストライキが始まる:経済的にも悪影響

公務員協会(PSA)と全国教育保健連合(Nehawu)との交渉は不調に終わったことで、南アフリカ歳入庁(SARS)でのストライキが始まった。ストライキの規模や期間等の詳細を判明していないが、世界中でインフレに苦しむ労働者の不満が高まっている。ある程度の賃上げ等を行わない限り、ストライキは継続され、経済的にも悪影響が及ぶことになる。なお、余談になるが南アの隣国ジンバブエのインフレ率は131.7%に急上昇している。

 

メキシコ中銀の金融引き締めが加速する可能性も

インフレ指標である5月隔週メキシコ消費者物価指数(CPI)は前年比で+7.58%と予想こそ若干下回ったものの依然として高水準を記録している。8会合連続で実施している利上げの効果も薄く、政府からも今月17日から食肉、卵、野菜などの食品を中心とした品目に対する輸入関税を撤廃する措置を開始したがこの効力にも疑問視されるなかで、ますます中銀の金融引き締めが加速化することが想定される。

 

22年度の米財政赤字は1兆ドルあまり縮小:議会予算局

米議会予算局(CBO)は、2022会計年度の財政赤字額が前年度の2兆7750億ドルから1兆360億ドルに減少するとの見通しを発表した。新型コロナウイルスのパンデミックで打撃を受けた経済が力強く回復し、税収が急増することを挙げている。

 

米求人サイトでの求人データが冷却を示唆:インフレにとって良いニュース

BofAセキュリティーズは25日付リポートで、米国のインフレ問題がサプライ・サイドと労働市場のひっ迫によって引き起こされていると指摘しつつ、『悪いニュースは失業率がまた下降傾向にあることだ。失業率は毎月低下しており、雇用者数は40~50万人で動きている』と指摘した。一方で、『良いニュースは、高頻度データが冷却を示唆していることだ。13日現在、米インディードの求人情報は2021年12月31日の最高値から8.5ポイント減少した。さらに、米レベリオ・ラボラトリーズの新規求人数は4月に200万件減少し、減少幅は業界全体に広がった。失業保険の申請件数は、過去7週間でやや増加している』とも指摘した。BofAでは26日発表の新規失業保険申請件数が21万8000~22万件を超えるとみている。失業率の上昇には申請件数が30万件を超える必要があるとしつつ、『これは限られた範囲のケースの1つで、悪いニュースは良いニュースだ。失業率が低ければ低いほど、景気後退を引き起こさずにインフレを止めるのは難しい。これは経済全体に悪影響を及ぼすだけでなく、特に恵まれない人々に悪影響を及ぼす』との認識を示した。

 

米国市場では1-3月期国内総生産(GDP)改定値:予想は前期比年率-1.3%

参考となる速報値は前期比年率-1.4%だった。輸入急増と輸出減少、民間在庫の伸びが鈍ったことがマイナス成長の要因となった。改定値については、純輸出の寄与度は変わらないと予想されるが、民間投資や個人消費は上方修正される可能性があるため、改定値が上方修正される可能性は残されている。

 

欧米市場イベント

○16:30   ロシア中銀、政策金利発表(予想:11.50%に引き下げ)
○18:30   4月南アフリカ卸売物価指数(PPI、予想:前月比1.1%/前年比12.3%)
○20:00   トルコ中銀、政策金利発表(予想:14.00%で据え置き)
○21:30   3月カナダ小売売上高(予想:前月比1.4%/自動車を除く前月比2.0%)
○21:30   1-3月期米国内総生産(GDP)改定値(予想:前期比年率▲1.3%)
○21:30   1-3月期米個人消費(改定値、予想:前期比2.8%)
○21:30   1-3月期米コアPCE(改定値、予想:前期比5.2%)
○21:30   前週分の米新規失業保険申請件数/失業保険継続受給者数(予想:21.5万件/131.0万人)
○23:00   4月米住宅販売保留指数(仮契約住宅販売指数、予想:前月比▲2.0%/前年比▲8.0%)
○27日01:00   ブレイナード米連邦準備理事会(FRB)副議長、講演
○27日02:00   米財務省、7年債入札
○27日02:30   センテノ・ポルトガル中銀総裁、講演
○スイス、ノルウェー、スウェーデン(キリスト昇天祭)、休場
○世界経済フォーラム(WEF)の年次総会(ダボス会議、最終日)

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