FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:米国金利上昇に対する警戒感が強く売り優勢

米連邦準備理事会(FRB)がインフレ抑制に一段と積極的な利上げを行わざるを得なくなるとの懸念が重石となり、前週末の米国株式市場は主要3株価指数が続落した。これらを受けて大型連休明けの日本株は軟調な展開になった。日経平均の時価水準はPERで12倍台で割安であるため、押し目買いが入りやすいものの、引き続き米国金利上昇に対する警戒感が強いことから、下値を探る動きとなった。また、米国株先物が軟調に推移していることがムードを悪化させた。結局、前営業日比684円安の2万6319円と反落して終了した。信用評価損益率は4月28日申し込み時点でマイナス12.87%と、前の週のマイナス12.81%からマイナス幅が0.06ポイント悪化した。

 

東京外国為替市場:米長期金利が上昇したことで総じてドル買い優勢

ドル/円は、日米金融政策スタンスの違いを意識したドル買い・円売りが優勢になり、130.90円付近へ上昇した。米長期金利が一時約3年半ぶりの高水準となる3.15%台へ上昇したことも、ドルの押し上げにつながった。午後に入っても堅調地合いは続き、一時131.11円付近まで上昇した。ただ、4月28日に付けたおよそ20年ぶりの高値131.25円が視野入りすると上げは一服した。その後は、利益確定や持ち高調整のドル売り・円買いも見られ、131.05円を挟んでもみ合う展開になった。ユーロ/ドルは、本日がロシアの対独戦勝記念日にあたるため、ウクライナ情勢が一段と緊迫するとの思惑からユーロ売り・ドル買い基調が続き、1.05ドル割れをうかがう姿勢を見せた。

 

前週のFX概況はドル比率が低下:ポンドやNZドルに買い

QUICKが9日に算出した6日時点の外国為替証拠金(FX)5社合計(週間)の建玉状況によると、円に対するドルの買い比率は64.4%と前の週末から1.1ポイント低下した。1ドル=130円台で円安進行が一服する中、円売り・ドル買いの持ち高を解消する動きが出た。もっとも『個人投資家の間で当面円安・ドル高基調が続くという認識自体は変わっていないとみられ、ドル買いは減っていない』との声があり、低下幅は小幅にとどまった。円に対するユーロやオーストラリア(豪)ドルの買い比率も低下した。ユーロ/円取引でのユーロ買い比率は前の週末から5.0ポイント低下の22.3%、豪ドル/円取引での豪ドル買い比率は同0.4ポイント低下の65.7%となった。半面、ポンドやニュージーランド(NZ)ドルについては外貨買い・円売りの入津が高まった。ポンド/円取引でのポンド買い比率は同4.2ポイント上昇の61.7%と3月上旬以来およそ2ヵ月ぶりの高水準となった。NZドル/円取引でのNZドル買い比率は同1.5ポイント上昇の71.4%と2月下旬以来の高さだった。ポンド、NZドルとも前週は対円で下落していたため、相場の流れに逆らう『逆張り』の買いが入った。

 

中国経済の不振は近隣国に広がる余波:WSJ

中国経済は新型コロナウイルス流行初期以来、最も深刻な景気減速に見舞われている。その影響は国境を越えて波及する見通しで、とりわけアジアの近隣諸国が大きな打撃を被りそうだ。中国では経済を支える住宅市場の苦境が続く中、上海など各地でコロナ対策のロックダウン(都市封鎖)が敷かれ、景気見通しが急速に悪化している。コロナ規制が製造業とサービス業に打撃を与え、4月の購買担当者指数(PMI)は2020年前半以来の低水準に沈んだ。それでも、指導部は厳しい「ゼロコロナ」政策に固執しようとしている。

 

トルコのインフレは加速:リラ相場の頼みは外国資本

先週発表された4月トルコ消費者物価指数(CPI)では、前年比が70%近くまで加速した。トルコ中銀がその後に公表した月間の物価動向レポートで、エネルギーと商品価格の世界的な高騰、およびサプライチェーンの混乱が主な原因とされた。先週の原油先物は強含んだまま引けており、エネルギーを輸入に頼るトルコにとっては厳しい状況が続きそうである。そして、リラ相場の頼みは外国資本である。先日報道された、外国人投資家が2年以上の投資をすれば融資利率を優遇し、投資へのリターンもドル建てで保証するという政府案の行方が注目される。また、経済制裁を受けたロシア・オリガルヒ(新興財閥)の資金の一部が、トルコに流入していることもリラの支えとなるかもしれない。トルコと関係改善に踏み出した(ように見える)サウジアラビアの動向も気になるところである。

 

南アランド相場は米金利の動向に連れた動き

先月後半からランド相場は、米金利の動向に連れた動きを繰り返している。米連邦公開市場委員会(FOMC)後は米金利が低下するとランドが買われる場面もあったが、一日も持たずに米金利が急上昇すると連れ安となった。今週も米金利の動向がランド相場へ与える影響が大きい。ここしばらくは、ウクライナでの戦争による代替輸出国通貨としてのランド買い需要と、米金利の上昇や洪水による南アの財政負担増を受けたランド売り要因の綱引きを見極める必要がある。また、連日行われている電力の負荷制限が、これよりも悪化するのかも注目しておきたいと思われる。

 

メキシコのオフィス稼働率の低迷は2024年まで継続か

米格付け会社フィッチは5日、メキシコに関する最新のレポートを発表した。メキシコ国内のオフィス空き状況は今後2年間はネガティブな見通しであることを明らかにした。新型コロナウイルス対策としてのソーシャルディスタンスに関する規制の解除とオフィスへの回帰はオフィス稼働率の緩やかな回復を示していることは確かだが、勤務体制に対する企業の柔軟な対応が回復を鈍化させているとのことである。また、オフィスの一部を住宅用として活用している不動産業者も増えてきており、賃料低下につながっているとフィッチは指摘している。ただ、このような状況は世界的にすでに広がっている事実であり、日本国内に関しては2020年中旬をピークに空室率は徐々に減っており、パンデミックの先行き不安が軽減されるなかで、徐々に回復速度を上げていくだろうとの楽観的な意見も市場では出ている。

 

米4月雇用統計では雇用は12ヵ月連続で40万人超

米労働省が発表した4月雇用統計で失業率は3.6%と、3月から低下予想に反し変わらずだった。非農業部門雇用者数は前月比+42.8万人と、伸びが減少予想に反して3月から変わらず。12カ月連続で40万人超えとなった。3月分は43.1万人から+42.8万人へ、2月分は75万人から71.4万人へそれぞれ下方修正された。2カ月分の修正は-3.9万人になった。 平均時給は前月比+0.3%と、3月+0.5%から伸びが予想以上に鈍化した。前年比も+5.5%と、伸びは3月+5.6%から予想通り鈍化した。労働参加率は62.2%と、3月62.4%から上昇予想に反し低下した。不完全雇用率(U6)も7.0%と、3月6.9%から上昇した。

 

今週は米国の物価指標に注目が集まる:3月から伸びが鈍化する見込み

今週は、米国の4月の消費者物価指数(CPI)や生産者物価指数(PPI)などの重要インフレ指標に注目が集まる。FRBが特にインフレ指標として注目している燃料や食料品を除いたコアCPIは前年比で3月から伸びが鈍化する見込みになっている。PPIも同様である。3月にインフレがピークをつけた兆候が多く見られ始めている。金利の上昇が一段落した場合は、ドルの上昇も一段落する可能性がある。ただ、中国のパンデミックによる経済封鎖でサプライチェーン混乱が一段と深刻化する可能性があるほか、ウクライナ戦争の影響で、燃料や食料品、原材料価格の上昇が、インフレを一段と引き上げる可能性には警戒感が依然強い。 

 

欧米市場イベント

○15:45   3月仏貿易収支(予想:111.90億ユーロの赤字)
○15:45   3月仏経常収支
○20:00   4月メキシコ消費者物価指数(CPI、予想:前年比7.73%)
○21:30   3月カナダ住宅建設許可件数
○23:00   3月米卸売売上高(予想:前月比1.8%)
○香港(釈迦生誕節の振替休日)、ロシア(戦勝記念日)、休場

カテゴリー: 欧州タイム市場コメント

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