FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:日銀金融政策決定会合に上げ幅拡大

まちまちの米国株を受けて小高く始まった後、しばらくはプラス圏とマイナス圏を行き来した。しかし、上昇銘柄が比較的多かったことや、米株先物が強めに推移したことなどから下値不安が後退した。買いに勢いがついて上げ幅を3桁に広げた。決算を発表したデンソーが急伸すると、トヨタ含めグループ企業にも資金が向かい、これに触発されるように全体も一段高となった。そのまま強い動きを維持する展開になった。日銀が大規模な金融緩和策の維持を決めると発表し外国為替市場で円安・ドル高が進むと、輸出関連銘柄を中心に買いが入って日経平均は上げ幅を広げた。結局、前営業 日比461円高の2万6847円で終了した。

 

東京外国為替市場:日銀政策決定会合後に円売り強まり130円台へ

ドル/円は、明日から始まる大型連休を前に、仲値にかけて本邦輸入勢などのドル買い・円売りが通常より多く持ち込まれ、128.80円台へ上昇した。日経平均株価の反発でリスク回避姿勢が和らいだことも円売りを誘った。ただ、日銀金融政策決定会合の結果を見極めたいとの雰囲気もあり、上げは一服した。昼過ぎに日銀金融政策決定会合で大規模な金融緩和策の継続を決定した。そして、長期金利の上昇を抑え込むための『指し値オペ』を原則毎営業日実施する方針を明記した。これを受けて、日米金融政策スタンスの違いが鮮明になったことで仕掛け的なドル買い・円売りが持ち込まれ、128円台後半から129.90円付近へ急伸した。その後も、日経平均株価の大幅高にも支えられて一時130.27円付近まで上昇、約20年ぶりのドル高・円安をつけた。ユーロ/ドルは、米FRBの金融引き締めが加速するとの思惑からユーロ売り・ドル買いが強まり、一時1.0483ドル程度まで下落、およそ5年3ヵ月ぶりの安値を付けた。ロシアがポーランドとブルガリアへの天然ガス供給を停止したことで、欧州景気の減速が警戒されていることもユーロの重石になった。

 

指し値オペで金利上限を守るコミットメントを強化か:ゴールドマン

27~28日に開かれた日銀の金融政策決定会合で現状維持が決まった一方、イールドカーブ・コントロールに関して連続指し値オペの運用の明確化が示され、『明らかにに応札が見込まれない場合を除き、毎営業日、実施することとした』と明示された。ゴールドマン・サックス証券は28日付のリポートで「『政策金利については、現在の長短金利水準、またはそれを下回る水準で推移することを想定』というフォワード・ガイダンスを据え置いた以上、これと整合性をとるための措置と思われるが、市場は10年金利バンドの上限を守り抜くコミットメントの強化と受け取るだろう』との見解を示した。リポートでは、日銀会合後に円安が進んだことを踏まえ、「15時30分からの、黒田日銀総裁の記者会見が開催される。鈴木財務相までもが『悪い円安』といってはばからない中で、『円安は日本経済に全体としてプラス』とする持論に、南らかの微調整を行うか否かが注目される」とも見ていた。

 

20年のロシア経済成長率はマイナス12.4%の可能性

ロシア政府は、2020年の経済成長率が基本シナリオでマイナス8.8%、保守的なシナリオでマイナス12.4%になると予想している。経済省の文書で27日明らかになった。制裁の影響を受けていることが改めて浮き彫りとなった。新たな制裁や貿易を巡る不透明感があるため、今年のロシア経済がどの程度のタメージを受けるかは不明である。政府は今年、複数回にわたって予測を修正する可能性が高い。経済省の文書によると、今年のインフレ率は最大22.6%に加速する見通しとなっている。4月15日時点のインフレ率は17.62%だった。

 

トルコは重要な観光顧客であるロシアにすり寄る姿勢

ネバティ・トルコ財務相は先日、ロシア人観光客はロシアの決済システム(クレジットカード)を使用でき、トルコで支払いに困ることはないと述べた。もっとも、ロシアのクレジットカードを受け入れているトルコ企業は全体の約15%のみとされている。いずれにせよ、主要産業である観光業の復活のため、重要な顧客のロシアにすり寄る姿勢は今後も続きそうである。

 

南アランドは週末・月末の特殊玉による変動に注意

昨日のランド/円は日本時間の16時に対ドルでランド売りが大きく入ると、8.00円までランド円も下値を広げた。先週21日にも16時に同様のランド売りフローが出たが、値決めが同時刻に行われている模様。欧州時間にはロンドンフィキシング以外にも様々な値決めがあるので、その一部ではないかと思われる。なお、昨日は南ア市場が自由の日で休場だったこともあり、同国からは経済的な動きだけでなく、注目されるような政治的な動きもなかった。ランドは昨日特殊玉が出ていたが、明日は週末・月末となることで、本日も含め同様の動きとなる可能性がある。特にロンドンフィキシングにかけては、神経質な値動きになりやすい。南アからは3月の卸売物価指数(PPI)が発表される。消費者物価指数(CPI)は市場予想を下回ったが、PPIが大きく上振れた場合は来月の利上げ幅の予想に変化が生じるかもしれず、注意深く見ておきたいところである。

 

メキシコ大統領発言が米選挙に影響するか注目

ロペスオブラドール大統領は25日の定例記者会見において、ラテン系の米国人は彼らを『虐待した』米政治家には投票すべきではないと述べた。これは前週末にトランプ前米大統領が『メキシコに対して関税による脅しをかけた』『メキシコからの移民締め出しのために国境警備を強化した』などと述べたことに対する感想を聞かれての発言である。ロペスオブラドール大統領は『メキシコやカリブ海諸国などが虐待された場合、11月の米中間選挙では民主党か共和党かに関わらず、その政党と候補者には投票しないでください』と訴えている。米国ではメキシコを出自とする人口が現在3700万人ほどいるとされており、これは米国内で増加するヒスパニック系人口の中でも最大派閥となる。米国内におけるメキシコの影響が益々強まるなか、今回の大統領発言がどのような影響を及ぼすのか注目しておきたい。

 

米国1-3月期GDPのマイナ成長と警戒

米商務省が発表した、3月前渡商品貿易収支は-1253億ドルとなった。赤字幅は2月1063億ドルから縮小予想に反し拡大し過去最大を記録した。原油などを含み燃料価格の上昇が影響し、輸入は+11.5%の2946億ドル。輸出は+7.2%の1693億ドルとなった。
赤字の予想外の拡大は1-3月期国内総生産(GDP)の成長を抑制する。市場エコノミストの平均予想では1-3月期GDP速報値が前期の6.9%から1.0%へ成長鈍化を予想している。レンジは2.5%プラス成長から1.2%のマイナス成長と、マイナス成長予想も浮上。米商務省と類似したモデルを使用しているため、注目されるアトランタ連銀の1-3月期のGDPの成長見通しは0.37%と、ほぼ横ばい。万が一、マイナス成長に落ち込んだ場合は、景気後退懸念が強まり、ドル買いペースが減速することになる。

 

米政策金利を5%から6%への引き上げを予想:ドイツ銀のエコノミスト

米連邦準備制度理事会(FRB)の本年の大幅利上げを織り込むドル買いにドル指数が5年ぶり高値を更新した。5月連邦公開市場委員会(FOMC)を控えて、75ベーシスポイントの利上げの可能性を含め、年を通じ各会合での利上げを織り込むドル買いが継続すると見られる。ドイツ銀のエコノミストはインフレ抑制が容易ではなく、FRBの中立金利が5%と見ており、大半のFRBメンバーが想定している2.5%前後を大幅上回る。FRBが政策金利であるFF誘導目標を5%から6%のレンジまで引き上げる必要性がでてくると予想している。

 

米国市場では1-3月期国内総生産速報値:予想は前期比年率+1.0%

参考となるアトランタ地区連銀の経済予測モデル『GDPNow』の4月19日時点の試算では、前期比年率+1.3%。雇用は改善しているが、高インフレが経済成長を抑制する要因となり、1%台の低い伸びにとどまる可能性がある。

 

欧米市場イベント

○16:00   デギンドス欧州中央銀行(ECB)副総裁、講演
○16:30   スウェーデン中銀、政策金利発表(予想:0.00%で据え置き)
○17:15   ウンシュ・ベルギー中銀総裁、講演
○18:30   3月南アフリカ卸売物価指数(PPI、予想:前月比1.5%/前年比10.8%)
○20:00   3月メキシコ失業率(季節調整前、予想:3.50%)
○21:00   4月独消費者物価指数(CPI)速報値(予想:前月比0.6%/前年比7.2%)
○21:30   前週分の米新規失業保険申請件数/失業保険継続受給者数(予想:18.0万件/140.3万人)
○21:30   1-3月期米国内総生産(GDP)速報値(予想:前期比年率1.1%)
       1-3月期米個人消費(速報値、予想:前期比年率3.5%)
       1-3月期米コアPCE(速報値、予想:前期比年率5.4%)
○29日02:00   米財務省、7年債入札

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