FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:企業業績などへの警戒感から伸び悩み

前日の米国株式市場が上昇したことが好感され、値ごろ感からの買いが入った。環境面では新たな切り口は見当たらないものの、NYダウ先物が検討に推移していることが好感された。最近の急ピッチの相場下落を背景に自立反発狙いの買いも入って上げ幅を一時200円を超えたが、企業業績などへの警戒感は根強く、伸び悩む場面もあった。

 

東京外国為替市場:円買い後に米長期金利上昇で円売り再開

ドル/円は、オセアニア市場のドル/円は、中国で新型コロナウイルスの感染拡大抑制に伴うロックダウン(都市封鎖)が拡大するとの見方が広がり、世界経済の減速を警戒したリスク回避のドル売り・円買いが先行して、128円を割り込み下落した。東京市場に入っても軟調地合いは続き、本邦輸出勢などから月末に絡むドル売り・円買いフローが持ち込まれると、127.35円付近まで下落した。しかし、27~28日に開催される日銀金融政策決定会合のイベントを前に、下値を追う動きは限られた。その後は、日米金融政策スタンスの違いを意識したドル買い・円売りも見られ、127.80円付近へ持ち直した。鈴木財務相や渡辺元財務官が日本の為替介入について否定的な見解を示したことも、円売りにつながった。午後に入ると、米長長期金利の上昇を眺めたドル買いが持ち込まれ、128.20円付近へじり高となった。ただ、前日のNY市場でつけた高値128.26円に接近すると上げは一服した。その後は、利益確定などのドル売り・円買いに128.00円付近へ押し戻された。ユーロ/ドルは、1.07ドル台前半で小幅な値動きに終始した。欧州勢待ちの様相となっている。

 

日本の市場介入の障壁:暫くは口先介入が優先

日本の政治面では7月に参院選が迫るなか、円安と物価上昇が政府・与党内で懸念材料となっている。今後、短期間で急激な円安・ドル高が加速されると、日本単独であれば『スピード制御』の円買い介入は可能性として無視できない。一方で日本単独にせよ、協調にせよ、緊急時以外の円買い・ドル売り介入の『縛り』となる要因としては、①日銀の金融緩和継続姿勢と整合性が取れない、②日本のドル売り介入は日本が外貨準備で保有する米国債の売り憶測を呼ぶ(米国債金利は上昇)可能性もあり、米国の了解が微妙(現実にはドル売りのため手段は多様な選択肢も)、③実際に米国債金利が上昇の反応となると、介入後にドル高・円安が再加速されてしまう、④米国の議会や財務省は中国などに対し、『為替操作(介入)の自粛』を強く求めており、日本の市場介入は米国の議会や中国などから反発を招く、といった障害が想定される。

 

中国北京市でロックダウン懸念:最大行政区

中国北京市は25日、市内最大の行政区である朝陽区で全住民・在勤者の新型コロナウイルス検査を開始した。市内では22日以降これまでに47人の感染者が確認されており、上海市のような厳しいロックダウン(都市封鎖)が実施されるとの懸念から食料を買いだめする動きが出ている。感染は確認される約1週間前から広がっていた可能性があり、朝陽区当局は24日夜、今週3回の検査を受けるよう住民と在勤者に指示した。
感染者47人の半数以上が朝陽区で報告されている。海外や上海市に比べると少ないものの、当局は社会活動を控え、対面式の家庭教師サービスも停止するよう呼び掛けている。ただ、ほとんどの学校は授業を続けており、店舗やオフィスの多くも営業を継続している。

 

ヘッジファンドが8週連続で米国株売り越し:BofAセキュリティーズ

26日付の顧客フローのリポートによると、同社の顧客は18~22日の1週間に米国株を25億1200万ドル買い越した。4週ぶりに買い越しに転じたことになる。この週は、21日に米FRBパウエル議長が5月の米FOMCに関して『通常の倍となる0.5%の利上げがテーブルの上にある』と述べたことで金融引き締めが警戒される中。S&P500指数が2.75%安となって3週連増kで下げた時だった。主体別動向では、ヘッジファンド(HF)が11億400万ドルの売り越しで、8週連続の売り越しとなった。機関投資家は19億4300万ドルの買い越しで、、2週連続の買い越しとなった。個人投資家は8億3800万ドルの買い越しで、3週ぶりの買い越しだった。企業の自社株買いは8億3600万ドルで4週移動平均(7億1000万ドル)をやや上回った。HFの売り越し基調が長期化する一方、それ以外の3主体は金融引き締め懸念で相場の地合いが割る中で買い越しとなった。ただ、企業の自社株買いは依然として低調で、同社によれば通常は決算シーズンの第2週までに活発化するという。

 

トルコ政府は外国人への不動産売却を推進

トルコ統計局によれば、2021年の外国人向け住宅販売数は前年比で43.5%増加し、5.8万戸と過去最高を記録した。トルコ政府は住宅市場の拡大を更に推し進めようと、外国人への不動産売却を推進する国内業者に対する財政支援の方針を先週明らかにした。内容としては、外国人に不動産サービスを提供する個人業者や企業に対し、年間最大180万リラの広告支援する。また、見本市などの外国人向け不動産イベントへの参加費用として最大30万リラを提供するとした。また政府は、映画やテレビシリーズを使った不動産マーケッティングに対しても、最大60万リラの支援を行う。政府の目論見通りにトルコ不動産の魅力が海外に広まるようであれば、外国人による住宅購入数の記録更新も期待できる。

 

南アの大規模洪水の詳細:財政負担を嫌気したランド売りの可能性も

一番大きな被害をうけたのは、南ア東部クワズール・ナタール州である。同州は昨年7月の暴動で300人以上が死亡し、200万人近くが失業したとされる痛手からようやく立ち直りつつあった中での大洪水だった。土砂崩れと急流により、これまでに400人以上の命が奪われた。また多くの人々が依然行方不明の状況である。経済損失も、ラマポーザ南ア大統領は500億ランドにのぼるとしている。600校を超える被害を受けた学校などの修復だけでも、4億4200万ランドの費用が掛かり、さらに費用は拡大するだろうと教育省は発表した。民間でも被害が大きく、同州に工場を置くトヨタ自動車が操業を停止した。生産の中断により、1日あたり少なくとも1000万ランドの費用がかかり、施設や設備の損傷の見積もりが数億ランドに達する可能性もある。また、洪水で浸水した自動車のうち500台は検査に合格したが、残りは廃棄することになった。今回の被害を受けた工場、特殊機器、海運、自動車、商業などが、一部の保険会社に請求した件数はすでに720件を超え、請求額も推定2億4500万ランドとの話も出ている。今後も被害が拡大することになると、これまでのウクライナやロシアの代替輸出国通貨としてのランドの魅力よりも、財政負担を嫌気したランドの売りが強くなるかもしれない。

 

憲法改正案が否決でメキシコ経済にはポジティブ

先週17日にはロペスオブラドール大統領肝いりの憲法改正案がメキシコ連邦議会下院で否決された。大統領は議会の判決に大きな失望を示しながらも、自身の任期中に憲法改正案を再度提出することはないと表明した。この憲法改正案は国営電力公社CFEが国内電力需要の少なくとも54%を占めるという電力の国有化に関する物で、旧式の発電システムが多いCFEは民間企業に比べて発電コストが高いと国内からも批判を集めていたため、結果的にはメキシコ経済にとってポジティブな要因となる。

 

米FRBは1980年代以来の最大利上げ予想:景気後退懸念も

世界第2位の経済を持つ中国の新型コロナ感染の悪化で、北京など都市封鎖拡大により同国の経済だけでなく、世界経済の成長減速につながるとの懸念が強まりつつある。世界経済の成長減速懸念に加えて、サプライチェーンの混乱をさらに深刻化させ、高インフレが一段と悪化、長期化する可能性も警戒される。スタグフレーション懸念が強まる中、短期金融市場は本年、今後3連邦公開市場委員会会合(FOMC)連続(5月、6月、7月)で各0.5%の利上げ、0.75%の利上げの可能性、後半3回(9月、11月、12月)は各0.25%、または0.5%の可能性が織り込まれつつある。本年は、ポールボルカー元FRB総裁下の1980年以降で、最大の幅の利上げが予想されている。

 

欧米市場イベント

○18:00   デコス・スペイン中銀総裁、講演
○21:15   ビルロワドガロー仏中銀総裁、講演
○21:30   3月米耐久財受注額(予想:前月比1.0%/輸送用機器を除く前月比0.6%)
○22:00   2月米住宅価格指数(予想:前月比1.5%)
○22:00   2月米ケース・シラー住宅価格指数(予想:前年比19.0%)
○23:00   4月米消費者信頼感指数(予想:108.0)
○23:00   4月米リッチモンド連銀製造業景気指数(予想:9)
○23:00   3月米新築住宅販売件数(予想:前月比▲0.6%/76.8万件)
○27日02:00   米財務省、2年債入札
○グテーレス国連事務総長、プーチン・ロシア大統領と会談(モスクワ)

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