FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:米金融引き締めや中国での感染拡大を警戒した売り優勢

米国株安を受けて安く始まった後も、徐々に下げ幅を拡大した。米国で3月消費者物価指数(CPI)の発表を控える中、米国での金融引き締めへの懸念から積極的な買いが手控えられたほか、中国での新型コロナ感染拡大による景気減速への警戒感が重石となった。半導体関連や電子部品などのハイテク株や、高PER株、中国関連株など幅広く売られた。下げ幅は500円を超える場面もあった。結局、前営業日比486円安の2万6334円と続落して終了した。

 

東京外国為替市場:口先介入よりも米長期金利上昇に円売り

ドル/円は、鈴木財務相が『為替の安定は重要、急激な変動は望ましくない』などと発言したことを受けドル売り・円買いとなり、125.11円付近まで急落した。しかし、日米金融政策スタンスの違いが鮮明なことから、これ以上のドル売り・円買いとはならなかった。その後は、仲値にかけて本邦輸入企業などのドル買い・円売りが通常より多く持ち込まれ、125.56円付近まで値を持ち直した。米長期金利が更に上昇し2.83%台と高水準となったことも、ドル買い・円売りを後押しした。仲値発表後は、日経平均株価や米長期金利を睨みながら125.40円台を中心とする狭いレンジで取引された。午後のドル/円は、米長期金利が2.80%付近で上げ止まりを見せていることから、利益確定やポジション調整のドル売り・円買いが入り、125円台半ばから125.20円台へ徐々に水準を切り下げた。ただ、売り一巡後は、日米金融政策スタンスの違いを意識したドル買い・円売りが再値し、125.60円台まで値を上げ、行って来いの展開になった。ユーロ/ドルは、1.0880ドル前後でもみ合い相場となった。

 

中国当局はファンドに『窓口指導』か:A株市場の乱高下を懸念

中国本土の株式市場が11日に大きく下落したことを受け、中国当局が一部ファンドに『窓口指導』する市場介入を行ったもようである。消息筋によると、当局は投資信託の運用大手に対し、A株を売り越さないよう求めた。市場のパニックを防ぐために使われる行政手法であり、当日だけに適用される。口頭で行われるこうした指導は比較的温和な介入手段だが、当局が最近の相場の乱高下を懸念している証左だと市場関係者は受け止めている。『信報』が11日、外電を引用する形で伝えた。中国証券監督管理委員会(CSRC)はコメントを控えている。

 

HFは6週連続で米国株を売り越す:BofAセキュリティーズ

BofAセキュリティーズの12日付の顧客フローのリポートによると、同社の顧客は4~8日の1週間に米国株を24億9400万ドル売り越した。2週連続の売り越しとなった。この週は米連邦準備理事会(FRB)の金融引き締め懸念から、金利上昇基調が続く中で主力ハイテク株が弱く、S&P500指数が1.26%安となって4週ぶりに下げた時だった。主体別動向ではヘッジファンド(HF)が27億5100万ドルの売り越しで、6週連続の売り越しとなった。機関投資家は1億3200万どるの小幅売り越しで、2週連続の売り越しだった。個人投資家は3億1400万ドルの小幅売り越しで、3週ぶりの売り越しとなった。企業の自社株買いは7億300万ドルで4週移動平均(7億5600万ドル)並みだった。相場の地合いが悪い中、今年は同社顧客の自社株買いが低調といい、現時点でS&P500指数の時価総額対比で2021年、2019年の水準を下回った。

 

ロシアでは国際金融市場のアクセスは困難:外資企業の事業撤退

国際金融市場では、ロシアのウクライナ侵攻を理由に欧米諸国などが経済制裁を強化して資金流出圧力が強まり、ルーブル相場は大きく調整した。政府及び中銀はルーブル相場の安定に向けて資本規制の導入や大幅利上げに動いた。さらに、その後はルーブルへの実需の誘発による相場下支えの動きを強めたこともあり、足下のルーブル相場は侵攻前の水準を回復するなど、表面的には影響を克服しつつあるようにみえる。
 こうしたことから、ロシア中銀は19日の定例会合を前に8日に緊急利下げを実施し、ルーブル相場の安定を目的とする資本規制を段階的に緩和することを決定した。他方、ロシア政府が今月4日のドル建国債の元利払いをルーブルで余儀なくされたことを受けて、S&Pグローバルは格付を選択的債務不履行とした後、格付自体を撤回した。主要3社によるロシア関連の格付撤回で国際金融市場での資金調達は困難になる一方、金融機関や事業会社はロシア関連評価が困難になり、事業撤退を余儀なくされる可能性もある。ルーブル相場は当座の最悪期を過ぎたとみられるが、今後も再び不安定化する可能性に注意が必要と言える。

 

トルコ政府による為替差損の補填は約束通り実行:リラ相場の支え?

トルコ政府が昨年末に導入した為替リンクのリラ建て定期預金で、期間が最も短い3カ月物が満期を迎えている。『為替差損の補填』は約束通り実行されており、不履行への懸念がひとまず払しょくされたことも、リラ相場の支えとなっているかもしれない。しかしながら、このまま現状水準でドルリラが推移するようであれば、夏には補填額が450億リラを超えるとの試算も一部メディアから報じられた。トルコの国庫負担が拡大し続けるようであれば、いずれリラの買いづらさが意識される。

 

南アではイナゴ警報:数十年に一度の大量発生

ウクライナ侵攻で小麦価格高騰していることで、南アだけでなく多くのアフリカ諸国は大きな影響を受けている。この厳しい状況の中で、さらに困難な状況を迎えることが予想されている。それは、数十年に一度と言われるイナゴの蔓延である。大雨の影響で、作物を食べるイナゴが数十年に一度の大量発生となっていると、南アでは報じられている。昨年の9月から徐々に増えていたことで、すでに8000万ランドが一部の州(東ケープ州、北ケープ州、西ケープ州)で殺虫剤の費用として計上されている。しかも、9月以後も降雨量が増加したことで、繁殖力の高いイナゴが大量発生する傾向にある。

 

NY連銀の3月インフレ見通し:消費者の悲観論強まる

NY連銀の調査で、消費者のインフレ見通しは3月も過去最高を記録した。食品や家賃の見通しが一段と上昇。NY連銀インフレ期待(平均)1年物:6.6%(2月6%)3年物:3.7%(3.8%)1年先の家計支出の伸び:+7.7%(2月+6.4%)、食品やガス+9.6%、家賃+10.2%、住宅価格+6%(+5.7%)
今後3カ月間、債務の最低額の支払いができない可能性11.1%(9.2%)
長期のインフレ期待が若干低下したことは良い兆候。しかし、家計支出の予想が一段と拡大しており、FRBは物価の引き下げに努める必要性がある。消費者は高インフレからくる困難が緩和する前に、一段と深刻化すると警戒しており、家計への悲観的見方が広がっている。今後3カ月間で債務の最低額の支払いができない可能性があるとの回答は11.1%と、9.2%から上昇し、12カ月平均10%を上回った。職を失う可能性があると指摘した回答者も全体の11.06%と、10.75 %から上昇した。

 

米国市場では3月消費者物価コア指数が公表:予想は前年比+6.6%

2月は中古車、住居費、航空運賃の上昇が目立った。この状況は3月も変わっていないとみられており、他の項目もやや高い伸びとなる可能性があることから、3月のコアインフレ率は2月実績を上回る可能性がある。

 

欧米市場イベント

○15:00   3月独卸売物価指数(WPI)
○15:00   3月独消費者物価指数(CPI)改定値(予想:前月比2.5%/前年比7.3%)
○15:00   3月英雇用統計(失業率/失業保険申請件数推移)
○15:00   12-2月英失業率(ILO方式、予想:3.8%)
○15:45   2月仏貿易収支
○15:45   2月仏経常収支
○16:00   2月トルコ鉱工業生産(予想:前月比2.7%)
○18:00   4月独ZEW景況感指数(予想:▲48.0)
○18:00   4月ユーロ圏ZEW景況感指数
○21:00   2月インド鉱工業生産(予想:前年同月比2.6%)
○21:00   2月インドCPI(予想:前年比6.35%)
○21:30   3月米CPI(予想:前月比1.2%/前年比8.4%)
       エネルギーと食品を除くコア指数(予想:前月比0.5%/前年比6.6%)
○13日01:10   ブレイナード米連邦準備理事会(FRB)理事、イベントに参加
○13日02:00   米財務省、10年債入札
○13日03:00   3月米月次財政収支(予想:1900億ドルの赤字)

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