FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:ウクライナ情勢の悪化報道で一時売り強まる

朝方は小安く始まった後、マイナス圏でのもみ合いが続いた。タカ派材料が警戒された米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨はひとまず無難に通過した一方、ウクライナを巡る地政学リスクがくすぶり、上値は重かった。ロシア通信(RIA)によると、ウクライナ東部の親ロシア勢力は17日、ウクライナ政府軍から砲撃を受けたと非難した。この報道を受けてウクライナ情勢が再び緊張感を増したとの見方から株安のほか、金利の低下、原油価格の上昇、円高などが進みリスク回避ムードが強まる場面も見られた。市場では『この砲撃がロスあの侵攻につながるかは不明。ウクライナ政府の発表を待っている状態』との声が聞かれた。結局、前営業日比227円安の2万⑦②32円と反落して終了した。2月第2週(7~10日)の投資部門別株式売買動向によると、海外投資家(外国人)は148億円売り越しとなり、売り越しは5週連続となった。個人投資家は1712億円の売り越しとなり、売り越しは2週連続となった。信託銀行は1324億円の買い越しとなり、買い越しは3週連続となった。

 

東京外国為替市場:ウクライナ情勢の悪化報道で一時リスク回避の円買い

ドル/円は、日経平均株価のさえない動きを眺めたリスク回避の円買いが先行し、115.30円付近へ値を下げた。しかし、仲値にむけて本邦輸入勢などのドル買い・円売りが通常より多く持ち込まれ、115円台前半から115円台半ばへ水準を切り上げた。午後に入ると、ロシアの国営通信社が『ウクライナ東部の親ロシア派勢力が、ウクライナ軍から砲撃を受けた』と報じた。この報道でリスク回避姿勢が鮮明になると、ドル売り・円買いが強まり、115.10円付近まで下落した。米長期金利が節目の2.00%を割り込んで急低下したことも、ドル売りに拍車をかけた。ただ、心理的節目の115.00円が視野入りすると下げは一服した。その後は日米金融スタンスの違いを意識した押し目買いが入り、115.20円台を中心に取引された。ユーロ/ドルは、ウクライナ情勢を巡る地政学リスクを警戒したユーロ売り・ドル買いが進み、1.13ドル台後半から1.132ドル台まで急落する場面があった。

 

本邦貿易収支は6ヵ月連続の赤字:輸入39%増で過去最大

財務省が発表した1月貿易統計速報によると、貿易収支は2兆1911億円の赤字だった。貿易赤字は6ヵ月連続で、2014年1月に次いで過去2番目に大きな赤字額となった。原油坂が影響し輸入額は3ヵ月連続で過去最大を更新した。輸出は6兆3320億円で前年比9.6%増えた。鉄鋼や鉱物性燃料、半導体等電子部品などの輸出が伸びた。対前年同月比で11ヵ月連続のプラスになった。一方、輸入は前年比39.6%増の8兆5231億円となり1979年1月以降で過去最大となった。サウジアラビアから原租油やオーストラリアからの石炭、液化天然ガスなどの輸入が増加に寄与した。輸入額が対前年同月比でプラスとなるのは12ヵ月連続となった。

 

1月中国のCPI予想下振れで金融政策の余地が大きくなる

申万宏源集団傘下の先物会社、申銀万国期貨は最新リポートで、1月の中国消費者物価指数(CPI)が予想を下回ったことを受け、金融政策の余地が大きくなっているとの見方を示した。春節(旧正月)の時期のずれ(2021年は2月、22年は1月)があったにも関わらず、CPIは前年同月比0.9%の上昇にとどまり、新型コロナウイルスの影響で川下需要が低迷していることが背景にあったと指摘した。『経済通』が16日伝えた。 一方、1月の融資増加額と社会融資総量がともに高水準になったことについて、これまでの金融緩和策の効果が表れてきたと分析。米連邦準備理事会(FRB)が3月に0.5ポイントの利上げを実施する可能性が高まっており、国内のインフレ率の低下を受けて人民銀行(中央銀行)は緩和的な金融政策を維持すると予想した。

 

トルコ中銀金融政策委員会(MPC)による政策発表が注目

政策金利については2会合連続の14%で据え置きが大方の予想である。ポイントは、足もとのインフレ率が50%に近づく勢いをみせているなかで『今後の物価動向への見解』である。前回会合の声明では『ベース効果によるインフレ率の低下とともに、持続可能な物価と金融の安定のために取られた措置を背景に、ディスインフレプロセスが始まると予想』と述べられていた。今回、先行きインフレへの警戒感が緩んだとも受け取られる文言であれば、金融緩和サイクルの長期化観測が高まり、リラにとっては重しとなる。なお、ネバティ・トルコ財務相が先日『インフレは今年末には24%台まで低下する』『(総選挙が予定されている)23年半ばまでには一桁台まで下がる』と述べていたように、政府内では物価に対して楽観論が広がっている。しかしながら、供給不足やエネルギー価格の高止まり、通貨リラ安などが改善される兆候もなく、くわえて金融引き締めに舵を切ることができない中では期待感が先行し過ぎているように思える。

 

南アランドは商品相場堅調で米長期金利上昇の影響を受けにくい

米10年債利回りは2%台を中心に推移している。かつては米金利上昇はランド売り・ドル買い要因だった。しかしながら、プラチナ価格を中心に商品相場が比較的堅調な動きを見せていることで、ここ最近は米金利上昇によるランド売り圧力は減っている。ここで、もしランドが対ドルで15ランド割れで安定するようだと、対円の水準は7円半ばから7円後半に徐々にシフトしていくと思われる。なお、昨日発表された1月の南ア消費者物価指数(CPI)は市場予想通りだった。一方で、12月南ア小売売上高は市場予想を上回る好結果となった、両指標ともランド相場への影響は限定的だったが、CPIは高止まりしていることもあり、2月インフレ指標次第で南ア準備銀行(SARB)の再利上げの可能性もある。

 

米1月小売は改善

米商務省が発表した1月小売売上高は前月比+3.8%となった。12月-2.5%からプラスに改善した。伸びは昨年3月来で最大となった。前年比では13%増。オンラインでの売り上げや家具の売り上げが強く、全体指数を押し上げた。一方で、スポーツ用品やガソリンの売り上げは価格の上昇も影響してか需要が鈍り、減少した。結果は消費活動が一段と活発化したことや、インフレの上昇を示唆した。オミクロン感染拡大にもかかわらずレストランなど、外食での消費は0.9%減にとどまった。変動の激しい自動車を除いた小売売上高は前月比+3.3%と、やはり、12月-2.8%からプラスに改善し昨年3月来で最大の伸びとなった。国内総生産(GDP)の算出に用いられる自動車、建材などを除いたコントロールグループは+4.8%。伸びは昨年3月来で最大を記録し、1-3月期のGDP成長に寄与した。

 

米FOMC議事要旨はタカ派色は強めず

連邦準備制度理事会(FRB)は米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨(1月25-26日会合分)を公表した。インフレが長期目標を上回る水準で、メンバーは間もなく利上げが適切になると主張した。2,3人のメンバーは資産購入を3月前に終了することを望んだことも明らかになった。もし、インフレが想定通りに低下しなかった場合、速やかに利上げも可能だとした。ただ、引き締めにおいて、緊急性を示唆する言及や3月連邦公開市場委員会(FOMC)での50ベーシスポイントの利上げを示唆する言及はなかった。

 

欧米市場イベント

○未定  2月月例経済報告
○17:45   デコス・スペイン中銀総裁、講演
○20:00   トルコ中銀、政策金利発表(予想:14.00%で据え置き)
○22:30   12月対カナダ証券投資
○22:30   前週分の米新規失業保険申請件数/失業保険継続受給者数(予想:21.9万件/160.5万人)
○22:30   1月米住宅着工件数(予想:170.0万件、前月比▲0.4%)
         建設許可件数(予想:175.0万件、前月比▲7.2%)
○22:30   2月米フィラデルフィア連銀製造業景気指数(予想:20.0)
○23:00   レーン欧州中央銀行(ECB)専務理事兼チーフ・エコノミスト、講演
○18日01:00   ブラード米セントルイス連銀総裁、講演
○20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議(インドネシア・ジャカルタ、18日まで)

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