FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:様子見ムード強い中自立反発狙いの買い

米金融引き締めへの警戒感はくすぶっており、今週後半の米消費者物価指数(CPI)の発表を前に『基本は様子見』との声が聞かれたが、日本株は割安感が意識され、自律反発を期待した買いが相場を支援した。また、決算などを手掛かりとする個別物色も活発だった。前日に下げた銘柄などに自立反発狙いの買いも入り、指数を支えた。結局、前営業日比35円高の2万7284円で終了した。

 

東京外国為替市場:115円台半ば近辺でもみ合い相場続く

ドル/円は、本邦輸入企業勢のドル買い・円売りや米長期金利上昇に支えられ、115.41円まで上昇した。日経平均株価の反発でリスク選好が高まったことも円売りにつながった。午後に入っても堅調地合いは続き、米長期金利が一段と上昇すると、さらにドル買い・円売りが進んで115.47円付近まで上昇した。ただ、10日に発表される1月米消費者物価指数(CPI)の結果を見極めたいとのムードもあり、上げは一服した。その後、115.45円を挟んでもみ合い相場となった。ユーロ/ドルは、米長期金利上昇を眺めたユーロ売り・ドル買いが入り、1.1415ドル付近へ軟化した。前日にラガルドECB総裁が市場で高まっている早期利上げ観測をけん制したことも、ユーロの重石となった。

 

本邦上場企業の純利益は前年同期で8割増加:SMBC日興証券

東証1部上場3月期決算企業の2021年4~12月期決算は、純利益が前年同期に比べ8割増加したことが7日、SMBC日興証券のまとめで分かった。新型コロナウイルス禍からの世界経済回復に伴う資源価格の上昇や自動車などの需要増を背景に、商社、海運業、電気機器、鉄鋼がけん引。製造業、非製造業ともに大きく伸びた。4日までに決算発表した774社(1部上場3月期決算企業の約5割)が対象。製造業は純利益が73.9%増。旺盛なデジタル化需要を取り込んだ電気機器や、10~12月期に生産回復が進んだ自動車関連が好調だった。非製造業の純利益は約2.3倍。コロナ禍で運賃が高騰した海運業が押し上げたのに加え、10~12月期に感染状況が落ち着き、人の移動が活発化したことに伴う鉄道や航空の業績改善も寄与した。

 

米株を1週間に46億ドル買い越し:自社株買いは2~3月にピークか

BofAセキュリティーズの8日付の顧客フローのリポートによると、同社の顧客は1月31日~2月4日の1週間に米株を46億6100万どる買い越した。2週連続の大幅買い越しなる。この週は4日に発表された1月の米雇用統計で非農業部門の新規雇用者数が市場予想を上回ったものの、金利が上昇する中で主力ハイテク株が弱い流れがやや一服し、S&P500指数が週間で1.54%高となって2週連続で上昇した時だった。主体別動向ではヘッジファンド(HF)が10億4700万ドルの買い越しで、4週ぶりの買い越し。機関投資家は3億900万ドルの小幅買い越しで、2週連続の買い越しだった。個人投資家は18億1000万ドルの買い越しで、5週連続の買い越し。企業の自社株買いは14億9400万ドルで4週移動平均線(26億3100万ドル)を下回って低調だった。傾向としては週間の買い越し規模としては56億ドル超えて同社が2008年から集計を初めて以降で過去最大を記録した前週に続き、不安定な相場展開の中で全主体が買い越しとなって過去9番目の買い越し額を記録。昨年末に節税対の売りを終え、1月は個人投資家が買い越しに転じるアノマリー通りの展開だった。企業の自社株買いは年明けに鈍化したが、『季節的には決算期を通じて上昇し、2月末から3月初めにピークを迎える』という。

為替市場ではウクライナ情勢と原油価格の動向睨み

ロシアによるウクライナ侵攻を含めた情勢緊迫化が警戒される。米政権のサリバン大統領補佐官(国家安全保障担当)は6日、『ロシアは数日もしくは数週間以内にウクライナに侵攻する可能性があるが、外交の道を選択する可能性も残されている』という認識を示した。緊張激化はリスク回避の円高要因となるほか、安全逃避によるドル高、地理的に近いユーロの下落、欧州での天然ガスなど資源供給の打撃に伴う資源高、資源高による資源国通貨高と円安(日本の輸入増と貿易収支悪化、海外での金利上昇など)などが注視される。同時に今週は、再上昇してきた原油など資源相場も焦点になる。前週は石油輸出国機構(OPEC)加盟国と非加盟国の『OPECプラス』が会合で追加増産を見送ったほか、ウクライナ懸念や米国での寒波襲来、米雇用統計の改善を受けた資源需要の増加思惑などが原油高を後押しさせた。原油高は基本的に円安要因となるほか、カナダ・ドル、メキシコ・ペソ、南アフリカ・ランドといった資源国通貨の下支え要因になりやすい。

 

米利上げやエネルギー供給の不安定さがトルコリラの重石

米大手格付け会社ムーディーズは昨日、米連邦準備理事会(FRB)による利上げが迫っていることでドル化が促され、それが新興国の銀行への打撃になるとの見解を示した。トルコ当局は昨年末から為替リンクのリラ建て定期預金の普及に努めているが、期待したほど外貨からリラへの交換は進んでいない。米国で引き締めサイクルが実際に始まれば、リラ保護策の効果が薄れてしまう可能性は高い。なお、イランからトルコへの天然ガスパイプラインの障害により、トルコ国内の工場のガス使用が一時的に制限されていたが、本日から制限が解除される。これにより、ひとまずはエネルギー不足によるトルコ経済の停滞懸念は後退した。ただし、エネルギー供給を外国に頼る不安定な状況に何ら変わりはない。

 

メキシコの景気は力強さの乏しい展開

メキシコ経済を巡っては、輸出の大宗を占める米国経済の堅調さが追い風になると期待される一方、政権による『反ビジネス色』の強い施策や財政規律を重視する財政運営に加え、物価高と金利高の共存が景気の足かせとなっている。結果、10-12月の実質GDP成長率は前期比年率▲0.33%と2四半期連続のマイナス成長となるなどリセッションに陥った。昨年通年の経済成長率は+5.0%と2年ぶりのプラス成長となるも、ゲタは+3.5pt程度と試算され『実力』は+1.5%程度に留まるなど、力強さに乏しい状況にあると判断出来る。年明け以降は同国でもオミクロン株の感染が急拡大して過去の『波』を大きく上回るなど、感染動向は急激に悪化している。足下では早くもピークアウトの兆しはみられるが、企業マインドは急激に悪化するなど景気の足かせとなることは避けられない。さらに、先行きも財政及び金融政策両面での引き締めが景気の下押し圧力となる展開が見込まれるなど、景気は引き続き力強さの乏しい展開が続くと予想される。

 

米国市場では12月貿易収支を公表:予想は‐831億ドルの赤字

12月の前渡商品貿易支出は‐1010億ドルと赤字は拡大している。そのため、12月の貿易赤字幅は11月実績を多少上回る可能性が高いとみられる。

 

欧米市場イベント

○16:45   12月仏貿易収支
○16:45   12月仏経常収支
○17:00   デコス・スペイン中銀総裁、講演
○未定   ポーランド中銀、政策金利発表(予想:2.75%に引き上げ)
○22:30   12月カナダ貿易収支(予想:25.0億カナダドルの黒字)
○22:30   12月米貿易収支(予想:830億ドルの赤字)
○9日02:00   ビルロワドガロー仏中銀総裁、講演
○9日03:00   米財務省、3年債入札

カテゴリー: 欧州タイム市場コメント

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