FITS エコノミックレポート

イールドスプレッドで2月8日の米国株市場を先取り!

 

★NY株式市場では、NYダウは小幅上昇する一方で、S&P500指数とナスダック総合指数は反落する展開になった。米国では新型コロナウイルスの新規感染者数が減少しており、経済活動の正常化への期待から買いが入った。指数は一時230ドル超上昇する場面があった。ただ、米連邦準備理事会(FRB)による金融引き締め加速への警戒から売りも出やすく、引けにかけては値を消した。一方、長期金利は、米連邦準備理事会(FRB)の金融引き締めが加速するとの観測が強まる中、この日も債券売り(利回りは上昇)が続いた。利回りは一時1.9376%と2020年1月以来の高水準を付ける場面があった。今後も米長期金利の動向には注意が必要となる。イールドスプレッドからは、米長期金利は小幅上昇した一方で、主要三指数まちまちの動きだったことでイールドスプレッドはNYダウは小幅縮小した一方、S&P500指数とナスダック総合指数は小幅拡大する展開になった。イールドスプレッドでは、米長期金利の動向が重要なポイントになる。

 

世界的な経済成長による景気回復に連れたインフレ懸念が高まってきている。特に、米連邦準備理事会(FRB)が金融引き締めを急ぐタカ派姿勢を強まていることから、米長期金利が上昇することでイールドスプレッドが縮小しやすく株価は売られやすい地合いになっている。そして、米国金利上昇は世界的な金利上昇を招くことになり、世界的な株価にとって、ネガティブな材料となりやすい。米国株のVIX指数は23.22から22.86へ低下した。20を上回っておりリスク回避の動きは継続している。

 

NYダウの割高の目安は3.00%近辺、S&P500は3.00%割れ、ナスダックは1.5%以下が昨年からの割高の目安となっている。一方で割安の目安では、イールドスプレッドがNYダウ:4.0%台、S&P500:3.8%~4.0%台、NASDAQ:2.3%~2.5%台で割安感からの反発となりやすい。割安感となるイールドスプレッドを大幅に上回っていることから、相場が落ち着くと戻りも大きくなりやすい。

 

★米国市場のイールドスプレッドは、米国債金利と米国株益利回りを比較する指標である。株式市場は国債市場よりリスクが高いことから、株式市場に割高感が生じ国債市場に割安感が生じれば、投機筋は株式を売って国債を買う。また、国債市場に割高感が生じ株式市場に割安感が生じれば、国債を売却して株式を買うことになる。そのため、株式市場の天底を探るひとつの参考指標となる。

 

米10年国債金利とNYダウ:2011/4/21以降の平均▲3.277%

・直近イールドスプレッド縮小:20/09/1‐▲2.867%、20/10/12-▲2.847%

                21/1/11-▲2.611%、21/10/21-▲2.758%

(NYダウが割高・米国10年債割安の状態)

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲4.226%、19/8/5-▲4.102%、

               20/2/28-▲4.541%、20/3/23-6.017%

(NYダウが割安・米国10年債割高の状態)

・2月4日:▲2.579%⇒2月7日:予想▲2.571%(前日比で縮小:割高)

 

2月7日のNYダウは小幅反発した一方で、米長期金利が小幅上昇したことでイールドスプレッドは前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割高)した。平均値の▲3.277%から▲0.706%と平均値より下方かい離したことで割高になった。19年1月3日の大底▲4.226%から▲1.655%下回った。19年8月5日の大底▲4.102%を▲1.531%下回った。20年2月28日の大底▲4.541%から▲1.970%下回った。20年3月23日の6.017%から▲3.446%下回った。NYダウは、10日の1月消費者物価指数(CPI)の発表を控え長期金利が高止まりする中、メタ・プラットフォームズ(フェイスブック)などのハイテク・グロース株が軒並み下落した。決算や見通しが嫌気されて先週20%超下落したメタが5.14%安と大幅続落したほか、アルファベットが2.86%安、テスラとマイクロソフトも1.6%超下落した。NYダウは前日終値を挟んでもみ合ったが、+1.39ドル高(+0.00%)とほぼ横ばいで終了した。

 

米10年国債金利とS&P500:11/4/21以降の平均▲2.779%

・直近イールドスプレッド縮小: 20/08/27-▲2.677%、20/10/12-▲2.664%

               20/12/08-▲2.666%、21/1/11-▲2.320%

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲3.869%、19/8/5-▲4.002%、

                19/8/15-▲4.179%、20/2/28-4.499%

               20/3/23-▲6.222%

・2月4日:▲2.779%⇒2月7日:予想▲2.789%(前日比で拡大:割安)

 

S&P500は小幅反落した一方で、米長期金利が小幅上昇したもののイールドスプレッドは前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割高)した。平均値の▲2.779%から▲0.010%と平均値より上方かい離したことで割高になった。また、19年1月3日の大底となった▲3.869%を▲1.080%下回った。また、19年8月5日の大底となった▲4.002%を▲1.213%下回った。19年8月15日の▲4.179%を▲1.390%下回った。20年2月28日の大底▲4.499%から▲1.710%下回った。20年3月23日の6.222%から▲3.433%下回った。

 

米10年国債金利とNASDAQ:11/4/21以降の平均▲1.766%

・直近イールドスプレッド縮小:18/12/3-▲1.198%、21/1/11-1.066%

              21/2/16-1.144%、21/11/23-1.299%

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲2.179%、19/8/15-▲2.383%、

              19/8/15-▲2.498%、 20/3/16-▲4.094%

・2月4日:▲1.507%⇒2月7日予想▲1.519%(前日比で拡大:割安)

 

NASDAQは反落した一方で、米長期金利は上昇したもののイールドスプレッドは前日比で拡大(米国10年債金利に対して米国株は割安)した。平均値の▲1.766%から▲0.247%平均値より下方かい離したことで割高になった。また、19年1月3日の大底となった▲2.179%に対しては▲0.660%下回った。19年8月5日の大底となった▲2.383%に対して▲0.864%下回った。19年8月15日の大底となった▲2.498%に対して▲0.979%下回った。20年2月28日の大底2.803%から▲1.284%下回った。20年3月16日の▲4.094%から▲2.575%下回った。

 

NASDAQのイールドスプレッドは、米長期金利が小幅上昇した一方で、株価は下落したことで前日比で拡大した。イールドスプレッドは以前より半分以下まで縮小しているため、引き続き割高感から利益確定売りが出やすい地合いとなっている。NASDAQ総合指数のイールドスプレッドは、▲1.5%台前半までスプレッド縮小推移していることで、割高感が強まった。2%台に拡大するまでは割安とは言えず、売られやすい地合いが継続する。

 

※PERの発表が時間的に遅行することから、前営業日の数値を使って当日終了時の予想を算定している。

 

※毎日イールドスプレッドを掲載していますので、米国株式市場の買われ過ぎ・売られ過ぎなど過熱感の目安としてください。

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