FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:米国金融引き締めや原油高などを嫌気

米国の金融引き締めや原油高などへの警戒感が重石となり、値がさハイテク株中心に売られた。一方、決算を手掛かりとする物色は引き続い旺盛だった。市場では『米雇用時計の内容が事前予想よりも堅調で、米長期金利が上昇。相場はますますバリュー優位に傾斜するとみている』との声が聞かれた。結局、前営業日比191円安の2万7248円で終了した。

 

東京外国為替市場:115円台前半で売買交錯でもみ合う展開

ドル/円は、日経平均株価の下げ幅を眺めたリスク回避の円買いが先行し、115.14円付近まで下落した。しかし、4日に発表された1月米雇用統計の予想外に強い数字で、米FRBが金融引き締めへ積極的に向かうとの観測が高まっているため、下値を追う動きは限られた。その後は、本邦輸入勢などのドル買い・円売りに支えられ、115.30円付近へ下落した。午後は、日米金融政策スタンスの違いを意識したドル買い・円売りが入り、一時115.37円付近までじり高となった。日経平均株価の下げ幅縮小やNYダウ先物の持ち直しで、リスク回避姿勢が和らいだことも円売りを誘った。ユーロ/ドルは、高値警戒感から利益確定や持ち高調整のユーロ売り・ドル買いに押され、1.1425ドル付近へ下落する場面があった。しかし、欧州中銀(ECB)の年内利上げ観測が高まっていることで、下値ではユーロを買い戻す動きも見られ、1.1430ドル台へ値を切り返した。

 

前週のFX概況ではドル買い比率が上昇

QUICKが4日時点の外国為替証拠金(FX)5社合計(週間)の建玉状況によると、円に対するドル買い比率は57.3%と前の週末から0.5ポイント上昇した。前週は週半ばに米連邦準備理事会(FRB)が急速に急速に金融引き締めに動くとの見方が後退し、円相場強含む場面があった。相場の流れに逆らう『逆張り』の戦略が多い個人投資家は、円が上昇した場面で円売り・ドル買いに持ち高を傾けたとみられる。円に対するユーロ買い比率は18.6ポイント低下の19.5%と2021年5月末以来、約8ヵ月ぶりの低水準だった。欧州中央銀行ECBが金融政策の正常化を急ぐとの見方が広がりユーロ買いが増えた場面で、ユーロ買いの持ち高を減らす個人投資家が多かった。『ポンド/円』取引のポンド買い比率は5.4ポイント低下の43.1%だった。

 

ECBは年内利上げに近づく:3月理事会に注目

物価の上振れが続くなか、欧州中央銀行(ECB)の利上げ観測が高まっている。昨年12月に段階的な買い入れ縮小方針を発表した直後だけに、2月の理事会での政策変更は見送られたが、ラガルド総裁は記者会見で、今後の政策見直しの可能性を排除しなかった。スタッフ見通しが発表される次回3月の理事会で、従来の資産買い入れプログラム(APP)の新規買い入れ終了の前倒しを決め、利上げ開始の地均しを始める公算が大きい。9月に買い入れ終了後、12月の利上げ開始とみる。

 

ウクライナ問題がトルコ経済への打撃になる可能性も

ウクライナを巡る西側とロシアの確執も、成り行き次第ではトルコ経済への打撃となるため注意が必要である。ウクライナはトルコ製軍用ドローンの優良顧客であり、今後も両者は防衛関係を深めことを確認し合っている。一方でロシアは、トルコ観光業や農産物の輸出先として重要な相手であり、また、トルコにとって主要な天然ガス供給国でもある。トルコがウクライナに片寄り過ぎると、ロシアがトルコの必要とする部分で距離を置き始めることは十分にあり得る。

 

南アの製造業の足かせとなる国営電力会社エスコム

『お金もない、技術もない、メンテナンスもない』というタイトルで南アで批判をされているのは、国営電力会社エスコムのことである。先月28日の金曜早朝にエスコムの発電ユニットが故障を起こすと、1時間も立たないうちに次のユニットにも不具合がでた。なんとか最初のユニットが回復すると、その17分後にはまた別のユニットに障害が発生した。電力の専門ではない人が聞いても呆れてしまう不備の繰り返しで、1000メガワット以上の電力を失った。資金不足にも悩まされているエスコムは、新しい発電所のメンテナンスも不十分であり、負の連鎖を繰り返している。数年前はエスコムの負荷制限で、ランドが売られることが多々あった。しかしながら、ここ最近はあまりにも頻繁に問題が起きているため、為替相場が反応することはない。しかしながら、南アの製造業にも大きな影響を与えていることは確かなため、抜本的な解決がない限りは南ア経済の足かせとなり続ける。

 

メキシコ大統領の独裁制を疑問視する声が高まる

電力市場や資源開発で民間企業の活動を制限する法案を巡ってロペスオブラドール・メキシコ大統領の独裁性を疑問視する声が高まるなか、2日の定例記者会見で大統領は国営のリチウム企業を立ち上げる方針を明らかにした。電気自動車(EV)の需要が急速に高まり、電池に使われるリチウムは資源として重要性が増しているが、メキシコでは粘土質の土壌に抱負なリチウムが埋蔵されている可能性があるとのことでリチウム産業を政府が独占する姿勢を示している。この強硬的な態度に対して国内外からは批判の声がさらに高まっている状況である。リチウムの独占によってその他工業産業への投資意欲も低下する懸念を指摘する専門家もおり、現在、180億ドル超と工業総生産の8%を担っている鉱業輸出に打撃を与える可能性も浮上している。

 

ドル/円の上値を抑える米国内外要因

ドル円の売り材料としては、マンチン米上院議員が『気候変動・社会保障関連歳出法案』の協議を『最初からやり直す必要がある』と指摘していることに加え、コロナ禍の財政支援が途切れる『財政の崖』問題やオミクロン株蔓延による景気減速懸念が挙げられる。米2-10年債利回り格差が縮小しており、市場では米連邦準備理事会(FRB)の積極的な利上げが景気減速・後退をもたらすリスクを警告している。また、ウクライナ情勢や台湾海峡を巡る米国とロシア・中国との対立激化への警戒感が高いままであることも地政学リスク回避の円買い要因となる。さらに、15日の米国債償還・利払いに伴う円転や神田財務官による悪い円安への牽制発言、『まん延防止等重点措置』の適用による日本の景気減速懸念も、ドル/円の上値を抑える要因となる。

 

欧米市場イベント

○15:45   1月スイス失業率(季節調整前、予想:2.7%)
○16:00   12月独鉱工業生産(予想:前月比0.5%/前年同月比▲3.6%)
○8日00:45   ラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁、講演
○8日05:00   12月米消費者信用残高(予想:250.0億ドル)
○ニュージーランド(ワイタンギ・デーの振替休日)、メキシコ(憲法記念日の振替休日)、休場

カテゴリー: 欧州タイム市場コメント

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