FITS エコノミックレポート

イールドスプレッドで2月7日の米国株市場を先取り!

 

★NY株式市場では、NYダウは下落する一方で、S&P500指数とナスダック総合指数は反発する展開になった。。1月雇用統計の予想外に強い結果を受けて、年内の利上げ観測が一段と強まり、金利の上昇が嫌気され、寄り付き後は下落した。同時に、雇用の改善で消費拡大期待も強まりNYダウは一時上昇に転じた。半面、米国の金融引き締めが経済を冷やすとの警戒から景気敏感株の一角に売りが出たため、引けにかけては再び失速した。一方で、オンラン小売りのアマゾンの上昇が支援し、ハイテクは終日堅調に推移した。一方、長期金利は、1月米雇用統計で雇用者数が予想を大幅に上回り、賃金も予想を超える伸びを示すと米利上げ圧力が強まった。市場では『米連邦準備理事会(FRB)による年内6回(0.25%)の利上げの可能性をわずかながら織り込み始めた。3月利上げ幅については0.50%の確率がやや高まった』との声が聞かれた。利回りは一時1.9338%前後と2020年1月以来2年1カ月ぶりの高水準を付ける場面があった。今後も米長期金利の動向には注意が必要となる。イールドスプレッドからは、米長期金利が大幅上昇したことで、主要三指数のイールドスプレッドは大幅に縮小する展開になった。イールドスプレッドでは、米長期金利の動向が重要なポイントになる。

 

世界的な経済成長による景気回復に連れたインフレ懸念が高まってきている。特に、米連邦準備理事会(FRB)が金融引き締めを急ぐタカ派姿勢を強まていることから、米長期金利が上昇することでイールドスプレッドが縮小しやすく株価は売られやすい地合いになっている。そして、米国金利上昇は世界的な金利上昇を招くことになり、世界的な株価にとって、ネガティブな材料となりやすい。米国株のVIX指数は24.35から23.22へ低下した。20を上回っておりリスク回避の動きは継続している。

 

NYダウの割高の目安は3.00%近辺、S&P500は3.00%割れ、ナスダックは1.5%以下が昨年からの割高の目安となっている。一方で割安の目安では、イールドスプレッドがNYダウ:4.0%台、S&P500:3.8%~4.0%台、NASDAQ:2.3%~2.5%台で割安感からの反発となりやすい。割安感となるイールドスプレッドを大幅に上回っていることから、相場が落ち着くと戻りも大きくなりやすい。

 

★米国市場のイールドスプレッドは、米国債金利と米国株益利回りを比較する指標である。株式市場は国債市場よりリスクが高いことから、株式市場に割高感が生じ国債市場に割安感が生じれば、投機筋は株式を売って国債を買う。また、国債市場に割高感が生じ株式市場に割安感が生じれば、国債を売却して株式を買うことになる。そのため、株式市場の天底を探るひとつの参考指標となる。

 

米10年国債金利とNYダウ:2011/4/21以降の平均▲3.277%

・直近イールドスプレッド縮小:20/09/1‐▲2.867%、20/10/12-▲2.847%

                21/1/11-▲2.611%、21/10/21-▲2.758%

(NYダウが割高・米国10年債割安の状態)

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲4.226%、19/8/5-▲4.102%、

               20/2/28-▲4.541%、20/3/23-6.017%

(NYダウが割安・米国10年債割高の状態)

・2月3日:▲2.659%⇒2月4日:予想▲2.587%(前日比で縮小:割高)

 

2月4日のNYダウは小幅続落した一方で、米長期金利が大幅上昇したことでイールドスプレッドは前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割高)した。平均値の▲3.277%から▲0.690%と平均値より下方かい離したことで割高になった。19年1月3日の大底▲4.226%から▲1.639%下回った。19年8月5日の大底▲4.102%を▲1.515%下回った。20年2月28日の大底▲4.541%から▲1.954%下回った。20年3月23日の6.017%から▲3.430%下回った。NYダウは、決算が好感されたアマゾン・ドット・コムが13.5%高と急伸し、ハイテク株の上昇をけん引したほか、強い米1月雇用統計を受けて長期金利が上昇し、金融株が軒並み高となったことも相場を押し上げた。一方、NYダウは21.42ドル安(-0.06%)とわずかながら2日続落した。312ドル安まで下落後、222ドル高まで反発したものの、取引終盤に失速した。

 

米10年国債金利とS&P500:11/4/21以降の平均▲2.779%

・直近イールドスプレッド縮小: 20/08/27-▲2.677%、20/10/12-▲2.664%

               20/12/08-▲2.666%、21/1/11-▲2.320%

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲3.869%、19/8/5-▲4.002%、

                19/8/15-▲4.179%、20/2/28-4.499%

               20/3/23-▲6.222%

・2月3日:▲2.871%⇒2月4日:予想▲2.773%(前日比で縮小:割高)

 

S&P500は小幅反発したうえ、米長期金利が大幅上昇したことでイールドスプレッドは前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割高)した。平均値の▲2.779%から▲0.006%と平均値より上方かい離したことで割高になった。また、19年1月3日の大底となった▲3.869%を▲1.096%下回った。また、19年8月5日の大底となった▲4.002%を▲1.229%下回った。19年8月15日の▲4.179%を▲1.406%下回った。20年2月28日の大底▲4.499%から▲1.726%下回った。20年3月23日の6.222%から▲3.449%下回った。

 

米10年国債金利とNASDAQ:11/4/21以降の平均▲1.766%

・直近イールドスプレッド縮小:18/12/3-▲1.198%、21/1/11-1.066%

              21/2/16-1.144%、21/11/23-1.299%

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲2.179%、19/8/15-▲2.383%、

              19/8/15-▲2.498%、 20/3/16-▲4.094%

・2月3日:▲1.636%⇒2月4日予想▲1.509%(前日比で縮小:割高)

 

NASDAQは大幅反発したうえ、米長期金利も大幅上昇したことでイールドスプレッドは前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は割高)した。平均値の▲1.766%から▲0.257%平均値より下方かい離したことで割高になった。また、19年1月3日の大底となった▲2.179%に対しては▲0.670%下回った。19年8月5日の大底となった▲2.383%に対して▲0.874%下回った。19年8月15日の大底となった▲2.498%に対して▲0.989%下回った。20年2月28日の大底2.803%から▲1.294%下回った。20年3月16日の▲4.094%から▲2.585%下回った。

 

NASDAQのイールドスプレッドは、米長期金利が大幅上昇したうえ、株価も大幅反発したことで前日比で縮小した。イールドスプレッドは以前より半分以下まで縮小しているため、引き続き割高感から利益確定売りが出やすい地合いとなっている。NASDAQ総合指数のイールドスプレッドは、▲1.5%台前半までスプレッド縮小推移していることで、割高感が強まった。2%台に拡大するまでは割安とは言えず、売られやすい地合いが継続する。

 

※PERの発表が時間的に遅行することから、前営業日の数値を使って当日終了時の予想を算定している。

 

※毎日イールドスプレッドを掲載していますので、米国株式市場の買われ過ぎ・売られ過ぎなど過熱感の目安としてください。

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