FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:NYダウ先物が堅調推移したことで買い優勢に

前日の米国株式市場では主要3指数がそろって反落したが、引け後では米アマゾン・ドット・コムが市場予想を上回る決算を発表し、NYダウ先物が上昇した。米国株に対する過度な警戒感が和らいだため、日本株は小幅安の水準でとどまった。NYダウ先物が堅調に推移し、投資家心理を支援した。本日は1月米雇用統計の発表を控えており、市場では、『インフレ動向を見極める上で、労働参加率や賃金の動向に、より集まりそうだ』との声が聞こえた。結局、前営業日比198円高の2万7439円と反発した。

 

東京外国為替市場:仲値発表後は114.90円を挟んでもみ合う展開

ドル/円は、日経平均株価がマイナス圏から一時プラス圏へ転じたことに支えられ、115.05円付近まで上昇する場面があった。しかし、本日は実質的な五・十日にあたり、仲値に向けて国内輸出企業がドル売り・円買いを持ち込み、115.00円を挟んでもみ合いとなった。仲値発表後は、週末を控えた利益確定や持ち高調整などのドル売り・円買いに押され、114.80円付近へじり安となった。ただ、下値では日米金融政策スタンスの違いを意識したドル買いも見られ、114.90円台へ値を戻した。午後に入ると、今晩発表される1月雇用統計を見極めたいとの雰囲気から、114.90円を挟んで動きとなった。NY時間にバイデン米大統領が米雇用統計について会見を行うと報道されていることも、様子見ムードに拍車をかけた。ユーロ/ドルは、1.1465ドル前後で方向感に欠ける値動きとなった。欧州勢待ちの様相となっている。

 

ECBは年内の利上げも選択肢に

欧州中央銀行(ECB)は定例理事会で市場の予想通り政策金利の据え置きを決定した。域内の1月インフレは5.1%と過去最高の伸びを記録した。ラガルド総裁は会合後の会見で、状況は変わったとし、今まで繰り返していた年内の利上げを除外する言及を避けた。政策委員会全体がインフレを懸念していると指摘。インフレ見通しリスクは上向きに傾斜しており、ECBの物価安定目標達成に一段と近づいたと利上げの可能性を示唆。データに基づいて政策を決定していくとした。3月にパンデミック緊急資産購入プログラム(PEPP)を終了、資産購入策(APP)を7-9月に終了し、その後、利上げを見直す軌道になると見られる。

 

トルコの1月消費者物価指数は約20年ぶりの高水準

欧州序盤に発表されたトルコの1月消費者物価指数(CPI、前年比)は48%を上回り、約20年ぶりの高水準を記録した。コアCPIも前回31%台から39%台まで加速し、インフレの深刻さが再確認された。1月トルコCPIを確認し、トルコ中銀や民間の金融機関は、インフレ率が5月55%台でピークアウトするとの予測で一致している。ただ欧米の主要銀行は、年末にかけての低下でも30%を割り込まないとしているにもかかわらず、中銀インフレレポートでは年末予想の中心値が23%台と楽観的である。いずれにせよ、金融政策を引き締めに転じることができないトルコ中銀とタカ派に傾く他中央銀行との差はより顕著となり、リラの保有しづらさは続く。なおエルドアン大統領はウクライナを訪問し、同国のゼレンスキー大統領と会談した。ウクライナとロシアの緊張緩和に向けて仲介役にトルコは手を挙げており、今後はその役割が機能するかが注目される。ただ今のところ、プーチン露大統領はエルドアン大統領との会談に乗り気ではないとの報道が目立つ。

 

南アではウイルス感染の影響が弱まる

昨日発表された1月のスタンダード銀行南アPMIは前回の48.4から改善し、景況の強弱を判断する節目50を超えて、50.9まで上昇した。南アではオミクロン株の隔離も3日間に短縮するなど、徐々にウイルス感染の影響が弱まっていることがポジティブに転じた要因である。ただし、急激な燃料価格の上昇で輸送に大きな影響が出ていることで、サプライチェーンは大きな問題を抱えたままとなっていることが懸念材料として残っている。

 

米労働コスト速報値が大幅鈍化でインフレ懸念が後退

労働省が発表した先週分新規失業保険申請件数(1/29)は前週比2.3万件減の+23.8万件と、前回26.1万件から予想以上に減少した。失業保険継続受給者数(1/22)は162.8万人と前回167.2万人から減少した。10-12月期非農業部門労働生産性速報値は前期比年率+6.6%となった。7-9月期-5.0%からプラスに回復した。パンデミックの経済封鎖から脱出した2020年4-6月期以降で最大の伸びを記録した。同期単位労働コスト速報値は前期比年率+0.3%と、7-9月期+9.3%から伸びが予想以上に大幅鈍化した。インフレ懸念が後退した。

 

割高な米ハイテク株は重圧を受ける

これまで目がくらむほどの急上昇を演じてきたハイテク株が重圧にさらされている。
この2日間で、米メタ・プラットフォームズ(旧フェイスブック)、米電子決済サービス会社ペイパル・ホールディングス、スウェーデンの音楽配信サービス大手スポティファイ・テクノロジーは、合わせて2700億ドル(約31兆円)の時価総額を失った。いずれも決算と業績見通しに失望感が広がったためである。2018年以来となる米利上げが間近に迫り、米主要株価指数が今も最高値圏にある中でこうした企業が売り込まれている背景には、投資家の目が一段と厳しくなっていることがある。金利の上昇は、割高な株価に対する投資家の許容度を引き下げる傾向があるため、バリュエーションが高水準にある銘柄にとって足かせとなりやすい。

 

米国市場では1月雇用統計を公表:予想は前月比+17.8万人、失業率3.9%

12月雇用統計では、非農業部門雇用者数が前月比+19.9万人にとどまったが、失業率は3.9%まで低下した。労働力の供給は制限されており、1月も雇用者数の大幅な増加は期待できない。ただし、失業率は労働力不足によって低水準を維持する見込み。平均時給の上昇率は12月実績を上回り、前年比5%超となる可能性がある。

 

欧米市場イベント

○16:00   12月独製造業新規受注(予想:前月比0.3%/前年同月比3.0%)
○16:45   12月仏鉱工業生産(予想:前月比0.5%)
○16:45   10-12月期仏非農業部門雇用者数・速報値
○17:00   ベイリー英中銀(BOE)総裁、講演
○18:30   1月英建設業購買担当者景気指数(PMI、予想:54.3)
○19:00   12月ユーロ圏小売売上高(予想:前月比▲0.5%/前年比5.1%)
○21:15   ブロードベントBOE副総裁、ピル英中銀金融政策委員会(MPC)委員、講演
○22:30   1月カナダ雇用統計(予想:新規雇用者数変化▲11.75万人/失業率6.2%)
○22:30   1月米雇用統計(予想:非農業部門雇用者数変化15.0万人/失業率3.9%/平均時給、前月比0.5%/前年比5.2%)
○24:00   1月カナダIvey購買部協会景気指数
○5日01:00   ビルロワドガロー仏中銀総裁、講演
○冬季オリンピック北京大会(北京、20日まで)
○中国(旧正月)、休場

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