FITS エコノミックレポート

イールドスプレッドで2月3日の米国株市場を先取り!

 

★NY株式市場では、主要三指数ともに全て続伸する展開になった。。昨日引け後に発表された検索大手グーグルを運営するアルファベット(GOOG)の好決算で投資家心理が改善し、寄り付き後は上昇した。業績が景気動向の影響を受けにくいディフェンシブ株の上昇も目立った。その後、1月の民間雇用統計が予想外の減少となったため景気回復懸念に一時下落に転じる局面もあった。しかし、強い企業決算への期待に再び上昇し、引けにかけて上げ幅を拡大した。一方、長期金利は、1月ADP全米雇用報告が予想を大幅に下回ったことを受けて、債券買い(利回りは低下)が優勢となった。今後も米長期金利の動向には注意が必要となる。イールドスプレッドからは、米長期金利が低下した一方で、主要三指数が大幅続伸したもことで前日比で縮小する展開になった。イールドスプレッドでは、米長期金利の動向が重要なポイントになる。

 

世界的な経済成長による景気回復に連れたインフレ懸念が高まってきている。特に、米連邦準備理事会(FRB)が金融引き締めを急ぐタカ派姿勢を強まていることから、米長期金利が上昇することでイールドスプレッドが縮小しやすく株価は売られやすい地合いになっている。そして、米国金利上昇は世界的な金利上昇を招くことになり、世界的な株価にとって、ネガティブな材料となりやすい。米国株のVIX指数は21.96から22.09へ上昇した。20を上回っていることで、リスク回避の動きは継続している。

 

NYダウの割高の目安は3.00%近辺、S&P500は3.00%割れ、ナスダックは1.5%以下が昨年からの割高の目安となっている。一方で割安の目安では、イールドスプレッドがNYダウ:4.0%台、S&P500:3.8%~4.0%台、NASDAQ:2.3%~2.5%台で割安感からの反発となりやすい。割安感となるイールドスプレッドを大幅に上回っていることから、相場が落ち着くと戻りも大きくなりやすい。

 

★米国市場のイールドスプレッドは、米国債金利と米国株益利回りを比較する指標である。株式市場は国債市場よりリスクが高いことから、株式市場に割高感が生じ国債市場に割安感が生じれば、投機筋は株式を売って国債を買う。また、国債市場に割高感が生じ株式市場に割安感が生じれば、国債を売却して株式を買うことになる。そのため、株式市場の天底を探るひとつの参考指標となる。

 

米10年国債金利とNYダウ:2011/4/21以降の平均▲3.278%

・直近イールドスプレッド縮小:20/09/1‐▲2.867%、20/10/12-▲2.847%

                21/1/11-▲2.611%、21/10/21-▲2.758%

(NYダウが割高・米国10年債割安の状態)

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲4.226%、19/8/5-▲4.102%、

               20/2/28-▲4.541%、20/3/23-6.017%

(NYダウが割安・米国10年債割高の状態)

・2月1日:▲2.623%⇒2月2日:予想▲2.609%(前日比で縮小:割高)

 

2月2日のNYダウは続伸した一方で、米長期金利は低下したもののイールドスプレッドは前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割高)した。平均値の▲3.278%から▲0.669%と平均値より下方かい離したことで割高になった。19年1月3日の大底▲4.226%から▲1.617%下回った。19年8月5日の大底▲4.102%を▲1.493%下回った。20年2月28日の大底▲4.541%から▲1.932%下回った。20年3月23日の6.017%から▲3.408%下回った。NYダウは、予想を上回る決算や株式分割を発表したアルファベットが7%超上昇し、好決算や強い見通しが好感されたアドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)も5%超上昇し、ハイテク株の上昇をけん引した。1月ADP民間部門雇用者数が増加予想に反して減少し、金曜日の1月雇用統計の悪化が懸念されたものの、長期金利の低下が株式市場の支えとなった。NYダウは224.09ドル高(+0.63%)と4日続伸した。

 

米10年国債金利とS&P500:11/4/21以降の平均▲2.779%

・直近イールドスプレッド縮小: 20/08/27-▲2.677%、20/10/12-▲2.664%

               20/12/08-▲2.666%、21/1/11-▲2.320%

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲3.869%、19/8/5-▲4.002%、

                19/8/15-▲4.179%、20/2/28-4.499%

               20/3/23-▲6.222%

・2月1日:▲2.812%⇒2月2日:予想▲2.783%(前日比で縮小:割高)

 

S&P500は続伸した一方で、米長期金利は低下したもののイールドスプレッドは前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割高)した。平均値の▲2.779%から+0.004%と平均値より下方かい離したことで割安になった。また、19年1月3日の大底となった▲3.869%を▲1.086%下回った。また、19年8月5日の大底となった▲4.002%を▲1.219%下回った。19年8月15日の▲4.179%を▲1.396%下回った。20年2月28日の大底▲4.499%から▲1.716%下回った。20年3月23日の6.222%から▲3.439%下回った。

 

米10年国債金利とNASDAQ:11/4/21以降の平均▲1.766%

・直近イールドスプレッド縮小:18/12/3-▲1.198%、21/1/11-1.066%

              21/2/16-1.144%、21/11/23-1.299%

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲2.179%、19/8/15-▲2.383%、

              19/8/15-▲2.498%、 20/3/16-▲4.094%

・2月1日:▲1.562%⇒2月2日予想▲1.559%(前日比で縮小:割高)

 

NASDAQは続伸した一方で、米長期金利は低下したもののイールドスプレッドは前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は割高)した。平均値の▲1.766%から▲0.207%平均値より下方かい離したことで割高になった。また、19年1月3日の大底となった▲2.179%に対しては▲0.620%下回った。19年8月5日の大底となった▲2.383%に対して▲0.824%下回った。19年8月15日の大底となった▲2.498%に対して▲0.939%下回った。20年2月28日の大底2.803%から▲1.244%下回った。20年3月16日の▲4.094%から▲2.535%下回った。

 

NASDAQのイールドスプレッドは、米長期金利が低下した一方で、株価が続伸したものの前日比で縮小した。イールドスプレッドは以前より半分以下まで縮小しているため、引き続き割高感から利益確定売りが出やすい地合いとなっている。NASDAQ総合指数のイールドスプレッドは、▲1.5%台半ばまでスプレッド縮小推移していることで、前日比で割高感が強まった。2%台に拡大するまでは割安とは言えず、売られやすい地合いが継続する。

 

※PERの発表が時間的に遅行することから、前営業日の数値を使って当日終了時の予想を算定している。

 

※毎日イールドスプレッドを掲載していますので、米国株式市場の買われ過ぎ・売られ過ぎなど過熱感の目安としてください。

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