FITS エコノミックレポート

イールドスプレッドで1月6日の米国株市場を先取り!

 

★NY株式市場では、主要三指数は全て下落する展開になった。民間部門の12月ADP雇用統計が予想を大幅に上回り労働市場の強い回復が証明されたことが好感され、寄り付き後は上昇した。景気循環株がけん引し、NYダウは日中取引で史上最高値を更新した。その後、連邦準備制度理事会(FRB)が公表した12月開催の連邦公開市場委員会(FOMC)議事録の中で、従来想定していたよりも早期で速やかなペースでの利上げやバランスシート縮小の可能性を示唆するタカ派姿勢を示したため、急速な金利高を警戒し大幅下落に転じた。高PER(株価収益率)のハイテク株に売りが集まり、指数を押し下げた。一方、長期金利は、米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨(12月14日-15日分)で利上げや保有資産の圧縮について、『前回の緩和縮小時よりも速いペースで実施するのが正当化される可能性』との見解が示されると、債券売り(利回りは上昇)が広がった。利回りは一時1.7087%前後と昨年4月6日以来約9カ月ぶりの高水準を付けた。今後も米長期金利の動向には注意が必要となる。イールドスプレッドからは、米長期金利が大幅上昇したがS&P500指数とナスダック総合指数が大幅下落となり、イールドスプレッドは前日比で拡大したことで全般割高感がやや後退した。

 

世界的にオミクロン変異株の感染拡大でも『流行が短期で終息する』との専門家の見解を好感された。しかし、世界的な経済成長による景気回復に連れたインフレ懸念が高まってきている。特に、米国金利上昇は世界的な金利上昇を招くことになり、株価にとっては、ネガティブな材料となりやすい。一方、米国株のVIX指数は16.91から19.73へ上昇した。VIX指数が20台付近まで上昇してきたことで、リスク回避の動きがやや強まってきた。

 

NYダウの割高の目安は3.00%近辺、S&P500は3.00%割れ、ナスダックは1.5%以下が昨年からの割高の目安となっている。一方で割安の目安では、イールドスプレッドがNYダウ:4.0%台、S&P500:3.8%~4.0%台、NASDAQ:2.3%~2.5%台で割安感からの反発となりやすい。割安感となるイールドスプレッドを大幅に上回っていることから、相場が落ち着くと戻りも大きくなりやすい。

 

★米国市場のイールドスプレッドは、米国債金利と米国株益利回りを比較する指標である。株式市場は国債市場よりリスクが高いことから、株式市場に割高感が生じ国債市場に割安感が生じれば、投機筋は株式を売って国債を買う。また、国債市場に割高感が生じ株式市場に割安感が生じれば、国債を売却して株式を買うことになる。そのため、株式市場の天底を探るひとつの参考指標となる。

 

米10年国債金利とNYダウ:2011/4/21以降の平均▲3.281%

・直近イールドスプレッド縮小:20/09/1‐▲2.867%、20/10/12-▲2.847%

                21/1/11-▲2.611%、21/10/21-▲2.758%

(NYダウが割高・米国10年債割安の状態)

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲4.226%、19/8/5-▲4.102%、

               20/2/28-▲4.541%、20/3/23-6.017%

(NYダウが割安・米国10年債割高の状態)

・1月4日:▲2.667%⇒1月5日:予想▲2.661%(前日比で縮小:割高)

 

1月5日のNYダウは反落した一方で、米長期金利が大幅上昇したことでイールドスプレッドは前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割高)した。平均値の▲3.281%から▲0.620%と平均値より下方かい離したことで割高になった。19年1月3日の大底▲4.226%から▲1.565%下回った。19年8月5日の大底▲4.102%を▲1.441%下回った。20年2月28日の大底▲4.541%から▲1.880%下回った。20年3月23日の6.017%から▲3.356%下回った。NYダウは、米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨で、より積極的な利上げや、利上げ実施直後のバランスシート縮小の可能性が示されたことが嫌気された。NYダウは朝方に153ドル高まで上昇し、前日に続いて取引時間中の史上最高値を更新したが、FOMC議事要旨の公表を受けて392.54ドル安(-1.07%)とほぼ一日の安値で終了した。今年初めての下落となった。

 

米10年国債金利とS&P500:11/4/21以降の平均▲2.779%

・直近イールドスプレッド縮小: 20/08/27-▲2.677%、20/10/12-▲2.664%

               20/12/08-▲2.666%、21/1/11-▲2.320%

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲3.869%、19/8/5-▲4.002%、

                19/8/15-▲4.179%、20/2/28-4.499%

               20/3/23-▲6.222%

・1月4日:▲2.661%⇒1月5日:予想▲2.694%(前日比で拡大:割安)

 

S&P500が大幅続落した一方で、米長期金利が上昇したもののイールドスプレッドは前日比で拡大(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割安)した。平均値の▲2.779%から▲0.085%と平均値より上方かい離したことで割高になった。また、19年1月3日の大底となった▲3.869%を▲1.175%下回った。また、19年8月5日の大底となった▲4.002%を▲1.308%下回った。19年8月15日の▲4.179%を▲1.485%下回った。20年2月28日の大底▲4.499%から▲1.805%下回った。20年3月23日の6.222%から▲3.528%下回った。

 

米10年国債金利とNASDAQ:11/4/21以降の平均▲1.768%

・直近イールドスプレッド縮小:18/12/3-▲1.198%、21/1/11-1.066%

              21/2/16-1.144%、21/11/23-1.299%

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲2.179%、19/8/15-▲2.383%、

              19/8/15-▲2.498%、 20/3/16-▲4.094%

・1月4日:▲1.334%⇒1月5日予想▲1.384%(前日比で拡大:割安)

 

NASDAQは大幅続落した一方で、米長期金利は上昇したもののイールドスプレッドは前日比で拡大(米国10年債金利に対して米国株は割安)した。平均値の▲1.768%から▲0.384%平均値より下方かい離したことで割高になった。また、19年1月3日の大底となった▲2.179%に対しては▲0.795%下回った。19年8月5日の大底となった▲2.383%に対して▲0.999%下回った。19年8月15日の大底となった▲2.498%に対して▲1.114%下回った。20年2月28日の大底2.803%から▲1.419%下回った。20年3月16日の▲4.094%から▲2.710%下回った。

 

NASDAQのイールドスプレッドは、米長期金利は上昇した一方で、株価も大幅続落したことで前日比で拡大した。ただ、イールドスプレッドは以前より半分以下まで縮小しているため、引き続き割高感から利益確定売りが出やすい地合いとなっている。NASDAQ総合指数のイールドスプレッドは、▲1.3%台後半までスプレッドが開いたことで割高感が若干後退した。ただ、2%台に拡大するまでは割安とは言えず、売られやすい地合いが継続する。

 

※PERの発表が時間的に遅行することから、前営業日の数値を使って当日終了時の予想を算定している。

 

※毎日イールドスプレッドを掲載していますので、米国株式市場の買われ過ぎ・売られ過ぎなど過熱感の目安としてください。

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