FITS エコノミックレポート

イールドスプレッドで12月30日の米国株市場を先取り!

 

★NY株式市場では、NYダウとS&P500指数は小幅上昇した一方でナスダック総合指数は続落する展開になった。新型コロナの新規感染件数が過去最多を記録する中、大規模な都市封鎖に繋がる可能性は少ないとの楽観的見解に景気循環株中心に寄り付き後は買われた。世界保健機関(WHO)のテドロス事務局長や政府のファウチ首席医療顧問が2022年のパンデミック終了の可能性に言及したことも支援材料となり、NYダウは終日堅調に推移し、1カ月ぶり最高値を更新し引けた。ハイテクは金利の上昇を警戒し売られ、ナスダック総合指数は小幅下落した。一方、長期金利は、米国株式市場でNYダウやS&P500種株価指数が史上最高値を更新する中、安全資産とされる米国債には売り(利回りは上昇)が出た。7年債入札が低調だったことも相場の重石となった。今後も米長期金利の動向には注意が必要となる。イールドスプレッドからは、米長期金利が大幅上昇したことでイールドスプレッドは前日比で大幅に縮小して全般割高感が強まった。

 

世界的にオミクロン変異株の感染拡大が懸念されたほか、世界的な経済成長による景気回復に連れたインフレ懸念が高まってきている。特に、米国金利上昇は世界的な金利上昇を招くことになり、株価にとっては、ネガティブな材料となりやすい。一方、米国株のVIX指数は17.54から16.95へ低下した。VIX指数が20台を下回っていることで、リスク回避の動きは後退してきている。

 

NYダウの割高の目安は3.00%近辺、S&P500は3.00%割れ、ナスダックは1.5%以下が昨年からの割高の目安となっている。一方で割安の目安では、イールドスプレッドがNYダウ:4.0%台、S&P500:3.8%~4.0%台、NASDAQ:2.3%~2.5%台で割安感からの反発となりやすい。割安感となるイールドスプレッドを大幅に上回っていることから、相場が落ち着くと戻りも大きくなりやすい。

 

★米国市場のイールドスプレッドは、米国債金利と米国株益利回りを比較する指標である。株式市場は国債市場よりリスクが高いことから、株式市場に割高感が生じ国債市場に割安感が生じれば、投機筋は株式を売って国債を買う。また、国債市場に割高感が生じ株式市場に割安感が生じれば、国債を売却して株式を買うことになる。そのため、株式市場の天底を探るひとつの参考指標となる。

 

米10年国債金利とNYダウ:2011/4/21以降の平均▲3.282%

・直近イールドスプレッド縮小:20/09/1‐▲2.867%、20/10/12-▲2.847%

                21/1/11-▲2.611%、21/10/21-▲2.758%

(NYダウが割高・米国10年債割安の状態)

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲4.226%、19/8/5-▲4.102%、

               20/2/28-▲4.541%、20/3/23-6.017%

(NYダウが割安・米国10年債割高の状態)

・12月28日:▲2.832%⇒12月29日:予想▲2.750%(前日比で縮小:割高)

 

12月29日のNYダウは続伸したうえ、米長期金利も上昇したことでイールドスプレッドは前日比で大幅に縮小(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割高)した。平均値の▲3.282%から▲0.532%と平均値より下方かい離したことで割高になった。19年1月3日の大底▲4.226%から▲1.476%下回った。19年8月5日の大底▲4.102%を▲1.352%下回った。20年2月28日の大底▲4.541%から▲1.791%下回った。20年3月23日の6.017%から▲3.267%下回った。NYダウは、年末年始の株高アノマリーへの期待を背景に、消費関連株や韓国サムスンによる買収が報じられたバイオジェンなどが上昇し相場を支えた。ただ、新型コロナウイルスの感染拡大が続き、空運やクルーズ株が下落したほか、長期金利の上昇が嫌気され、ハイテク・グロース株の一角も下落した。NYダウは90.42ドル高(+0.25%)と6日続伸し、11月8日以来、1カ月半ぶりに取引時間中と終値の最高値を更新した。

 

米10年国債金利とS&P500:11/4/21以降の平均▲2.779%

・直近イールドスプレッド縮小: 20/08/27-▲2.677%、20/10/12-▲2.664%

               20/12/08-▲2.666%、21/1/11-▲2.320%

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲3.869%、19/8/5-▲4.002%、

                19/8/15-▲4.179%、20/2/28-4.499%

               20/3/23-▲6.222%

・12月28日:▲2.834%⇒12月29日:予想▲2.757%(前日比で縮小:割安)

 

S&P500が小幅反発したうえ、米長期金利が上昇したことでイールドスプレッドは前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割高)した。平均値の▲2.779%から▲0.029%と平均値より上方かい離したことで割高になった。また、19年1月3日の大底となった▲3.869%を▲1.112%下回った。また、19年8月5日の大底となった▲4.002%を▲1.245%下回った。19年8月15日の▲4.179%を▲1.422%下回った。20年2月28日の大底▲4.499%から▲1.742%下回った。20年3月23日の6.222%から▲3.465%下回った。

 

米10年国債金利とNASDAQ:11/4/21以降の平均▲1.768%

・直近イールドスプレッド縮小:18/12/3-▲1.198%、21/1/11-1.066%

              21/2/16-1.144%、21/11/23-1.299%

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲2.179%、19/8/15-▲2.383%、

              19/8/15-▲2.498%、 20/3/16-▲4.094%

・12月28日:▲1.468%⇒12月29日予想▲1.399%(前日比で拡大:割安)

 

NASDAQは続落した一方で、米長期金利が上昇したことでイールドスプレッドは前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は割高)した。平均値の▲1.768%から▲0.369%平均値より下方かい離したことで割高になった。また、19年1月3日の大底となった▲2.179%に対しては▲0.780%下回った。19年8月5日の大底となった▲2.383%に対して▲0.984%下回った。19年8月15日の大底となった▲2.498%に対して▲1.099%下回った。20年2月28日の大底2.803%から▲1.404%下回った。20年3月16日の▲4.094%から▲2.695%下回った。

 

NASDAQのイールドスプレッドは、米長期金利は上昇した一方で、株価は続落したものの前日比で縮小した。イールドスプレッドは以前より半分以下まで縮小しているため、引き続き割高感から利益確定売りが出やすい地合いとなっている。NASDAQ総合指数のイールドスプレッドは、▲1.3%台後半へスプレッドが縮小したことで割高感が強まった。2%台に拡大するまでは割安とは言えず、売られやすい地合いが継続する。

 

※PERの発表が時間的に遅行することから、前営業日の数値を使って当日終了時の予想を算定している。

 

※毎日イールドスプレッドを掲載していますので、米国株式市場の買われ過ぎ・売られ過ぎなど過熱感の目安としてください。

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