FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:世界景気の回復鈍化懸念から売り優勢

前日米国株式市場でNYダウとS&P500指数が下落した流れを引き継ぎ、景気敏感株を中心に売りが先行した。また、ドル/円が110円台半ばと前日より円高気味に推移していることも重石となった。さらに、世界景気の回復が鈍化するとの懸念が投資家心理を下向かせた。国内で新型コロナウイルスの新規感染者数が増加傾向にあるうえ、ワクチン接種の加速にブレーキがかかっていることも重荷だった。結局、前営業日比276円安の2万8366円と反落して終了した。6月21日以来、約2週間ぶりの安値となった。信用評価損率は2日申し込み時点でマイナス8.11%と、前週のマイナス8.19%からマイナス幅が0.08ポイント縮小した。改善は2週連続となった。

 

東京外国為替市場:日経平均株価と米長期金利睨みの展開

ドル/円は、前日NY市場で米長期金利の急低下や6月米ISM非製造業景況感指数の低調な数字を眺めたドル売り・円買いが優勢だった。東京市場でもこの流れが続き、日経平均株価の大幅安でリスク回避の円買いが先行し、110.40円付近まで下落した。ただ、8日未明に公表される米FOMC議事要旨を見極めたいとの雰囲気もあり、下げは一服した。その後は、本邦輸入勢などがドル買い・円売りに動き110.55円付近へ持ち直した。午後は、日経平均株価や米長期金利を睨みながら、110.50円台を中心とした狭いレンジ内での展開となった。ユーロ/ドルは、1.18ドル台前半で小動きの展開に終始した。欧州勢待ちの様相となっている。

 

ETFの分配金拠出売り出揃う

国内に上昇する投資信託(ETF)で最も純資産総額の大きいNFTOPIX(1306)が10日の収益分配金を1口36.6円と見込んだ。10日が土曜日のため、分配金支払い基準は前日の9日となる。これで8、9日に決算を迎える主要ETFの分配金見込み額が出揃った。前日の純資産総額を基に分配金支払いに伴う売却額を試算したところ、8日に日経平均で約1450億円、TOPIXで約1360億円。9日に日経平均で約500億円、TOPIXで約4200億円の売りじゅようが発生するとみられる。

 

顧客が米国株を2週連続で売り越し:BofAセキュリティーズ

BofAセキュリティーズの7日付けのリポートでは、同社の顧客は6月28日~7月2日の1週間に米国株を1億9900万ドル売り越した。2週連続の売り越しとなる。この週は2日に発表された6月の雇用統計で非農部門の新規雇用者が前月比85万人増となり、市場予想の70万人増を上回った一方、失業率は5.9%で市場予想の5.6%より悪かったことで米景気回復期待が強まる一方で米FRBによる早期のテーパリング懸念が和らいでS&P500指数が週間で1.67%高となって2週連続で上昇した時だった。主体別動向ではヘッジファンド(HF)が13億6400万ドルの売り越しで、2週連続の売り越し。機関投資家は4億7100万ドルの買い越しで、3週連続の買い越しだった。個人投資家は2600万ドルの小幅売り越しで、2週連続の売り越しだった。企業の自社株買いは7億2000万ドルで、2週連続で10億ドルを割り込んだ。

 

来週のトルコ中銀の政策会合まではレンジ相場を予想

トルコメディアは昨日、スペイン系銀行による予測、トルコ消費者物価指数(CPI、前年比)は11月までに18%台まで上昇を報じている。一昨日発表された6月生産者物価指数(PPI)が前年比42%台まで上昇していたことを考えると、年後半にかけてのインフレ上振れは十分にあり得る。そうなると、一部の米系銀行が予想している『トルコ、年内利下げなし』が現実味を帯びてくる。まずは来週のトルコ中銀金融政策決定会合を見極める必要があり、それまではこのところのレンジ(12円半ばから後半)を中心とした値動きが続く可能性が高い。

 

トルコの観光業は今年復活なるか

トルコにとっても観光業は同国GDPの約5%を占める重要産業であり、パンデミックによる観光低迷は経済全体にとっても大きな痛手となった。20年の外国人観光客数は前年比で約7割も減少し、UNCTADによれば、同国の観光需要の落ち込みは金額にして約330億ドルと推定された。また、観光と結びついた業種(食品や飲料、小売業だけでなく、通信や輸送など)まで範囲を広げると、総合的な損失は930億ドルにも達する可能性も指摘されている。夏の観光シーズンを迎えた今月1日、トルコではコロナ制限のほとんどが解除された。書き入れ時になんとか間に合い、業績回復への期待も高まっている。ここから重要なのはやはり感染対策である。トルコでは今のところ、1日あたりの新規感染者数は5000人を割り込む日が増えてきた。ただデルタ株への警戒感は高まりつつあり、今後の感染状況には目を配る必要は依然としてある。

 

メキシコではザマ油田の運営会社選定を巡って米国との軋轢に注意

メキシコのエネルギー省は、ザマ油田の運営会社として国営石油公社ペメックスを選定したことを明らかにした。メキシコ湾南部にある同油田は2017年に発見され、推定埋蔵量は過去20年間で世界最大規模となる7億バレル相当する。同油田を発見した米タロス・エナジーはこの決定に対して『非常に失望した』との見解を示しているほか、米政府も米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)に基づき、タロスの同プロジェクトに対する法的権利を強調している。今後はUSMCAなどを巡って米国との軋轢が生じる可能性もあり、注意が必要である。

 

米6月ISM非製造業景況感は引き続き高水準の伸びを維持

米供給管理協会(ISM)が発表した6月非製造業景況指数は60.1と、過去最高となった5月の64から低下した。予想も下回り、2月来で最低となった。しかし、活動の拡大と縮小の境目となる50は13カ月連続で上回った。5月から予想以上に低下も、引き続き高水準の伸びを維持している。主要項目である新規受注は62.1と、5月63.9から低下も6カ月平均の61.7は上回った。4-6月期国内総生産(GDP)で10%近くの成長予想は依然変わりはないとの見方である。仕入れ価格は79.5と、5月の80.6から低下し、高インフレが一段落したことは安心感に繋がる。一方で、雇用は、昨年12月来の50割れで活動が縮小した。調査への回答者は、求人に対して、適切な労働者を確保するのが一段と困難になったとコメントしている。さらに、製造業と同じく、政府の失業者支援策支給で、労働者が雇用復帰を望まない傾向にあることも影響していると見られる。

 

米国市場では米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨が公表

6月15-16日に開催したFOMCの議事要旨を公表する。量的緩和策の早期縮小についての高低的な意見が多くみられた場合、リスク回避的なドル売り・円買いは後退し、ドル/円は111円台定着の可能性ある。また、新型コロナウイルスの感染拡大前の水準である1ドル=112円台前半の水準が視野に入る。

 

欧米市場イベント

○15:00   5月独鉱工業生産(予想:前月比0.5%/前年同月比17.7%)
○15:45   5月仏貿易収支(予想:61.00億ユーロの赤字)
○15:45   5月仏経常収支
○20:00   MBA住宅ローン申請指数
○21:00   5月ブラジル小売売上高指数(予想:前年同月比16.5%)
○23:00   6月カナダIvey購買部協会景気指数
○8日01:00   6月ロシア消費者物価指数(CPI、予想:前月比0.5%)
○8日03:00   米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨(6月15日-16日分)
○8日04:30    ボスティック米アトランタ連銀総裁、講演

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