FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:世界的な株価市場の堅調推移を好感した買い

連休期間中に海外の株式市場が堅調に推移していたことを受けて、高く始まった後も水準を切り上げた。市場では『国内では大きな波乱もなく連休を無事通貨したことで安心感が広がった』との声もあった。しかし、中国国家発展改革委員会が豪州との戦略経済対話を無期限停止すると伝わり中国の強硬姿勢への警戒感が重荷となった。結局、前営業日比518円高の2万9331円で反発して終了した。

 

東京外国為替市場:短期筋による利食い売りで上値の重い展開

ドル/円は、本邦輸入勢などのドル買い・円売りや日経平均株価の大幅高に支えられ、109.43円付近まで値を上げた。中国がオーストラリアとの戦略経済対話の枠組みに基づく一切の活動を無制限に停止すると発表、これを嫌気した豪ドル安・ドル高が波及した面もあった。しかし、前日の欧州市場でつけた高値109.45円に接近すると上げは一服した。その後は、短期筋による利食い売りも見られ、109.35円前後でもみ合いとなった。午後は、日経平均株価や米長期金利を睨みながら、109.30円台を中心とした狭いレンジで取引された。ユーロ/ドルは、明日の4月米雇用統計を控えた持ち高調整などのユーロ売り・ドル買いが一巡すると、1.2005ドル前後で小動きとなった。

 

前週はドル買い比率55.5%に低下

QUICKが6日算出した大型連休前4月30日時点の店頭の外国為替証拠金(FX)6社合計(週間)の建玉状況によると、円に対するドル買い比率は55.5%と前の週末から8.1ポイント低下した。4月に円高・ドル安が続いていた反動から円相場が弱含み場面で、円買い・ドル売りに持ち高を傾ける個人投資家が目立った。米長期金利金利の背景に一時1ドル=107円台まで上昇していた円相場は、前週は持ち高調整や利益確定の売りに押されて109円台まで下落した。個人投資家は相場の流れに逆らう『逆張り』の戦略をとることが多く、円買い・ドル売りに動く投資家が多かった。市場では『大型連休中に円高・ドル安が進むとの観測が円買い・ドル売りを誘った面がある』との声も聞かれた。

 

トルコ中銀の金融政策会合に注目

4月消費者物価指数(CPI)と同時に昨日発表された4月トルコ生産者物価指数(PPI)は、前年比で2018年11月以来となる35%台まで上昇幅を拡大した。インフレの加速は止められそうになく、カブジュオール・トルコ中銀総裁が先週示した『インフレは4月がピーク』という見通しは、変更する必要がでてくる可能性がある。本日6日のトルコ中銀・金融政策決定会合に向けた思惑にも振らされそうである。警戒すべきはやはり、エルドアン大統領の口先介入である。物価高の抑制に手間取っているにもかかわらず、もし利下げに言及するようであれば、会合結果を見る前にリラが下値余地を広げることも考えられる。

 

南アフリカの売買材料

南アフリカのリスク要因の1つ目は、先週から始まった南ア政府と公務員の労働組合の賃金交渉の進展である。政府は昨年に引き続き賃上げを行わないように交渉しているが、南アではインフレ率が徐々に高まっている中で、2年連続の賃上げゼロでは労働組合は納得せず、ストライキの可能性を示唆している。本格的にストライキに入った場合、ランドは売られる可能性が高い。2つ目が、7日に格付け会社ムーディーズが南ア債の格付け見直しを発表することである。昨年の南ア財政は若干ながら改善したことで格下げリスクは少ないが警戒しておきたい。一方で、ポジティブなニュースでは、ラマポーザ南ア大統領のライバルともされているマガシュール事務局長が正式にアフリカ民族会議(ANC)から停職処分を受けたことである。かねてから収賄疑惑が掛けられていたが、停職処分まで持ち込めたことは大統領がANC内である程度求心力を得ることができたと言える。

 

半導体チップ不足でメキシコ製造業への影響が懸念

世界的な半導体チップの不足を受けて日産自動車はメキシコでの生産を5月に一時停止することを発表した。新型コロナウイルスの感染拡大で自動車生産を抑えた反動で生産が世界的に加速したため、深刻な半導体チップ不足がここへきてさらに大きな問題に発展している。メキシコのGDPの約3割を占める自動車を中心とした製造業には大きな痛手となることは確かである。

 

米国市場では7日に最新4月雇用統計を発表

市場予想では、失業率は5.8%と3月の6.0%からさらに低下する見通し、非農業部門雇用者数は平均予想で99.5万人増と、3月の91.6万人増に続き100万人近くの伸びが予想されている。先行指標の中で雇用統計との相関関係が最も強いとされる民間の雇用者数を示す4月ADP雇用統計は前月比+74.2万人となった。伸びは3月+56.5万人から拡大したものの予想は下回った。週次失業保険申請件数は順調に減少し、パンデミック後で、最小となった。ワクチンの接種が全国的に進み経済活動の再開が支援。コンファレンスボードが発表した3月消費者信頼感指数においても消費者が労働市場に一段と自信を強めたことも明らかになっており、良好な結果を示唆している。

◇市場予想:失業率:5.8%(3月6.0%)非農業部門雇用者数:前月比+99.5万人(+91.6万人)民間部門雇用者数:前月比+92.5万人(+78万人)平均時給:予想:前月比+0.0%、前年比-0.4%(-0.1%、+4.2%)

 

イエレン米財務長官の金利上昇予想に一時市場は動揺

イエレン長官は3日収録の米政治経済誌『アトランティック』とのインタビューで、『政府が支出を拡大し経済がそれに応じる形で成長を加速させる中で金利は上昇する可能性が高く、米経済が過熱しないようにするには金利はやや上昇せざるを得ないかもしれない』と発言しナスダック指数が急落するなど金融資本市場に動揺が広がった。もっとも、米金融当局の独立性という観点から米政府要人が金利見通しに言及するのは稀であるが、イエレン長官は米FRB前議長であり、FRBへの介入意図など微塵もなく経済学の常識を述べたに過ぎない。イエレン長官は大統領と意見が一致しており、『我々はインフレリスクを極めて真剣に捉えている』と説明しつつ、『巨額の財政支出は米経済が高い競争力と生産力を維持する上で必要な投資であり、特にインフラ投資は需要効果があり、何より重要なのは大きな供給効果をもたらすこと』と語った。

 

欧米市場イベント

○15:00   3月独製造業新規受注(予想:前月比1.5%/前年同月比25.6%)
○17:00   ノルウェー中銀、政策金利発表(予想:0.00%で据え置き)
○17:30   4月英サービス部門購買担当者景気指数(PMI)改定値(予想:60.1)
○18:00   3月ユーロ圏小売売上高(予想:前月比1.6%/前年比9.4%)
○19:30   デギンドス欧州中央銀行(ECB)副総裁、講演
○20:00   トルコ中銀、政策金利発表(予想:19.00%に据え置き)
○20:00   英中銀金融政策委員会(MPC)2日目、終了後政策金利発表(予想:0.10%で据え置き、資産買取プログラムは8950億ポンドで据え置き)
○20:00   MPC議事要旨
○20:15   ラガルドECB総裁、講演
○20:30   4月米企業の人員削減数(チャレンジャー・グレイ・アンド・クリスマス社調べ)
○21:30   1-3月期米非農業部門労働生産性・速報値(予想:前期比4.3%)
○21:30   1-3月期米単位労働コスト・速報値(予想:前期比▲0.8%)
○21:30   前週分の米新規失業保険申請件数/失業保険継続受給者数(予想:54.0万件/362.0万人)
○22:00   ウィリアムズ米ニューヨーク連銀総裁、討議に参加
○22:15   シュナーベル欧州中央銀行(ECB)専務理事、講演
○23:00   カプラン米ダラス連銀総裁、講演
○7日02:00   メスター米クリーブランド連銀総裁、講演
○英スコットランド議会選

 

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