FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:大型連休を控えて利益確定売りが優勢

前日米国株は反発したものの、日本市場は大型連休をの谷間だった上、月末と週末が重なり、積極的には買い難い地合いとなった。企業決算などを材料視した個別物色が中心の展開となった。朝方の下落から一時2万9000円台を回復する場面もあったが、その後はじりじりと値を下げた。連休期間中の新型コロナウイルス感染拡大への警戒感が重石になった。結局、前営業日比241円安の2万8812円と反落して終了した。4月第3週の海外投資家は172億円の売り越しとなり、売り越しは2週連続となった。

 

東京外国為替市場:月末絡み実需筋の円買いがやや優勢

ドル/円は、本邦輸入勢などのドル買い・円売りが先行し109.06円付近までじり高となった。しかし、仲値にかけて月末に絡む本邦輸出勢のドル売り・円買いが通常より多く持ち込まれると、108.90円付近は押し戻された。その後は、日経平均株価の下げ幅拡大や中国株安がリスク回避の円買いを誘い、108.70円近くへ下落した。午後は、日経平均株価や米長期金利を睨みながら、108.80円台を中心とした狭いレンジで取引された。本邦実需筋の売り買いが午前で一巡したこともあり、商いは薄かった。ユーロ/ドルは、1.21ドル台前半で小動きに終始した。欧州勢待ちの様相となっている。

 

欧州市場では1-3月期ユーロ圏域内総生産速報値が公表

10-12月期実績は、前年比-4.9%だった。1-3月については、製造業の活動は大幅に制限されなかったものの、新型コロナウイルスの感染再拡大に伴う活動制限が続いたことから、サービス消費はさえない状況となった。前年比ではプラス成長となる見込みだが、前期比では10-12月期に続いてマイナス成長となる可能性が高い。

 

英国のEU完全離脱から4ヵ月:貿易激減の多難な船出

今年1月の英国のEU向け輸出は、煩雑な通関手続きが生じたことなどを背景に、前月比40%超の大幅減した。EUからの輸入も約30%落ち込んだ。2月にはある程度持ち直したものの、貿易額が完全離脱前を大きく下回っている状況に変わりはない。
ジョンソン政権が離脱後の最大の目標に掲げる米国とのFTAも、短期間での交渉妥結という当初の目算は外れた。米大統領が離脱の『後ろ盾』だったトランプ氏から、離脱に懐疑的なバイデン氏に交代したためだ。一方、もめにもめた北アイルランド問題は、英EUが苦労してまとめた解決策に地元から『待った』がかかった。実施には遅れが生じている。

 

トルコ中銀はインフレ見通しを引き上げ

トルコ中銀の四半期インフレレポート発表では、2021年末インフレ見通しを前回予測9.4%から12.2%、22年は前回7%から7.5%に引き上げた。 レポート公表の会見でカブジュオール中銀総裁は、『インフレは4月がピークと予測』と述べ、金融政策についてはデータに基づいて決定するとした。インフレ見通しを引き上げたにもかかわらず、必要に応じて金利を引き上げるという公約を避けたことなどがリラの重石となった。
なお、昨日トルコ中銀が発表した週間統計データでは、22日時点の外貨準備高(グロス、金保有は除く)は479.5億ドルと前週から3.5%減少したことが明らかになった。外貨準備高枯渇への警戒感が再び高まっている。

 

南ア政府と公務員の労働争議:ストライキになるか注目

懸念されている南ア政府と公務員の労働争議は、いまだに結論が出ないままである。話し合いは30日の夜にも行われることになっているが、両者(政府と公務員組合)の主張には隔たりがあることで、なかなか合意には達しないのではないかと思われる。リスク要因になるが、本格的なストライキになるまではランド/円相場には影響は限られるかもしれない。

 

メキシコでは30年間では最悪の干ばつ

メキシコ国内の約85%が干ばつに見舞われ、湖や貯水池が枯渇しつつある危機的な状況にある地域もあり、首都メキシコシティでは30年間で最悪の状況にある。首都メキシコシティには約900万人の市民が暮らしているが、水を供給する主要な貯水池は半分以上がなくなり、国で2番目に大きい湖の75%が乾燥しているとのことである。また、メキシコシティ市民が水の4分の1を依存しているヴィラビクトリア貯水池とその他2つの貯水池も、例年に比べ残りの水が少なく、専門家は危機的事態と警告している。

 

メキシコでは半導体チップ不足が打撃になり貿易収支が悪化

メキシコの国立統計地理情報院が発表した最近の貿易収支では、黒字予想に反してまさかの大幅赤字となった。赤字幅としては、昨年5月以来の大きさだった。要因として、半導体チップの世界的な不足が自動車産業に多大な打撃を与えているとした。半導体チップは、自動車の製造工程において不可欠なものとなっており、特に自動車の自動化や電動化が進む中で、ますます重要になってきている。それにもかかわらず、このチップ不足問題はすぐに解決できる問題ではないとの専門家の意見は多く、国内総生産の30%を自動車などの製造業に依存するメキシコにとっては懸念材料になる。

 

米FOMCでは経済の判断を引き上げ:政策金利は据え置き

米連邦準備制度理事会(FRB)が27日から28日までに開催した米連邦公開市場委員会(FOMC)で、市場の予想通り政策金利(フェデラルファンドFF金利の誘導目標)を0.00-0.25%で据え置き、月1200億ドルの資産購入規模を維持することを決定した。さらなる著しい進展が見られるまで、国債購入ペースを維持する方針を再表明した。経済、雇用やインフレに関して判断を若干引き上げたが、インフレの上昇は一時的との見方を崩さなかった。パウエル議長は回復が依然まちまちで、完了するには程遠く、最大雇用の達成も『程遠い』と慎重な姿勢を維持した。また、3月の100万近くの雇用の伸びは持続的ではなく、依然多くの国民が失業中であると大規模緩和を当面維持する必要性を強調した。ただ、インフレ期待が持続的に2%を上回った場合は、対応をとるとした。 特に緩和縮小を示唆しなかったが市場では8月のジャクソンホールでの年次会合で、FRBが緩和縮小開始を示唆するとの思惑も払しょくしていない。

 

米第1四半期GDPは消費が押し上げ

米商務省が発表した1-3月期国内総生産(GDP)速報値は前期比年率+6.4%となった。3四半期連続のプラス成長で、伸びは10-12月期の+4.3%から一段と拡大。過去最大の伸びを記録した昨年7-9月期の+33.4%を除くと、2003年7-9月期以降で最大の伸びとなる。消費が大きく寄与。パンデミック対応の追加経済対策の一環の国民への1400ドルの直接現金支給などが奏功し、同期個人消費速報値は前期比年率+10.7%となった。伸びは10-12月期+2.3%から予想以上に拡大し、過去最大の伸びを記録した7-9月期以降で最大となった。居住住宅、非居住投資、政府の支出など広範な項目の回復も手伝った。物への支出は+23.6%。サービス投資は+4.6%と伸びは冴えなかったが、家電製品などの耐久財支出は+41.4%と大幅な伸びを見せた。2021年の経済活動は、ワクチンの広範な普及に加えて、政府や中央銀行の大規模な財政・金融支援が回復を支援。消費や企業の設備投資の力強い回復で、米連邦準備制度理事会(FRB)の見通し通り、2021年の強い成長が期待されている。

 

欧米市場イベント

○14:30   1-3月期仏国内総生産(GDP)速報値(予想:前期比0.1%)
○15:00   4月英ネーションワイド住宅価格指数(予想:前月比0.5%)
○15:00   3月南アフリカマネーサプライM3(予想:前年比7.00%)
○15:30   3月スイス小売売上高
○15:45   3月仏消費支出(予想:前月比0.4%)
○15:45   4月仏消費者物価指数(CPI)速報値(予想:前月比0.2%/前年比1.3%)
○15:45   3月仏卸売物価指数(PPI)
○16:00   4月スイスKOF景気先行指数(予想:119.5)
○16:00   3月トルコ貿易収支(予想:47億ドルの赤字)
○17:00   1-3月期独GDP速報値(季節調整済、予想:前期比▲1.5%/前年同期比▲3.2%)
○17:00   1-3月期独GDP速報値(季節調整前、予想:前年同期比▲3.6%)
○17:00   4月ノルウェー失業率(予想:4.1%)
○18:00   1-3月期ユーロ圏域内総生産(GDP)速報値(予想:前期比▲0.8%/前年比▲2.0%)
○18:00   4月ユーロ圏消費者物価指数(HICP)速報値(予想:前年比1.6%)
○18:00   4月ユーロ圏HICPコア速報値(予想:前年比0.8%)
○18:00   3月ユーロ圏失業率(予想:8.3%)
○19:00   外国為替平衡操作の実施状況(介入実績)
○20:00   1-3月期メキシコGDP速報値(予想:前期比0.1%/前年比▲3.9%)
○21:00   3月南アフリカ貿易収支(予想:236億ランドの黒字)
○21:30   2月カナダ国内総生産(GDP、予想:前月比0.5%/前年比▲2.3%)
○21:30   3月カナダ鉱工業製品価格(予想:前月比1.6%)
○21:30   3月カナダ原料価格指数(予想:前月比2.0%)
○21:30   1-3月期米雇用コスト指数(予想:前期比0.7%)
○21:30   3月米個人消費支出(PCE、予想:前月比4.2%)
       3月米個人所得(予想:前月比20.0%)
       3月米PCEデフレーター(予想:前年比2.3%)
       3月米PCEコアデフレーター(予想:前月比0.3%/前年比1.8%)
○22:45   4月米シカゴ購買部協会景気指数(予想:65.3)
○22:45   カプラン米ダラス連銀総裁、講演
○23:00   4月米消費者態度指数(ミシガン大調べ、確報値、予想:87.4)

カテゴリー: 欧州タイム市場コメント

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