FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:海外勢のポジション調整の売り優勢

前日の米国株安に加え、対ドルでの円高基調や、国内での新型コロナウイルス感染拡大への警戒感も重石となって、下げ幅を拡大した。主力企業の決算を来週に控え、弱気な業績見通しやコメントを発表する可能性が出てきたことも相場の重石となった。市場では、国内の新型コロナウイルスの感染拡大を警戒し、海外勢がポジション調整の売りを出しているとの指摘もあった。下げ幅は一時600円を超えた。結局、前営業日比584円安の2万9100円と4営業日ぶりに反落して終了した。

 

東京外国為替市場:108円台前半でもみ合う展開

ドル/円は、日経平均株価の大幅安がリスク回避の円買いを誘い、約1ヵ月ぶりに108円を割り込んで107.97円付近まで下落した。しかし、下値では本邦輸入勢などがドル買い・円売りに動き、108.30円付近まで持ち直した。米長期金利が上昇したこともドルの買い戻しにつながった。ただ、オセアニア通貨に対してドル売りが強まると、108.20円付近まで下落した。午後は、日経平均株価や米長期金利を睨みながら、108.20円前後でもみ合いとなった。ユーロ/ドルは、欧州で新型コロナウイルスワクチン接種が加速するとの思惑からユーロ買い・ドル売りが進み1.20ドル台半ばから一時1.2070ドル付近まで上昇した。

 

中国向け輸出が過去最高:貿易相手として依存を深める構図

財務省が19日発表した貿易統計で2020年度と3月単月の中国向け輸出額は過去最高を記録し、日本が主要な貿易相手として中国への依存を深めている構図が鮮明となった。米中関係悪化による日本への影響を懸念する声も高まっている。20年度の中国向け輸出は前年度比9.6%増の15兆8997億円、3月単月でも前年同月比37.2%増の1兆6344億円となり、いずれも過去最高を更新した。日本からの輸出は半導体の製造装置といった一般機械や電気機器の組み立て部品が中心である。中国からは通信機や半導体部品の輸入が多かった。日本から米国への輸出は16.5%減の12兆4416億円。

 

欧州経済は夏に向けて回復に楽観的な見方

独連銀は4月月報の中で、新型コロナウイルス感染が収束せず、ロックダウンが長期化したほか、VAT(付加価値税)の引き上げなどが影響しドイツ経済が1-3月期に縮小するとの見通しを明らかにした。加えて、アストラゼネカ製ワクチンを巡る混乱で、ワクチン普及も遅れている。ただ、ゴールドマンサックスは夏にかけ欧州でもワクチン接種ペースが加速し、新型コロナウイルスによる入院者数が減少し、回復が強まると見ており、ECBが債券購入を増やす可能性は低いと見ている。ECBは景気見通しを緩やかに引き上げる軌道にあるため、ドイツ連邦債30年物売却やユーロの買い持ちを推奨した。

 

CSのアルケゴス問題は奥深い可能性もあり業績が懸念される

スイスの金融大手クレディ・スイス・グループが19日、プライムブローカー部門の幹部2人が退職すると発表した。米ファミリー・オフィスのアルケゴス・キャピタル・マネジメントの破綻で47億ドルの損失が生じ、幹部刷新が続いている。JPモルガンは19日付の欧州クレジット・リポートで『アルケゴス関連で47億ドルの損失を発表したが、潜在的なコストについての憶測が続き、その後に報告されたブロック・トレードで21年4~6月期(2Q)の業績にさらに打撃を与え、最終的には銀行のスリムな余剰資本の維持能力が懸念されている』と指摘した。リポートでは、『これ以上の損失がどれだけ大きいのか推測することはできないが、22日の決算は今後の四半期で損失がどのように出るのかを理解する上で重要と考える』と指摘した。

 

トルコ中銀独理性への不信感と23年の総選挙に向けての駆引き

『トルコ中銀のタカ派スタンス後退』と受け取られた先週の金融政策決定会合後、エルドアン大統領の側近は市場の『早期利下げへの警戒感』を和らげようと躍起になっている。ただし、3月会合後に総裁を含めた3人の金融政策委員会(MPC)が大統領によって入れ替えられ、中銀独立性への不信感が高まる中では側近行動の効果は限られている。 なお、エルバン財務相は昨日、野党から糾弾されているアルバイラク前財務相時代の巨額な為替介入について、データを公けにすることを示唆した。エルドアン大統領の娘婿であるアルバイラク氏を不利にするような資料が出てくるとは思えないが、内容次第では野党の勢いが増す可能性もある。2023年の総選挙に向けて与野党の駆け引きは続く。

 

南ア中銀総裁は禁輸政策の難しさについて発言

南ア準備銀行(SARB)はインフレリスクについて発言したが、週末にはこの発言に対してクガニャゴSARB総裁を批判する声が高まった。一部では『南ア国内が未曽有の危機にあり、デフレリスクがある中でインフレについて話すとは』というものである。また『SARBは保守的すぎる』『利下げは早すぎた』との批判も出た。これに対してSARB総裁は『以前は右側だけに攻撃されたが、今度は左側からも攻撃される』と金融政策のかじ取りの難しさについて発言をし、批判には耳を貸さない姿勢を貫いた。

 

米国債相場も落ち着きを取り戻しつつ

今月末に開催される連邦公開市場委員会(FOMC)を控え、ブラックアウト期間に入るため、連邦準備制度理事会(FRB)高官の講演やイベントがなく、材料に欠ける。
一時警戒されていたインフレが急速に大幅上昇する兆候なく、さらに、パウエル議長やクラリダ副議長などFRBの高官が、経済がFRBの目標達成に程遠く、当面大規模緩和を維持する方針を示したため米国債相場も落ち着きを取り戻しつつある。

 

欧米イベント

○15:00   3月英雇用統計(失業率/失業保険申請件数推移)
○15:00   12-2月英失業率(ILO方式、予想:5.0%)
○15:00   3月独生産者物価指数(PPI、予想:前月比0.6%)
○21:50   デコス・スペイン中銀総裁、講演
○21日01:00   3月ロシア失業率(予想:5.6%)

カテゴリー: 欧州タイム市場コメント

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