FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:全般様子見ムード強く小幅な値動き

米国株式市場が堅調推移、米10年債金利が低下したことで地合いが好転したことで、寄り付くは高く始まったものの、変異種によって新型コロナウイルスの国内感染者が拡大していることが、上値を抑える要因となった。経済正常化が遅れるとの懸念から、その影響を受けやすいバリュー株が上値を重くした。下落に転じる場面もあり、前日終値を挟んだ展開になった。また、日本時間17日未明に日米首脳会談を控えており様子見ムードも強かった。結局、前営業日比40円高の2万9683円と小幅続伸して終了した。

 

東京外国為替市場:様子見ムード広がり108円台後半でもみ合い

ドル/円は、米長期金利が1.57%前後で推移していることを嫌気したドル売り・円買いが先行し、108.61円付近まで下落した。しかし、この水準が海外市場の安値であるこが意識されるとドル売りも一服、さらに仲値にかけて国内輸入企業などのドル買い・円売りが通常より多く持ち込まれたことに加え、ドルの巻き戻しもあり108.90円台へと値を戻した。その後は、まちまちな日経平均株価やアジア主要株価を睨みながら、108.90円付近でもみ合い相場となった。午後は、日米首脳会談の動向を見極めようとの向きから、様子見ムードが広がり108円台後半で小動きとなった。まん延防止等重点措置が拡大されるなど、国内情勢にも先行き不透明感が漂っていることも、参加者の意欲を低下させた。ユーロ/ドルは、米長期金利が1.58%付近で停滞していることで、欧米金利差縮小を意識したドル売り・ユーロ買いが継続され、1.1970ドル台へと上値を伸ばした。

 

本邦生命保険会社は米国債投資を増やす可能性が高い

国内の主要な生命保険会社は2021年度の資産運用計画で、為替差損の回避措置(ヘッジ)を講じた米国債への投資を増やす可能性が高い。今年に入ってからの米長期金利の大幅な上昇に伴い、ヘッジ後の利回りが15年以来の高水準となっている。米10年物国債利回りから為替ヘッジコストを差し引いた利回りは年初に0.5%未満だったが、3月末には約1.4%と15年末以来の高水準を付け、その後も高止まりしている。これは生保が主な買い手となる日本の30年物国債利回りの約2倍に当たる。一方、米短期金利は米連邦準備制度理事会(FRB)による金融緩和の長期化で過去最低圏にとどまり、日米の短期金利差とドルと円の需給格差で決まる為替ヘッジコストは0.3%台と15年1月以来の低水準で推移している。

 

トルコ中銀の金融政策はタカ派スタンスが後退

トルコ中銀は、市場予想通りに主要政策金利である1週間レポレートを19.00%で据え置いた。ただし、声明では『必要に応じて、追加の金融引き締めを行う』という文言を削除した。また、引き締めスタンス維持としながらも、前回まで付けられた『長期的に断固として』との強い表現は取り除かれた。前回までのタカ派スタンスが明らかに後退した。トルコでは、インフレ加速、経常赤字の拡大、中銀独立性への不信感、外貨準備高の減少、新型コロナウイルス感染の急増、観光セクターの回復見通しは立たず、失業率増加も歯止めがかからず、また欧州連合(EU)との関係悪化懸念など、リラを売りに繋がる材料は多く見受けられる。

 

メキシコのべメックス製油所火災:損傷の修復に最大3ヵ月

国営石油会社ペメックスが所有するベラクルス州の製油所で7日、大規模な火災が発生した。7人の負傷者を出したものの死者は出さずにその後鎮火したが、火災の影響は決して小さなものではなかった。ペメックスが13日に発表したところによると、ベラクルス州の製油所は現在使用できない状況である。操業は早ければ数日以内、生産は4月30日から再開される可能性があるが、火災による損傷の修復には最大で90日かかるとしている。同製油所はペメックスが運営する6つの製油所のうちの1つで、1日あたり生産能力は最大28.5万バレル。昨年の1日あたりの生産量が160万バレルほどのペメックスにとっては痛手となる。

 

6兆ドルに膨れ上がる巨大ブラックボックス:金融基金のリスクにも

ヘッジファンドなら米SEC(証券取引委員会)に登録義務があり、保有資産、取引銀行との関係などを開示する必要があるが、ファミリーオフィスには報告義務がない。米国が金融規制改革法『ドッド・フランク法』に金融機関の自己勘定取引への規制『ボルカー・ルール』を盛り込む等、世界の金融当局が金融危機の再来を防ぐべく規制を強化した。その一方で個人の取引が金融システムを揺るがす可能性は低いと規制の抜け穴として膨張してきたのが『ファミリーオフィス』という『影の銀行』である。ファミリーオフィスは、欧米を中心に1万社以上存在するとされ、運用規模は6兆ドル(約660兆円)に上り、既に資産規模は世界で約6兆ドル(約660兆円)とヘッジファンドの約3.6兆ドル(約396兆円)やベンチャーキャピタルの約1.36兆ドル(約50兆円)を遥かに凌ぐ巨大ブラックボックスと化している。ヘッジファンドを凌駕する巨大『影の銀行』ファミリーオフィスの膨張とその膨れ上がる高リスク資産への過剰流動性の横溢は、コロナ危機に伴い世界の中央銀行が実施する未曾有の大規模QE(量的緩和)を背景としていることは言うまでもない。『高圧経済』に向かう米経済にあって米長期金利が一段跳ね上がれば第2、第3のアルケゴスが局地金融危機となって資産バブル調整の『蟻の一穴』となりかねない。

 

米国小売の高水準持続は不可能:今後は緩やか伸びに転じる可能性強い

米商務省が発表した3月小売売上高は前月比+9.8%と、2月-2.7%からプラスに改善した。伸びは予想の2倍近くとなり、過去最大の伸びを記録した昨年5月来で最大となった。パンデミックで激しく落ち込んだ昨年3月に比べ+27.7%。ワクチンの普及が奏功し、経済活動の再開に伴いバーやレストランでの売り上げは前月比+13.4%。スポーツ用品:+23.5%、衣服・アクセサリー:+18.3%、自動車・自動車販売:+15.1%だった。変動の激しい自動車を除いた小売も前月比+8.4%と、2月-2.5%からプラスに改善し、予想を上回った。 経済活動の再開が進んだことに加えて、期待されていたとおり、政府の国民への直接資金供給や中小企業支援を含めた経済対策が大きく貢献した。支給された現金の用途では、41.6%が貯蓄、24.7%が消費。2020年春の第1弾経済支援策では、34.5%が貯蓄、29.2%が消費に充てられた。一度きりの直接資金供給が奏功した10%近くの小売りの伸びを今後も、持続的に維持することは困難である。引き続きワクチン普及で経済活動の再開が進み、経済がパンデミック前の状況に回復する軌道にあるものの、今後の小売りは、緩やかな伸びに転じる可能性が強い。

 

欧米市場イベント

○15:30   3月スイス生産者輸入価格
○18:00   カンリフ英中銀(BOE)副総裁、講演
○18:00   2月ユーロ圏貿易収支(予想:季節調整前なし/季節調整済220億ユーロの黒字)
○18:00   3月ユーロ圏消費者物価指数(HICP)改定値(予想:前年比1.3%)
○18:00   3月ユーロ圏HICPコア改定値(予想:前年比0.9%)
○21:15   3月カナダ住宅着工件数(予想:25.00万件)
○21:30   2月対カナダ証券投資
○21:30   2月カナダ卸売売上高(予想:前月比▲0.4%)
○21:30   3月米住宅着工件数(予想:161.1万件、前月比13.4%)
         建設許可件数(予想:175.0万件、前月比1.7%)
○23:00   4月米消費者態度指数(ミシガン大調べ、速報値、予想:89.6)
○23:45   カプラン米ダラス連銀総裁、講演
○日米首脳会談(ワシントン)

カテゴリー: 欧州タイム市場コメント

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