FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:先物に継続的に買い

前週末の米国株式市場は休場だったものの、公表された米雇用統計が予想を上回る結果となったことを好感して、全体的に買い優勢で始まった。また、短縮時間で取引された米長期金利の利回りは上昇したものの、直近の高水準に届かなったことで値がさ株に安心感が広がった。先物に継続的な買いが入り約2週間ぶりに3万円台を付け一時上げ幅を300円超に広げた。結局、前営業日比235円高の3万0089円と3日続伸して取引が終了した。

 

東京外国為替市場:利益確定や持ち高調整からドルの上値が重い

ドル/円は、本邦輸出勢などがドル売り・円買いに動き110.55円付近へ下落した。このところ上昇ピッチが急だったことから、利益確定や持ち高調整のドル売り・円買いが入りやすい面もあった。午後は、日経平均株価や米長期金利を睨みながら、110.60円台を中心とした狭いレンジでもみ合いとなった。今晩発表される3月米ISM非製造業景況感指数や米国株価動向を見極めたいとの雰囲気から、積極的な売買は手控えられた。ユーロ/ドルは、先週末の3月米雇用統計の強い数字で、欧米景況感格差を意識したユーロ売り・ドル買いが入り、1.17ドル台後半から1.17ドル台半ばへ水準を切り下げた。

 

短観想定レートが実勢よりドル高の場合は高確率で株高形成

今年3月短観で大企業・製造業の想定ドル/円レートは、2021年度通期が105.38円となっていた。あくまで現状段階ながら、早くも+5円の為替差益となっている。こうした四半期ベースでの『翌期・実勢ドル/円のドル安値-短観想定ドル/円』という比較では、2017年1-3月に+5.2円幅の実勢ドル優位があった(為替差益)。当時の日銀短観では大企業・製造業の業況判断が同年3月の+12から、同年12月には+25へと改善となっている。連動する形で日経平均株価は上昇した。月間高値ベースでは同年3月の1万9668円から11月の2万3382円にかけて、+3714円幅の年末高が形成されている。その前では2013年1-3月に、+7.6円幅の実勢ドル優位があった。2013年の場合、日経平均株価は月間高値で3月の1万2650円から12月は1万6320円へと+3669円の年末高が形成されている。こうした例を含めて、短観想定レート比で翌期以降の実勢がドル高に振れる場面では、高確率で業況判断の改善と日経平均の上昇トレンドが連動形成されている。

 

トルコ市場では3月消費者物価指数(CPI)が公表

3月CPIは前年比16%超えまでの上昇が見込まれており、予想通りであれば2019年7月以来の水準となる。米系投資銀行のアナリストからは、通貨安などが押し上げ要因となり、4月のトルコインフレは18%台まで上昇するとの予測も出ている。インフレが悪化し続けるなかでは、トルコ国内のドル化の流れを止めるのも難しくなる。カブジュオール・新トルコ中銀総裁は先週、現在のインフレ見通しでは金融引き締めスタンスを維持しなければならないとの考えを示した。同中銀総裁は時期尚早な利下げはしないとも述べており、その言葉を信じるのであれば、市場が懸念していた非正統的な金融政策(物価を下げるために利下げ)はひとまず避けられる。もっとも、高金利を否定するエルドアン大統領に指名された新総裁が、いずれは緩和に踏み切るとの見方は根強いままである。

 

南アではロックダウ再開ならばランドの重石

先週発表されたABSA製造業PMIで、雇用のみ景況感の節目となる50を下回ったが、輸出だけでなく国内需要も50を上回ったことがランド円を支える要因として挙げられる。また、2020-21年会計年度の税収が1.25兆ランドと、財政赤字に苦しむ南アにとっては非常にポジティブなニュースになったことも支えになる。一方、南アでもウイルス感染第3波が近づいていることには警戒したい。イースター休暇は現行のロックダウン水準(レベル1)が保たれたが、市場では水準の引き上げを予想する声が出ている。イースター中にアルコールはレストランやバーでの提供が許可されたものの、小売店での販売が禁止されたことなどが、ラマポーザ政権が再ロックダウンを考えている証拠ではないかとの見方もある。ロックダウン再開になれば、ここ最近のランド/円の買い基調の重石になる。

 

メキシコの8日CPI結果に注目集まる:金融緩和の行方

メキシコ国内での注目は8日発表の3月メキシコ消費者物価指数(CPI)である。市場予想は前年比で4.67%上昇となっており、メキシコ銀行(中央銀行)のインフレ目標(3.0%の±1.0%)上限を5カ月ぶりに上抜けることが確実視されている。3月前半のインフレ率が4.12%とすでにインフレ目標の上限を上抜けたが、8日のCPI次第ではさらにインフレに対する注目が集まることになる。中銀当局者もインフレ圧力の高まりには懸念を示しており、金融緩和再開への道が一段と遠のくことになれば、高金利通貨としての一面もあるペソにとってはプラス材料になる。

 

米国の雇用回復基調だが依然としてコロナ以前の水準に戻らず

米3月雇用統計では、米3月の雇用統計は、新型コロナウイルスのワクチン接種が進み、バイデン米政権の追加経済対策や事業への規制が緩和されたことを受けた労働市場の復調の兆候を示す好結果となった。非農業部門雇用者数が前月比+91.6万人、2月も46.8万人増(37.9万人増から上方修正)となり、3ヵ月連続で増加した。2020年3月(▲168.3万人)と4月(▲2067.9万人)での新型コロナウイルス感染による過去最大規模の雇用喪失▲2236.2万人から、2020年5月以降で1456.3万人の雇用回復となったが、失業者数は971.0万人であり、コロナ以前の水準まで依然として779.9万人が必要となる。

 

米国市場では3月ISM非製造業景況指数が公表

2月実績は55.3だった。3月については、新型コロナウイルスの感染予防のためのワクチン接種拡大、3月CB消費者物価信頼感指数の大幅な改善、サービス関連産業の盈虚鵜活動拡大などを背景に、非製造業景況指数は2月実績を上回る見込みである。

 

欧米市場イベント

○16:00   3月トルコ消費者物価指数(CPI、予想:前月比1.04%/前年比16.11%)
○22:45   3月米サービス部門PMI改定値(予想:60.2)
○22:45   3月米総合PMI改定値
○23:00   3月米サプライマネジメント協会(ISM)非製造業指数(予想:58.5)
○23:00   2月米製造業新規受注(予想:前月比▲0.5%)
○ニュージーランド、オーストラリア、ドイツ、スイス、フランス、英国、スウェーデン、ノルウェー、ポーランド(以上、イースターマンデー)、中国(清明節)、香港(清明節の振り替え)、南アフリカ(ファミリーデー)、休場

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