FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:配当権利取りの買いと金融株への警戒感からの売り交錯

前週末の米国株式市場が上昇したことを受け、好地合いを引き継いだ。日経平均は18日の戻り高値3万0485.00円から24日安値2万8379.06円まで押した幅の半値戻し(2万9432.03円)を一時達成したが、引けまで維持することは出来なかった。実質年度末最終売買日とあって、配当権利取り狙いの買いが上昇要因になっているとの指摘もあった。一方、米投資会社のアルケゴス・キャピタルを巡る混乱が日米の金融株に広がるとの警戒感がにわかに広がり、午後に急速に上げ幅を縮小した。結局、前営業日比207円高の2万9384円で終了した。

 

東京外国為替市場:月末・期末に絡むドル売り優勢

ドル/円は、本邦輸出勢などから月末・期末に絡むドル売り・円買いが継続的に持ち込まれ、109.50円付近へ下落した。このところ一本調子の上昇が続いたため、利益確定や持ち高調整のドル売り・円買いは入りやすい面もあった。午後に入っても軟調地合いは続き、日経平均株価が急速に伸び悩むと、さらにドル売り・円買いが進んで109.38円付近まで値を下げた。米長期金利が1.64%台へ低下したことも、ドルの押し下げにつながった。ただ、バイデン米政権が検討しているインフラ投資計画の詳細を見極めたいとの雰囲気もあり下げが一服した。その後は、値ごろ感からドル買い戻す動きも見られ、109.45円を挟んでもみ合いとなった。ユーロ/ドルは、海外メディアが『一部のスイス系銀行が米ヘッジファンドとのデフォルトを伴うポジションを解消し、損失が生じる可能性がある』と報じたことから、1.17ドル台後半で上値の重い展開になった。

 

日銀のマイナス金利政策を撤廃が7割

QUICKが公表した3月の債券月次調査では、日銀がマイナス金利政策を今後『撤廃する』との予想が全体の67%だった。『深掘りする』との予想をの33%を上回った。撤廃の時期は『2024年以降』との回答が60%と最も多かった。調査は日銀による3月の金融政策会合後の23~25日に実施した。米国の入り上げ時期については『23年以降』との予想が61%と最も多かった。今後6ヵ月の国内債券相場の変動要因としては『海外金利』を挙げた回答が50%で最も多かった。前回調査からは10ポイントの上昇で、50%を超えるのは12年8月調査以来となる。米金利の動きへの関心は一段と高まった。

 

野村ホールディングスで多額の損害を生じる可能性

野村ホールディングスは29日に『26日、当社の米国子会社において、米国顧客との取引に起因して多額の損害を生じる可能性のある事象が発生』したとのリリースを発表した。『当該顧客に対する請求額は3月26日時点の市場価格に基づく試算で約20億ドルあり、本取引に関連するポジションの処理や市場価格の変動等により、当該金額は今後増減する可能性』があると報じている。報道によると、26日には米ゴールドマン・サックスなどが中国のIT(情報技術)や米メディア企業の株式について、相対で大量売却する『ブロック取引』を行っていたという。一部企業の時価総額が急減する場合があり、こうした混乱に関連し、野村でも損失が発生する可能性が浮上したようだと伝えている。

 

英国と欧州連合(EU)との緊張感の高まりがポンドの上値圧迫

EUは英国がグレートブリテン島と北アイルランドの間での通関手続きを一方的に緩和し、EU離脱協定に違反したとして、法的措置に乗り出している。北アイルランド問題が解決しないと、英国とEUの関係がむしばまれ、亀裂が一段と深刻になり、英国とEU全体の経済と安全保障上の利益が脅かされる可能性がある。 また、英国とEUは金融サービス規制を巡る協力に関して1月から協議し、今月内にも合意に達する可能性が報じられているが、欧州委員会のマクギネス委員は英国の金融機関に対してどういうアクセスを認めるかについて結論は急がないと表明した。

 

メキシコ中銀はインフレ動向を注視:中銀目標を上回ってきたことを警戒

25日に行われたメキシコ中銀の金融政策決定会合、声明文を前回2月との比較した。まず、声明の最終段落である金融政策の方向性については、『中銀の目標インフレレンジ(±3.00%)に持続的に収束するよう、情報に基づいて措置を講じる。金融政策と財政政策両面で必要な行動を取る必要がある』と前回から一言一句変わらなかった。次に、為替水準と金利、経済状況については、前回が『ペソと金利は狭い範囲で推移した。経済活動は予想を若干上回るペースで改善している』となっていたが、今回は『ペソは下落し、中長期金利が上昇した。1-2月は経済活動が大きく低下』に変更している。また、インフレについては、前回の『四半期レポートに沿った動き』から『四半期レポートを若干上回っている』に変更している。 さらに、現状の金融政策における課題については、インフレ、経済活動、金融市場のリスクと項目自体は変わっていないが、今回は『非常に不確実な環境で』との文言を追加した。以上を見てみると、直近3月前半のインフレ指数が+4.12%と中銀目標の±3.00%を上回ってきたことを大きく警戒する形となっており、今後のインフレ動向には一段と注目する材料になる。

 

今週のドル/円の売買要因

ドル買い要因は、海外投資家の日本株売り・円売り、バイデン米政権の第2弾経済対策への期待感、改善が見込まれている米3月雇用統計となる。ドル売り要因は、3月期末決算に向けた本邦機関投資家のレパトリエーション(国外滞留資金の本国環流)、補完的レバレッジ比率(SLR)条件緩和の終了、極東の地政学リスク回避の円買いとなる。 バイデン大統領は、31日に第1弾の新型コロナウイルス救済法案(1.9兆ドル)に続く第2弾の『ビルド・バック・ベター(より良き再建)』計画(3-4兆ドル規模)を発表する予定である。米国の経済回復への期待感が高まっており、3月消費者信頼感指数に要注目となる。米3月雇用統計は、失業率が6.1%で2月の6.2%から低下、非農業部門雇用者数は前月比50万人の増加で2月の37.9万人の増加から改善が見込まれている。予想通りならば、ニューヨーク株式市場や米10年債利回りの上昇観測が強まり、米連邦準備理事会(FRB)のテーパリング(資産購入の段階的縮小)への警戒感が高まることで、ドル買い要因となる。3月末で条件緩和措置が終了するSLRに関しては、米金融機関の収益悪化や2000億ドル規模の米国債売却への警戒感が高まっており、トリプル安の可能性が警戒される。バイデン政権と中国との対立が激化しつつあること、北朝鮮がミサイル発射実験を再開していることは、地政学リスクの高まりからリスク回避の円買い要因となる。

 

欧米市場イベント

○17:30   2月英消費者信用残高(予想:▲15億ポンド)
○17:30   2月英マネーサプライM4
○24:00   ウォーラー米連邦準備理事会(FRB)理事、講演
○欧州・英国は28日から夏時間に移行済み
○インド(水掛け祭 )、休場

カテゴリー: 欧州タイム市場コメント

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