FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:イベント控え様子見ムード強い展開

まちまちの米国株を受けて前日終値近辺からスタートし、しばらくはプラス圏とマイナス圏を行き来した。しかし、NYダウの最高値更新で売りづらさも意識される中、下落から上昇に転じる銘柄も増加し、じわじわと上げ幅を拡大した。市場では、米追加経済対策が成立する見通しが立ち、景気敏感セクターが物色される一方、半導体関連が軟調に推移し、相場の重石となった。明日はSQ(特別清算指数)の算出を控えているほか、今晩の30年債入札の結果を見極めたいという投資家も多く、様子見ムードが続いた。との声があった。結局、前営業日比175円高の2万9211円と3営業日続伸して終了した。3月第1週の海外投資家は、3週ぶりに417億円の買い越しとなった。

 

東京外国為替市場:リスク選好の円売りがやや優勢

ドル/円は、本邦輸入勢などのドル買い・円売りや米長期金利が上昇したことに支えられ108.55円付近へじり高となった。日経平均株価の上げ幅が100円を超えたこともリスク選好の円売りを誘った。午後もこの流れは続き、内外株高を好感してドル買い・円売りが進み、108.73円付近まで上昇した。原油先物の上昇を眺めた資源国通貨高・円安が波及した面もあった。ユーロ・ドルは、今晩のECB理事会やラガルド総裁の会見を見極めたいとのムードが広がり、1.19ドル台前半で方向感に欠ける値動きとなった。

 

3月のFOMCではドットチャートに注目:タカ派で金利上昇も

スタンダートチャータードは11日付けリポートで、3月米連邦公開市場委員会(FOMC)で米FRBは声明及びドットチャートを含む経済見通しに大きな変更を漏らす可能性が高いと予想している。具体的には2023年に2回の利上げ兆候が示されると見込んでいる。また、新しい景気刺激策によるベースラインの改善と、ワクチン接種の進歩によるダウンサイドリスクの減少により、ドットチャートはこれまで以上に分散する可能性があるとも予想している。FRBが経済が要綱な方向へシフトしているタカ派寄りにシフトしていると投資家が見なすことで、更なる利回り上昇につながる可能性があるとも指摘している。

 

★欧州市場では欧州中央銀行(ECB)理事会が開催

ECBのラガルド総裁は3月1日、新型コロナウイルス感染拡大は企業業績と家計を圧迫しており、借り入れコストの上昇を防止すると述べた。政策金利は据え置きとなる見込みだが、長期金利の上昇やユーロ高は景気回復の妨げとなることから、これらを抑えるために何らかのメッセージが発出される可能性がある。

 

トルコとギリシャの二国間協議の行方に注目:エーゲ海の領海域問題

トルコとギリシャは、エーゲ海の領海域問題の解決に向けた今年2回目となる二国間協議を、来週16-17日にアテネで開催することを決定した。両国が歩み寄ることができれば欧州連合(EU)トルコ関係の改善に繋がるため、話し合いの行方が注目される。 気になるところでは、トルコで新型コロナウイルスの新規感染者数が再び増加傾向にある。昨日発表された過去24時間に感染した人数は、2カ月ぶりの水準となる1万4000人超となった。1万人超えも9日連続となっている。コロナワクチンの接種は進んでいるが、その効果はまだ見受けられない。感染抑制のための制限策が再強化ともなれば、経済活動の停滞から景気回復の遅れに繋がる。

 

南ア経済が好転するのは難しい:ランド/円の深追い注意

南アGDPが好結果だったことはある程度のランドの支えになったが、昨日のBER企業信頼感指数+35(前回+45)をみると、1-3月期も南ア経済が好転するのは難しい。また一昨日発表された経済協力開発機構 (OECD)の世界経済の見通しでは、南アに関しては2021年は3%のマイナス成長、2022年になりようやく2%のプラス成長という予想になっている。短期的には日本売りによる円安、株価上昇によるリスク選好の円安などで、ランド/円が上昇することがあるかもしれないが、深追いするような地合いではない。

 

メキシコではインフレ上昇から追加緩和に動きにくい

2月メキシコ消費者物価指数(CPI)は、前月比で0.63%の上昇(予想は0.59%上昇)、前年比で3.76%の上昇(予想は3.72%上昇)となり、いずれも市場予想を上回る結果となった。メキシコ銀行(中央銀行)のインフレ目標である2.0-4.0%の範囲内にとどまったものの、足もとでのインフレ加速によって中銀が追加緩和に動きづらくなったとの見方もあり、ペソ相場の下支えとなっている。

 

米2月CPIではインフレが急上昇している証拠にならず

米労働省が発表した2月消費者物価指数(CPI)は前月比+0.4%、前年比+1.7%とそれぞれ予想通り1月から伸びが拡大した。前月比では8月以降で最大、前年比では1年ぶりの大幅な伸びを記録した。一方で、米連邦準備制度理事会(FRB)がインフレ指標として特に注視している変動の激しいエネルギーや食品を除いたコアCPIは前年比で+1.3%と、1月+1.4%から予想外に伸びが縮小し昨年6月来で最小となった。FRBの目標である2%には依然ほど遠く、市場が警戒していたインフレが急上昇している証拠にもならなかった。FRBが速やかに緩和策を縮小するとの思惑も後退した。
しかし、2月は大規模経済対策がまだ始まっていない。経済活動の再開に伴い今まで値引きが続いていた航空運賃などが正常な値に戻るようなパンデミックからの回帰『base effect』が予想される。加えて、1.9兆ドル規模の追加経済対策案が成立し、経済に組み込まれると、3月以降のインフレの一段の上昇は避けられない。今後は根深い低インフレから脱することができるかどうかが課題となる。段階的なインフレの上昇はむしろ健全で、経済には歓迎されると考えられる。

 

21年米企業利益見通し上方修正

2021年の米企業業績見通しを引き上げる動きが広がっている。予想外に好調となった20年第4・四半期の企業決算や、米景気回復を巡り楽観的な見方が増していることが背景にある。リフィニティブによると、先週5日時点で、S&P総合500種株価指数構成企業の21年予想増益率は23.9%。20年の12%減から大きく盛り返すことが見込まれている。20年第4・四半期利益は5日時点で、前年同期比4.1%の伸びを記録した。市場予想は10.3%減だった。S&P構成企業による第1・四半期決算発表は4月半ばに始まり、前年同期比22%の増益となることが予想されている。

 

欧米市場イベント

○16:00   1月トルコ経常収支(予想:16.0億ドルの赤字)
○18:00   10-12月期南アフリカ経常収支(予想:1565億ランドの黒字)
○21:00   2月ブラジルIBGE消費者物価指数(IPCA、予想:前月比0.72%)
○21:45   欧州中央銀行(ECB)定例理事会、終了後政策金利発表(予想:0.00%に据え置き)
○22:30   ラガルドECB総裁、定例記者会見
○22:30   前週分の米新規失業保険申請件数/失業保険継続受給者数(予想:72.5万件/422.0万人)
○12日03:00   米財務省、30年債入札
○インド(シバ神生誕日)、休場

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