FITS エコノミックレポート

イールドスプレッドで3月11日の米国株市場を先取り!

 

★NY株式市場では、NYダウとS&P500指数は上昇する一方で、ナスダック総合指数はわずかに反落する展開となった。米国の新型コロナウイルス追加経済対策が成立する見通しとなったことで投資家心理が上向き、引き続き買いが優勢となった。2月米消費者物価指数(CPI)でエネルギーと食品を除くコア指数が予想を下回ると、インフレ加速による長期金利上昇への警戒感が薄れ、買いを後押しした。NYダウは一時550ドル超上昇する場面があった。一方、10年債入札が冴えず、長期金利が下げ止まるとハイテク株の比率が高いナスダック総合株価指数は小反落し、同4.99ポイント安の13068.83で取引を終えた。前日に大幅高となった反動で下げた。一方米長期金利は、2月米消費者物価指数(CPI)でエネルギーと食品を除くコア指数が予想を下回ると、インフレ加速による長期金利上昇への警戒感が薄れた。なお、注目されていた10年債入札は『まずまずの結果』と受け止められ、市場の一部では安心感が広がった。 今後も米長期金利の動向には注意が必要となる。イールドスプレッドからは、以前と比べて三指数ともかなり割高感が残っており、リスク回避の材料が出ると下落しやすい。

 

感染拡大が縮小することや新型コロナウイルスのワクチン・治療薬の投与で有効性が実証されるなど、終息の方向が出るまでは不安定な市場が続きやすい。しかし、追加経済対策期待や経済活動再開で先行きの景気回復の期待感が株価を押し上げている。ただ、米長期金利の上昇が止まらないことから、市場に警戒感が強まっている。米FRBが長期金利の上昇に懸念を示すまでは上昇基調が続く可能性があり、株価の下押し要因となりやすい。VIX指数は25.47から22.56へ低下した。VIX指数がえ22半ばで推移していることで不安定な値動きが継続しやすい。20を割れるまでは不安定な動きが継続する

 

NYダウの割高の目安は3.00%近辺、S&P500は3.00%割れ、ナスダックは1.5%以下が昨年からの割高の目安となっている。一方で割安の目安では、イールドスプレッドがNYダウ:4.0%台、S&P500:3.8%~4.0%台、NASDAQ:2.3%~2.5%台で割安感からの反発となりやすい。割安感となるイールドスプレッドを大幅に上回っていることから、相場が落ち着くと戻りも大きくなりやすい。

 

★米国市場のイールドスプレッドは、米国債金利と米国株益利回りを比較する指標である。株式市場は国債市場よりリスクが高いことから、株式市場に割高感が生じ国債市場に割安感が生じれば、投機筋は株式を売って国債を買う。また、国債市場に割高感が生じ株式市場に割安感が生じれば、国債を売却して株式を買うことになる。

そのため、株式市場の天底を探るひとつの参考指標となる。

 

米10年国債金利とNYダウ:2011/4/21以降の平均▲3.310%

・直近イールドスプレッド縮小:19/4/25-▲3.048%、20/09/1‐▲2.867%

                20/10/12-▲2.847%、21/1/11-▲2.611%

(NYダウが割高・米国10年債割安の状態)

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲4.226%、19/8/5-▲4.102%、

               20/2/28-▲4.541%、20/3/23-6.017%

(NYダウが割安・米国10年債割高の状態)

・3月9日:▲2.843%⇒3月10日:予想▲2.794%(前日比で縮小:割高)

 

3月10日のNYダウは続伸した一方で、米長期金利が低下したもののイールドスプレッドは前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は割高)した。平均値の▲3.310%から▲0.516%と平均値より下方かい離したことで割高になった。19年1月3日の大底▲4.226%から▲1.432%下回った。19年8月5日の大底▲4.102%を▲1.308%下回った。20年2月28日の大底▲4.541%から▲1.747%下回った。20年3月23日の6.017%から▲3.223%下回った。NYダウは、長期金利が小幅に低下したことや、1.9兆ドルのコロナウィルス救済法案が下院を通過し、今週中にバイデン米大統領が署名する見通しとなったことが支援となった。バイデン米大統領は月内に1400ドルの現金給付が始まるとした。NYダウは464.28ドル高(+1.46%)と4日続伸した。 終値は32297.02ドルと、初めて32000ドルを上回って終了した。

 

米10年国債金利とS&P500:11/4/21以降の平均▲2.773%

・直近イールドスプレッド縮小: 20/08/27-▲2.677%、20/10/12-▲2.664%

               20/12/08-▲2.666%、21/1/11-▲2.320%

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲3.869%、19/8/5-▲4.002%、

                19/8/15-▲4.179%、20/2/28-4.499%

               20/3/23-▲6.222%

・3月9日:▲2.756%⇒3月10日:予想▲2.745%(前日比で縮小:割高)

 

S&P500は上昇した一方で、米長期金利が低下したもののイールドスプレッドは前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は割高)した。平均値の▲2.773%から▲0.028%と平均値より下方かい離したことで割安になった。また、19年1月3日の大底となった▲3.869%を▲1.124%下回った。また、19年8月5日の大底となった▲4.002%を▲1.257%下回った。19年8月15日の▲4.179%を▲1.434%下回った。20年2月28日の大底▲4.499%から▲1.754%下回った。20年3月23日の6.222%から▲3.477%下回った。

 

米10年国債金利とNASDAQ:11/4/21以降の平均▲1.790%

・直近イールドスプレッド縮小:18/12/3-▲1.198%、20/12/4-1.351%

              21/1/11-1.066%、21/2/16-1.144%

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲2.179%、19/8/15-▲2.383%、

              19/8/15-▲2.498%、 20/3/16-▲4.094%

・3月9日:▲1.370%⇒3月10日予想▲1.385%(前日比で拡大:割安)

 

NASDAQはわずかに反落したうえ、米長期金利も低下したことでイールドスプレッドは前日比で拡大(米国10年債金利に対して米国株は割安)した。平均値の▲1.790%から▲0.405%平均値より下方かい離したことで割高になった。また、19年1月3日の大底となった▲2.179%に対しては▲0.794%下回った。19年8月5日の大底となった▲2.383%に対して▲0.998%下回った。19年8月15日の大底となった▲2.498%に対して▲1.113%下回った。20年2月28日の大底2.803%から▲1.418%下回った。20年3月16日の▲4.094%から▲2.709%下回った。

 

NASDAQのイールドスプレッドは、米長期金利が低下したうえ、株価もわずかに反落したことで拡大した。イールドスプレッドは以前より半分以下まで縮小しているため、引き続き割高感から利益確定売りが出やすい地合いとなっている。NASDAQのイールドスプレッドは、▲1.3%台後半まで縮小して推移している。そのため、割高感が続いていることから、ネガティブなニュースが出ると引き続き下落しやすい地合いが続いている。また、2%台まで拡大するまでは割安とは言えない。

 

※PERの発表が時間的に遅行することから、前営業日の数値を使って当日終了時の予想を算定している。

 

毎日イールドスプレッドを掲載していますので、米国株式市場の買われ過ぎ・売られ過ぎなど過熱感の目安としてください。

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