FITS エコノミックレポート

朝の市場コメント!

米国株式市場は下落:不調な経済指標結果や米長期金利上昇を嫌気

NYダウは121.43ドル安の31270.09ドル、ナスダックは361.03ポイント安の12997.75ポイントで取引を終了した。テキサス州などがパンデミック対策の全規制を解除すると発表したほか、バイデン米大統領が『5月末までに米国の成人全員分の新型コロナワクチンを確保できる』と表明したことで、ワクチン普及が米経済活動の正常化を促すとの期待が強まり景気敏感株が上昇した。ただ、2月ADP雇用統計や2月ISM非製造業景況指数が予想を下回ったほか、米長期金利の上昇を警戒し、ハイテク株に売りが集まると指数は失速した。NYダウは不安定な値動きが続き、終盤売りが加速した。VIX指数は24.10から26.67へ上昇した。

 

NY外国為替市場:ロンドンフィキシングに絡んだドル売りが重石

ドル/円は、米10年債利回りが一時1.49%台まで上昇したことを受けて円売り・ドル買いが先行した。2月ADP全米雇用報告で政府部門を除く非農業部門雇用者数が11.7万人増と予想の17.7万人増を下回ったことが分かると106.80円付近まで下押ししたものの、米長期金利が上昇傾向を強める中、一時107.15円と昨年7月23日以来の高値を付けた。2月米サービス部門PMI改定値が59.8と予想の58.9を上回ったことも相場の支援材料になった。ただ、同日高値107.23円が目先レジスタンスとして意識されると上値が重くなった。前日と同様に、ロンドン16時(日本時間1時)のフィキシングに絡んだドル売りのフローが観測されたことも相場の重石となり、106.85円付近まで押し戻された。24時発表の2月米ISM非製造業指数が55.3と予想の58.7を下回ったことも次第に意識された。なお、米連邦公開市場委員会(FOMC)で投票権を有するエバンズ米シカゴ連銀総裁は『インフレが急激に上昇する著しいリスクは見られない』『長期金利の上昇は前向きな経済的兆候であるという見解を共有』と述べたほか、『イールドカーブ・コントロールについては考えていない』『米連邦準備理事会(FRB)は必要に応じて債券購入の満期を延長する可能性がある』などと発言した。

 

ユーロ/ドルは、米長期金利の上昇に伴うユーロ売り・ドル買いが先行し一時1.2043ドルと日通し安値を付けたものの、ロンドン・フィキシングにかけては全般ドル安が進んだため、1.2081ドル付近まで下げ渋った。フィキシング通過後は1.20ドル台後半で次第に値動きが細った。FRBはこの日公表した米地区連銀経済報告(ベージュブック)で、『米経済活動はほとんどの地区で緩慢に拡大』『企業は今後数カ月間の見通しに楽観的で住宅需要も堅調』『労働市場の改善ペースは鈍い』などと指摘した。 

 

米国株相場の下落を受けて、新興国通貨は軟調だった。トルコリラは対ドルで一時7.4990リラ、対円で14.26円まで下落したほか、南アフリカランドは対ドルで15.1130ランド、対円で7.08円までランド安に振れた。また、メキシコペソは対ドルで20.9988ペソ、対円で5.09円まで売り込まれた。

 

NY原油先物市場は大幅反発:協調減産継続報道で買い戻し

NY原油先物市場は59.24ドル-61.99ドルのレンジ相場となった。今週の石油輸出国機構(OPEC)プラス会合では協調減産の緩和が予想されていたが、一部通信社が関係筋の話しとして『4月も産油量は据え置かれる』と報じると、買い戻しが急速に強まった。米エネルギー省(EIA)週間石油在庫統計の発表後に値を下げるも直ぐに反発し、一時62ドル手前まで上げ幅を拡大した。EIA在庫統計では、原油が2156.3万バレルの積み増しと1982年以来の積み増し幅を記録した。一方、ガソリンは1362.4万バレルの取り崩しと1990年以来の取り崩し幅となった。アジア市場で59.24ドルまで下げたが、まもなく反転し、ロンドン市場の序盤にかけて61ドル台まで買われた。OPECプラスによる供給増加観測を受けて60.22ドルまで売られたが、需要増加への期待は残されており、一時61.99ドルまで一段高となった。

 

NY金先物市場は反落:米長期金利上昇を嫌気した売り

NY金先物市場は1699.40-1739.10ドルのレンジ相場となっている。米長期金利が再び上昇傾向を強めると金利を生まない金への売り圧力が強まり、中心限月としては約9カ月ぶりに1700ドルを一時割り込んだ。ただその後、為替相場でドルがユーロに対し売り戻されるとドル建ての金先物も下値を切り上げた。アジア市場で1739.10ドルまで買われたが、米長期金利の動向を意識して上値は重くなった。長期金利が一段高となったことから、ニューヨーク市場で一時1699.40ドルまで下げ幅は拡大。その後1723.80ドルまで戻したが、戻り売りが観測されており、時間外取引では1710ドル台で推移している。 

 

米国債券市場は大幅反落:米インフレ観測が強まり売り優勢

米国債券市場で長期ゾーンは大幅反落(利回りは上昇)した。米10年債利回りは前営業日比0.09%高い(価格は下落)1.48%で終了した。米インフレ観測が急速に強まる中、米連邦準備理事会(FRB)の金融緩和が想定よりも早く修正される可能性が意識されて、債券売りが広がった。 

 

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