FITS エコノミックレポート

朝の市場コメント!

米国株式市場は下落:金利急上昇への警戒感から売り優勢

NYダウは559.85ドル安の31402.01ドル、ナスダックは478.54ポイント安の13119.43ポイントで取引を終了した。週次新規失業保険申請件数が市場の予想以上に減少したほか、追加経済対策や新型コロナワクチンの普及による景気回復への期待が下支えとなり、米10年債利回りが一時1.6085%前後と昨年2月以来約1年ぶりの高水準に上昇すると、高PER(株価収益率)銘柄が多いハイテク株を中心に売りが広がった。金利急騰で投資家心理が悪化したことで、このところ上昇していた景気敏感株にも売りが波及し、ダウ平均は一時660ドル超下げた。特に割高感が意識されやすいハイテク株を中心に売りが加速し、ナスダック総合指数指数は一時、約4%下落した。VIX指数は21.34から28.89へ大幅上昇した。

 

NY外国為替市場:米長期金利の大幅上昇でドル買い優勢

ドル/円は、米債券市場では米景気回復や国債増発を見込んだ債券売りが優勢となり、米10年債利回りが節目の1.50%を突破し一時1.6085%前後まで急騰した。為替市場では米長期金利の大幅上昇に伴うドル買いが広がり、一時106.40円と昨年9月4日以来約半年ぶりの高値を付けた。前週分の米新規失業保険申請件数や1月米耐久財受注額などが予想より強い内容だったことや、米7年債入札が『不調』だったことも債券売り(金利は上昇)を誘った。なお、ブラード米セントルイス連銀総裁は『最近の米10債利回り上昇は妥当な市場の反応』との認識を示し、インフレ期待の高まりを目指す米連邦準備理事会(FRB)にとっては『歓迎すべき動向だ』と発言した。ジョージ米カンザスシティ連銀総裁は『債券利回りの上昇は経済見通しに対する楽観的な見方を反映している』と述べ、『FRBが対応する必要ない』との考えを示した。また、ボスティック米アトランタ連銀総裁も『利回りは歴史的にみて依然として非常に低い』『FRBが現時点で利回りに対応する必要はない』などと語った。 

 

ユーロ/ドルは、欧州時間発表の独・ユーロ圏経済指標が予想を上回ったことを受けてユーロ買いが先行した。ユーロ/ポンドの上昇につれたユーロ買いも相場を押し上げて、一時1.2243ドルと1月8日以来の高値を付けた。ただ、米長期金利の急騰をきっかけに全般ドル買いが強まると、一時1.2161ドル付近まで押し戻された。なお、ユーロ/ポンドは大幅に上昇した。前日に一時0.8541ポンドと約1年ぶりの安値を更新するなど、足もとで相場下落が続いていただけに、本日はショートカバーが優勢となり一時0.8697ポンドまで値を上げた。 

 

NY原油先物市場は続伸:景気回復期待からの需要拡大思惑からの買い

NY原油先物市場は62.65ドル-63.81ドルのレンジ相場となった。ロックダウン(都市封鎖)の緩和やワクチン普及を背景とした景気回復期待の高まりや、米南部テキサス州を襲った寒波の影響を受けている石油関連施設の操業再開の遅れなどを手がかりに底堅く推移した。ただ、為替市場でドル安・ユーロ高が失速し、米株が大幅安となったことが重しとなり、上値は限られた。米長期金利の急上昇を警戒して62.65ドルまで下落したが、将来的な需要増大の思惑は残されており、一時63.81ドルまで買われた。通常取引終了後の時間外取引では株安を意識して上げ渋り、主に63ドル台前半で推移した。

 

NY金先物市場は続落:米長期金利上昇を嫌気した売り

NY金先物市場は1763.90-1805.00ドルのレンジ相場となった。米長期金利が大幅に上昇し、金利を生まない金は売りが継続した。また、ドルが対ユーロで上昇し、ドル建ての金に割高感が生じたことも売りを後押しした。アジア市場の序盤で1805.00ドルまで買われたが、米金利高を警戒してじり安の展開となった。ニューヨーク市場で1763.90ドルまで下落。通常取引終了後の時間外取引では1770ドル近辺で推移した。

 

米国債券市場は続落:米景気回復や国債増発を見込んだ売り優勢

米国債券市場で長期ゾーンは大幅に続落(利回りは上昇)した。米10年物国債利回りは前営業日比0.15%高い(価格は下落)1.52%で終了した。米景気回復や国債増発を見込んだ債券売りが出たほか、前週分の米新規失業保険申請件数などが予想より強い内容となったことが債券売りを誘った。米7年債入札が『不調』だったことも債券売りを促し、『売りが売りを呼ぶ展開』となった。10年債利回りは一時1.6085%前後と昨年2月以来の水準まで急騰した。市場関係者からは『米連邦準備理事会(FRB)が長期金利上昇に警戒感を示していないこともあり、水準はさらに切り上がりそうだ』との声が聞かれた。5年債利回りは一時0.8617%前後まで急上昇した。市場では『一部ストラテジストが警戒する重要水準0.75%を上回ったことで売りが加速した』との指摘があった。 

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