FITS エコノミックレポート

イールドスプレッドで2月4日の米国株市場を先取り!

 

★NY株式市場では、NYダウとS&P500指数は続伸した一方で、ナスダック総合指数は小反落する展開になった。前日までの2日間で大幅に上昇した反動で利食い売りなどが先行すると、NYダウは一時160ドル超下げた。ただ、そのあとは予想を上回ったADP雇用統計やISM非製造業景況指数を受けて下げ止まり、米追加経済対策への期待から徐々に買い戻しが優勢になった。前日に好決算を発表したグーグルの親会社アルファベットの急伸などが相場を下支えし、一時100ドル超上昇する場面があった。ナスダック総合指数は史上最高値付近で伸び悩んだ。一方米長期金利は、米追加経済対策の成立に伴う国債増発観測が相場の重しとなったほか、1ADP全米雇用報告や1月米ISM非製造業指数が予想を上回ったことが債券売り(利回りは上昇)を誘った。今後も米長期金利の動向には注意が必要となる。イールドスプレッドからは、以前と比べて三指数ともかなり割高感が残っており、リスク回避の材料が出ると下落しやすい。

 

感染拡大が縮小することや新型コロナウイルスのワクチン・治療薬の投与で有効性が実証されるなど、終息の方向が出るまでは不安定な市場が続きやすい。また、新型コロナウイルス感染『第3波』が懸念されている。しかし、追加経済対策期待や経済活動再開で先行きの景気回復の期待感が株価を押し上げている。そのため、期待感が薄れるような事態となると、再び下値模索の動きとなりやすい。VIX指数は25.56から22.91と低下した。VIX指数が22台後半で推移しているほか、株価の日中ボラティリティも高まっていることで、引き続き不安定な動きが続く。VIX指数が20を割れてくるようなら市場が安定化してきたことになる。

 

NYダウの割高の目安は3.00%近辺、S&P500は3.00%割れ、ナスダックは1.5%以下が昨年からの割高の目安となっている。一方で割安の目安では、イールドスプレッドがNYダウ:4.0%台、S&P500:3.8%~4.0%台、NASDAQ:2.3%~2.5%台で割安感からの反発となりやすい。割安感となるイールドスプレッドを大幅に上回っていることから、相場が落ち着くと戻りも大きくなりやすい。

 

★米国市場のイールドスプレッドは、米国債金利と米国株益利回りを比較する指標である。株式市場は国債市場よりリスクが高いことから、株式市場に割高感が生じ国債市場に割安感が生じれば、投機筋は株式を売って国債を買う。また、国債市場に割高感が生じ株式市場に割安感が生じれば、国債を売却して株式を買うことになる。

そのため、株式市場の天底を探るひとつの参考指標となる。

 

米10年国債金利とNYダウ:2011/4/21以降の平均▲3.313%

・直近イールドスプレッド縮小:19/4/25-▲3.048%、20/09/1‐▲2.867%

                20/10/12-▲2.847%、21/1/11-▲2.611%

(NYダウが割高・米国10年債割安の状態)

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲4.226%、19/8/5-▲4.102%、

               20/2/28-▲4.541%、20/3/23-6.017%

(NYダウが割安・米国10年債割高の状態)

・2月2日:▲3.196%⇒2月2日:予想▲3.152%(前日比で縮小:割高)

 

2月3日のNYダウは続伸したうえ、米長期金利も上昇したことでイールドスプレッドは前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は割高)した。平均値の▲3.313%から▲0.161%と平均値より下方かい離したことで割高になった。19年1月3日の大底▲4.226%から▲1.074%下回った。19年8月5日の大底▲4.102%を▲0.950%下回った。20年2月28日の大底▲4.541%から▲1.389%下回った。20年3月23日の6.017%から▲2.865%下回った。NYダウは、経済指標が市場予想を上回る強い結果となったほか、追加経済対策への期待や市場予想を上回る増収増益決算を発表したアルファベットの大幅高が支援となったものの、週初からの大幅高による利益確定売り圧力の高まりが上値圧迫要因となった。ダウ平均は上下にもみ合った後、36.12ドル高(+0.12%)と小幅に3日続伸して終了した。

 

米10年国債金利とS&P500:11/4/21以降の平均▲2.772%

・直近イールドスプレッド縮小: 20/08/27-▲2.677%、20/10/12-▲2.664%

               20/12/08-▲2.666%、21/1/11-▲2.320%

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲3.869%、19/8/5-▲4.002%、

                19/8/15-▲4.179%、20/2/28-4.499%

               20/3/23-▲6.222%

・2月2日:▲2.939%⇒2月3日予想▲2.898%(前日比で縮小:割高)

 

S&P500は小幅続伸したうえ、米長期金利も上昇したことでイールドスプレッドは前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は割高)した。平均値の▲2.772%から+0.126%と平均値より上方かい離したことで割安になった。また、19年1月3日の大底となった▲3.869%を▲0.971%下回った。また、19年8月5日の大底となった▲4.002%を▲1.104%下回った。19年8月15日の▲4.179%を▲1.281%下回った。20年2月28日の大底▲4.499%から▲1.601%下回った。20年3月23日の6.222%から▲3.324%下回った。

 

米10年国債金利とNASDAQ:11/4/21以降の平均▲1.795%

・直近イールドスプレッド縮小:18/12/3-▲1.198%、20/12/4-1.351%

              20/12/4-1.351%、21/1/11-1.066%

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲2.179%、19/8/15-▲2.383%、

              19/8/15-▲2.498%、 20/3/16-▲4.094%

・2月2日:▲1.299%⇒2月3日予想▲1.261%(前日比で縮小:割高)

 

NASDAQは小幅反落した一方で、米長期金利が上昇したことでイールドスプレッドは前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は割高)した。平均値の▲1.795%から▲0.534%平均値より下方かい離したことで割高になった。また、19年1月3日の大底となった▲2.179%に対しては▲0.918%下回った。19年8月5日の大底となった▲2.383%に対して▲1.122%下回った。19年8月15日の大底となった▲2.498%に対して▲1.237%下回った。20年2月28日の大底2.803%から▲1.542%下回った。20年3月16日の▲4.094%から▲2.833%下回った。

 

NASDAQのイールドスプレッドは、米長期金利が上昇した一方で、株価は小反落したものの縮小した。イールドスプレッドは以前より半分以下まで縮小しているため、引き続き割高感から利益確定売りが出やすい地合いとなっている。NASDAQのイールドスプレッドは、▲1.2%台半まで縮小して推移している。そのため、割高感が続いていることから、ネガティブなニュースが出ると引き続き下落しやすい地合いが続いている。また、2%台まで拡大するまでは割安とは言えない。

 

※PERの発表が時間的に遅行することから、前営業日の数値を使って当日終了時の予想を算定している。

 

※毎日イールドスプレッドを掲載していますので、米国株式市場の買われ過ぎ・売られ過ぎなど過熱感の目安としてください。

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