FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:売り一巡後は押し目買い流入

11日の米国株式市場は主要株価3指数が下落した。前週に最高値を付けたことから利食い売りが優勢となった。決算シーズンの開始が待たれる中、米議会でのトランプ大統領弾劾手続きにも注目が集まっている。これを受けて日本株は寄り付きは反落してスタートした。ただ、売り一巡後は押し目買いが流入し、下げ止まる展開となった。結局、前営業日比25円高の2万8164円と3営業日続伸した。1990年8月8日以来およそ30年5ヵ月ぶりの高値を上回った。

 

東京外国為替市場:材料難から104.20円台でもみ合う展開

ドル/円は、本邦輸入勢のドル買い・円売りや米長期金利が上昇したことに支えられ、104.30円付近へ値を上げた。日経平均がマイナス圏からプラス圏へ転じたことも、ドルの押し上げにつながった。しかし、前日の海外市場でつけた約1ヵ月ぶりのの高値104.39円が意識されると上げは一服した。午後は、手掛かり材料難から積極的な売り買いは目立たず、104.20円台を中心とした狭いレンジで取引された。ユーロ/ドルは、1.21ドル台半ばで小幅な値動きに終始した。

 

中国は脱ドルの動きを加速:ロシアと対ドル共同戦線構築

中国は最近、脱ドル化の動きを加速させている。中国人民銀行はドルの代替通貨とされる金を準備資産として増やしており、デジタル人民元の実験も積極的に行っている。また、中国とロシアは貿易決済面でドル決済システムに代替する制度の構築で合意し、中国はロシアとも対ドル共同戦線を構築中である。ロシア中央銀行は、人民元保有比率を徐々に引き上げている。

 

南ア国内材料:第3段階の規制の行方と予防的な金利引き下げによる思惑

南ア発のウイルス変異種の感染力が高いことが、ランドにとっては大きな痛手となっている。年末に第3段階まで規制が引き上げられたが、この第3段階の規制は15日を期限とし、同日に見直されることになっている。先週末には一時規制を昨年春のように最高水準まで上げるのではないかとの噂が流れており、再規制はランドの重石になる。 また、1月21日に行われる南ア準備銀行(SARB)の金融政策委員会(MPC)が予防的な金利引き下げに動くのではないかという思惑もありランドの上値を抑えている。

 

トルコリラの買い材料:UAEとの関係正常化や金融引き締めスタンス継続

トルコとリビア内戦などで対立していたアラブ首長国連邦(UAE)の外相が昨日、対トルコ関係正常化の意向を表明。湾岸諸国のなかで最大の対トルコ強硬派であるサウジからはまだ何も伝わってこないが、トルコ経済を支援するカタールと国交を再開しており、今後は態度を軟化させる可能性もある。エルドアン・トルコ大統領が、2021年の重要目標の1つとして『物価の安定』を挙げました。トルコ中銀の金融引き締めスタンスを容認となれば、早期の再利上げも期待され、そうなればリラの下値も限定的となる。またエルドアン大統領は、遅くとも今週金曜日までには新型コロナウイルスのワクチン接種が始まるとも述べている。

 

メキシコ国内の材料:ワクチン接種開始と金融政策に注目

メキシコ国内からの材料としては、メキシコの保健当局が4日に英製薬大手アストラゼネカなどが開発した新型コロナウイルスワクチンを承認したと発表した。すでに接種が開始されている米製薬大手ファイザーのワクチンに次ぐ承認となった。ファイザーのワクチン接種は最優先とされている医療従事者までにとどまっているが、今後一般市民向けに拡大することで深刻な感染状況の改善につながるか注目される。また、先週に発表された12月メキシコ消費者物価指数(CPI)前年比で3.15%となり、11月の3.33%から伸びが鈍化した。2カ月連続でメキシコ銀行(中央銀行)のインフレ目標(3.0%の±1.0%)内に収まっており、緩和サイクルを一時停止している中銀の金融政策に与える影響が注目されるところである。なお、次回会合は2月11日に開催予定となっている。

 

IMFの見通しでは21年後半に経済正常化を期待

国際通貨基金(IMF)の昨年10月見通しによれば、世界の経済成長率は20年の-4.4%から今年は5.2%へと急回復、先進国が-5.8%から3.9%、新興国・発展途上国も-3.3%から6.0%だから景気回復は全世界に満遍なく広がる。むろん、ワクチン普及が本格化すれば経済活動の正常化が期待される上、各国・地域の政府と中央銀行による未曾有の規模の財政金融政策に加え、特に米政権・議会のコロナ対策は第4弾、4兆ドルとGDP比20%に達し、米FRBは昨春3月以降9カ月間にドル供給を約25%増やした。結果、世界で投じられた財政支出は14兆ドル、金融緩和による過剰流動性は10兆ドルに上る。そうした中で21年後半に米消費者の繰り延ベ需要が経済部門の供給を大幅に上回る可能性が高く、ワクチン普及による経済正常化が期待される。

 

FOMCメンバーはよりハト派に傾斜:金融緩和の長期化観測

連邦準備制度理事会(FRB)は本年始めの連邦公開市場委員会(FOMC)を1月26日、27日に開催する。2021年のFOMCは恒久的に投票権を有するNY連銀のウィリアムズ総裁に加えて、エバンス・シカゴ連銀総裁やロックハート・アトランタ連銀総裁といったハト派メンバーが2020年のハーカー米フィラデルフィア連銀総裁、メスター・クリーブランド連銀総裁といった超タカ派として知られるメンバーに取って代わる。先週発表された12月雇用統計でも雇用者数は予想外に4月来のマイナスに落ち込んだ。先行きに期待が広がる一方で、FRBは長期にわたりゼロ金利を維持し、量的緩和も現行のペースで継続する可能性が強い。FRB高官らはQE縮小にはかなり時間がかかるとの見方を繰り返している。

 

米下院は13日にトランプ氏弾劾決議案採決

米下院議事運営委員会のマクガバン委員長は11日、下院がトランプ大統領に対する弾劾訴追決議案の採決を13日に行い、決議案は可決されるという見通しを示した。『非常に真剣かつ慎重に行動することが重要だ』とCNNとのインタビューで発言した。憲法修正25条に基づきトランプ氏の職務を停止するようペンス副大統領に求める決議案に共和党議員らは反対する見込みで、その場合、採決に向けた手続きを進め、24時間後には弾劾訴追に関する別の決議案を提出すると表明した。

 

欧米市場イベント

○19:00   ブロードベント・イングランド銀行(BOE)副総裁、講演
○21:00   11月インド鉱工業生産(予想:前年同月比▲1.0%)
○21:00   12月ブラジルIBGE消費者物価指数(IPCA、予想:前月比1.22%)
○23:35   ブレイナード米連邦準備理事会(FRB)理事、講演
○13日01:00   12月ロシア消費者物価指数(CPI)確報値
○13日01:00   ローゼングレン米ボストン連銀総裁、カプラン米ダラス連銀総裁、カシュカリ米ミネアポリス連銀総裁、講演
○13日02:20   デコス・スペイン中銀総裁、講演
○13日03:00   米財務省、10年債入札
○13日03:00   ジョージ米カンザスティ連銀総裁、講演

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