FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:高値警戒感強く利益確定売りで上値重い

米国株式市場では主要3指数が上昇、NYダウは史上初の3万ドルに乗せた。トランプ米大統領がバイデン次期政権への移行プロセス開始を許可したことや、バイデン氏が次期財務長官に連邦準備理事会(FRB)のイエレン前議長を指名するとの報道、新型コロナウイルスワクチン開発への期待が引き続き相場の支えとなった。昼過ぎに東京都が午後にも、飲食店などに28日から20日間程度、営業時間の短縮を再要請すると伝わると、先物主導で利益確定売りが広がり上げ幅を急速に縮めた。2日間で1000円を超える上昇幅となったことから高値警戒感も強く、利益確定の売り材料となった。結局、前営業日比131円高の2万6296円と続伸して終了した。

 

東京外国為替市場:上値を追う展開にはならず104円台半ばの展開

ドル/円は、本邦輸入勢などのドル買い・円売りは日経平均株価の大幅高に支えられ、104.60円付近まで上昇した。米長期金利が小幅に上昇したことも、ドルの押し上げにつながった。しかし、今晩の米国株価や米経済指標を見極めたいとのムードもあり、上値を追う動きは限られた。その後は、短期筋などから利益確定のドル売り・円買いが持ち込まれ104.50円付近へ下落した。午後は、日経平均株価の上げ幅縮小を睨みながら、104.40円台を中心にもみ合う展開となった。ユーロ/ドルは、1.1900ドル前後で小動きとなった。欧州勢待ちの様相となっている。

 

トルコ中銀の利上げだけではリラ買いも限界

通貨リラが市場の信認を得るには、トルコ中銀が実施した大幅利上げだけでは不十分とされ、エルバン新財務相のもとで新たな経済対策が待たれる。しかしながら、これまでのところ政権内からは楽観的な見通しは聞かれるものの、具体的な政策内容は伝わってきていない。財政赤字が拡大するなか(2000年前半からトルコ経済拡大の起爆剤となった)積極的な公共投資に頼ることもなかなかできない。 外国人投資家にとって、また資産をトルコ外に移しているトルコ国民や企業にとって、リラ買い戻しに繋がるような魅力的な政策が出せるかが今後の大きなポイントになる。また、トルコ中銀の外貨準備高不足は依然として深刻であり、こちらもリラを買い難くさせている。さらに、トルコと欧州連合(EU)の関係悪化懸念もリラの重石となっている。リビアへの武器密輸を疑われたトルコ船にドイツ軍が強制立ち入り検査をした件を巡り、トルコ独は互いに非難し合い、両者の溝が深まりつつある。独はEU内ではトルコに対し穏健派とされているが、今後の展開次第では独の姿勢が変わり、EUの対トルコ制裁実施を加速させてしまう可能性がある。

 

南ア10月のCPI結果次第では利下げ圧力高まる可能性も

昨日発表された南ア準備銀行(SARB)の中期予算政策声明(MTBPS)では、公的債務がGDPの82%に達する。SARBはこの『債務拡大が金融セクターに深刻な影響を与える』と発表している。短期的には上述の米政権交代の買いトレンドが継続されるが、中長期的には南アの債務超過のスピードには目を配る必要がある。本日は10月の消費者物価指数(CPI)が発表される。前年比では3.1%予想となっている。SARBの目標とする3-6%の間に収まれば問題はないが、先週のSARBの金融政策委員会(MPC)では5人中2人が利下げを主張したことで、もし3%を下回ると年初のMPCでは利下げ圧力が高まりランド/円の上値を抑えるかもしれない。

 

米国感謝祭に絡んだアノマリー:年末高が期待できる

相場のアノマリー分析に詳しいトレーダーズ・アルマナックによれば、米感謝祭前(25日)の水曜日と感謝祭(26日)の木曜日を挟んで(27日)金曜日までの株高には強いジンクスがあるという。1952年以降、S&P500指数は上昇が58回に対して下落は10回、平均上昇率は0.67%だった。金曜日から年末にかけては上昇45回、下落23回で、平均上昇率は1.5%を記録したとのことである。すでにS&P500指数は市場最高値を更新して堅調だが、1987円以降は33年間のうち25回は年末にかけて上昇したことから、年末高が期待される。

 

イエレン氏を待つ景気の失速と試される手腕

バイデン米政権で財務長官に就任するとみられるジャネット・イエレン前連邦準備制度理事会(FRB)議長にとって、新型コロナウイルス禍で打撃を受けた経済を立て直すことが喫緊の課題となる。だが、足元では景気が勢いを失いつつあるほか、議会が追加刺激策で合意できるかも不透明で、イエレン氏は就任早々、厳しい状況に直面しそうだ。上院で指名が承認されれば、イエレン氏は追加の経済対策を実現する上で重要な役割を担うことになる。とりわけ、ジョー・バイデン次期大統領が来年1月20日に就任するまでに追加刺激策を巡る議会の交渉がまとまらない場合には、一段と切迫性が増す。今夏にかけて始まった米景気の回復は、感染再拡大や雇用の伸び鈍化を受けて腰折れの兆しが出ている。また議会が今年に入り可決した支援策第1弾は大半が期限切れを迎えた。JPモルガン・チェースのエコノミストは先週、米経済が来年1-3月期(第1四半期)にマイナス成長に陥るとの予想を示している。

 

米国市場では7-9月国内総生産(GDP)改定値が公表

速報値は前期比年率+33.1%だった。改定値の数値は速報値から特に変わることはないと予想される。一部項目は上方修正されると予想されるが、下方修正される項目があるとの見方もあり、速報値と同水準か、小幅な修正にとどまる見込みである。

 

米国市場では10月耐久財受注が公表

9月実績は前月比+1.9%で市場予想を上回った。需要回復や在庫状況を受けて、製造業の業績は回復傾向である。航空機を除く非国防資本財(コア資本財)の受注も増加した。10月については在庫状況を受けた受注増が予想されるが、9月がやや高い伸びを記録しており、10月分の受注の伸び率は9月実績を下回る見込みである。

 

米国市場では10月OCEコア価格指数が公表

9月実績は前年比+1.5%だった。一段の雇用回復が個人消費を下支えするとみられる。9月は耐久財、消費財への支出が主に増加した。10月については消費財への支出増加が一服する可能性があるため、全体の価格指数は9月実績をやや下回る可能性がある。

 

欧米市場イベント

○未定   11月月例経済報告
○17:00   10月南アフリカ消費者物価指数(CPI、予想:前月比0.1%/前年比3.1%)
○18:00   ホルツマン・オーストリア中銀総裁、講演
○18:30   欧州中央銀行(ECB)、半期金融安定報告
○19:00   10-12月期南アフリカ経済研究所(BER)企業信頼感指数
○21:00   MBA住宅ローン申請指数
○22:30   7-9月期米国内総生産(GDP)改定値(予想:前期比年率33.2%)
           個人消費(改定値、予想:前期比年率40.9%)
           コアPCE(改定値、予想:前期比年率3.5%)
○22:30   前週分の米新規失業保険申請件数/失業保険継続受給者数(予想:73.0万件/602.0万人)
○22:30   10月米耐久財受注額(予想:前月比0.9%/輸送用機器を除く前月比0.5%)
○24:00   10月米個人消費支出(PCE、予想:前月比0.4%)
       10月米個人所得(予想:前月比横ばい)
       10月米PCEデフレーター(予想:前年比1.2%)
       10月米PCEコアデフレーター(予想:前月比横ばい/前年比1.4%)
○24:00   11月米消費者態度指数(ミシガン大調べ、確報値、予想:77.0)
○24:00   10月米新築住宅販売件数(予想:前月比1.5%/97.0万件)
○26日00:30   EIA週間在庫統計
○26日04:00   米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨(11月4日-5日分)

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