FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:売り一巡後は下げ渋る展開で底堅い

前日の米国株式相場がまちまちの展開となる中、NYダウ先物が軟調な動きとなったことを受け、日経平均株価は朝方から幅広い業種で売りが先行した。しかし、売り一巡後は下げ渋り、マイナス圏でもみ合う展開となった。市場からは、『引き続き、決算を材料視した物色の動きが相場を下支えする』との声が聞かれた。結局、前営業日比67円安の2万3418円と小幅続落して終了した。信用評価損益率は、23日申し込み時点でマイナス12.62%となり、前の週からマイナス幅が0.2ポイント悪化した。悪化は2週連続となった。

 

東京外国為替市場:心理的節目の104.00円が意識される

ドル/円は、欧州景気の減速を警戒したユーロ安・円高が波及、104.30円付近へじり安となった。本邦輸出勢から月末に絡むまとまったドル売り・円買いフローも観測された。午後に入っても軟調地合いは続き、104.21円付近まで下落した。ただ、心理的節目の104.00円が視野入りすると下げは一服、104.25円を挟んでもみ合いとなった。ユーロ/ドルは、フランスやドイツ新型コロナウイルスの感染者が急増し、都市閉鎖(ロックダウン)措置が検討されているため、1.17ドル台後半で上値の重い展開となった。

 

南アランドは本日神経質な値動きに

日本時間17時に南アの9月消費者物価指数(CPI)が発表される。市場予想は前年比で3.1%となっているが、これは南ア準備銀行(SARB)が目標とする3-6%の目標レンジの下限に近い予想となっている。もし3%を割り込むことになると、再利下げ観測も出てくることでランド円の上値を圧迫することになる。 また、ムボウェニ南ア財務相が中間予算(ミニバジェット)を発表する予定となっていることで、この予算にも注目が集まっている。昨日、予算発表を前に経営危機に陥っている南ア航空(SAA)のムゴドゥソ議長が辞任を表明した。SAAに関しては今回の予算で再び政府の救済策が発表されるとされているが、事前に議長が辞任することは想定外と言える。中間予算はどのように予算が配分されるのかが注目されているが、世界銀行から20億ドルの融資を受ける際に、破綻している国営企業に対してその融資を使用しないようにと釘を刺されている。ムボウェニ南ア財務相がどの程度、ドラスティックに予算を割り振るのかなども注目される。

 

トルコ財務相がリラ安容認発言でリラ売り加速


トルコ中銀が先週、市場の期待を裏切り、政策金利引き上げを見送ったことが依然としてリラの上値を抑えている。くわえて、トルコと欧州連合(EU)一部諸国や米国との対立激化懸念、ナゴルノ・カラバフ紛争などトルコ周辺の地政学リスクの高まりもリラ売り材料のままである。また、昨日は、アルバイラク・トルコ財務相が外国の投資家との会合で『競争力のある為替レートがトルコの輸出を拡大させる』と述べ、リラ安容認と捉えられたことも売りを加速させた。止まらないリラ売りを受け、一部の外国人投資家はトルコ政府が資本取引の規制に動くのではないかと警戒し始めた。ただ、これに対してアルバイラク財務相は昨日、資本規制をハッキリと否定した。もっとも、同財務相はリラ安への危機感はかなり薄く、トレンド転換の打開策を出す可能性も低い。

 

トルコで金への資金逃避が顕著:米国との関係悪化が要因

通貨安が進行するトルコで金への資金逃避が顕著になっている。金融情報会社のリフィニティブによると、直近8月の貿易統計でトルコの金輸入量は37.6トンと前月比で74%増となった。2018年1月以来約2年半ぶりの高水準となった。金の国際価格は8月に1トロイオンス2000ドル台を突破し史上最高値を更新した。リラ安が進むトルコでは現地通貨建て金価格はドル建てを上回って上昇したにもかかわらず金輸入は増加が続き、1~8月では前年同時期の2倍超の174トンとなった。金買いに走るのは当の中銀も同様である。金の国際調査機関のワールド・ゴールド・カウンシル(WGC)によると、トルコ中銀の金買いは1~8月で194トンと他の中銀から突出する。背景にはここ数年の米国との関係悪化があるとみられる。米国の制裁に備え、トルコは海外の銀行に預けていた金を着々とトルコ国内に持ち込んでいる。16年に16%だった国内保有比率は19年時点で80%まで上昇した。政治・経済情勢が不透明さを増すなか、トルコで金へと資金を逃避させる動きは今後も続きそうだ。

 

トルコ中銀が四半期インフレレポート発表:リラの値動きに注意!

本日、トルコ中銀が四半期インフレレポートを発表する。前回7月には20年末のインフレ見通しを4月予想時点の7.4%から8.9%に修正した(予想レンジは6.9%か10.9%)。ただし、これは新型コロナ感染の第2波に見舞われず、世界経済が回復し始めることを前提としていた。インフレレポートでトルコ中銀が現状をどのように捉えているか、年末までの残る2会合へのヒントとなるか注目される。本日はトルコ祝日(共和国宣言記念日前夜)だが、イスタンブール株式市場は現地時間10時から12時30分まで取引される。為替市場では欧州昼前ぐらいから流動性が徐々に薄くなってくると思われ、値動きには注意が必要となる。

 

米メキシコ湾岸石油生産の約半分が停止:ハリケーン接近の備え

米メキシコ湾岸のエネルギー各社や港湾当局が同湾上空を移動するハリケーン『ゼータ』への警戒態勢を強めている。英BP、米シェブロン、英蘭ロイヤル・ダッチ・シェルは27日、157の施設から作業員を退避させ、生産を大幅に削減した。パイプライン運営のエンブリッジENB.TOもルイジアナ州の天然ガス処理施設などから作業員を退避させている。米安全環境執行局(BSEE)によると、27日時点でメキシコ湾岸の石油生産の49%、天然ガス生産の55%が停止しているという。米国立ハリケーンセンター(NHC)によると、ゼータは27日午前にユカタン半島を通過後、時速65マイル(100キロ)に風力を弱めたが、メキシコ湾中央に移動しながら時速85マイルに再び加速する見通しだ。28日には米沿岸部にハリケーンまたはそれに近い勢力で接近する可能性があり、NHCはルイジアナ州からミシシッピ州とアラバマ州の州境にかけての一部の地域にハリケーン注意報を出している。

 

好調な米住宅市場と9月耐久財受注では鈍化傾向を確認

米8月S&PコアロジックCS20都市住宅価格指数は前年比+5.18%と、2018年8月来で最大の伸びを記録した。米連邦住宅金融局(FHFA)が発表した8月FHFA住宅価格指数は前月比+1.5%で、伸びは鈍化予想に反して7月+1.1%から拡大し、過去最大を記録した。回復が停滞する米国経済の中で住宅市場が引き続き唯一明るいセクターであることを新たに証明した。9月耐久財受注速報値は前月比+1.9%と伸びは8月+0.4%から拡大し、予想+0.5%を上回ったが、変動の激しい輸送用機を除いた9月耐久財受注速報値は前月比+0.8%と、8月+1.0%から鈍化。国内総生産(GDP)の算出に用いられる製造業出荷・資本財(航空機を除く非国防)速報値は前月比+0.3%と、8月+1.5%から伸びが鈍化しマイナスに落ち込んだ4月来で最低となり、7-9月期の成長を抑制する。

 

欧米市場イベント

○16:00   9月独輸入物価指数(予想:前月比▲0.3%/前年比▲4.8%)
○16:45   10月仏消費者信頼感指数(予想:93)
○17:00   9月南アフリカCPI(予想:前月比0.3%/前年比3.1%)
○20:00   MBA住宅ローン申請指数
○20:15   デコス・スペイン中銀総裁、講演
○23:00   カナダ銀行(BOC、中央銀行)、政策金利発表(予想:0.25%で据え置き)
○23:30   EIA週間在庫統計
○24:00   マックレムBOC総裁、記者会見
○29日02:00   米財務省、5年債入札
○29日06:00頃  ブラジル中銀、政策金利発表(予想:2.00%で据え置き)
○トルコ株式市場は短縮取引(共和国宣言記念日前夜)
〇英国と欧州連合(EU)の首席交渉官級による協議(ロンドン、最終日)

 

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