FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:持ち高調整の売り優勢

前日の米国株式相場が軟調に推移したことを受け、日経平均も朝方は小幅安で取引がスタートしたが、その後は好決算を発表したファーストリテーリングが最高値を更新したことで日経平均を下支えしたが、その後は利益確定売りに押され上げ幅が縮小したことにつれ、日経平均もマイナスに転じた。午後は、TOPIXの下落率が日銀ETF購入基準0.5%に満たず、日銀ETF買い期待が萎み短期筋の利益確定売りに押された。週末で持ち高を減らす動きが出たことも相場の重石となった。結局、前営業日比96円安の 2万3410円と続落して終了した。

 

★東京外国為替市場:ドル/円は105円円前半で上値重い展開

ドル/円は、週末を控えた持ち高調整などのドル売り・円買いに押され、105.25円付近へ下落した。米追加経済対策を巡る与野党の協議が難航していることやトランプ米政権が対中強硬姿勢を崩していないことも、リスク回避の円買いを誘った。午後もこの流れは続き、日経平均株価のさえない動きを眺めてさらにドル売り・円買いが進み、105.19円付近まで値を下げた。しかし、本日はジョンソン英政府がEUとの通商交渉を巡り、協議を継続するか否かを発表するため、結果を見極めたいとの雰囲気から下げは一服した。その後は、値ごろ感からドルを買い戻す動きも見られ、105.25円を挟んでもみ合いとなった。ユーロ/ドルは、欧州で新型コロナウイルスの感染者が急増しており、ユーロ圏経済が落ち込むとの警戒感から1.17ドル台前半で上値が重い展開となった。

 

中国は景気回復続くもディスインフレ圧力がくすぶる展開

年明け以降の中国は新型コロナウイルスの感染拡大を受けて景気が大きく下振れしたが、その後は感染収束や経済活動の正常化により景気は底入れして影響を克服している。国慶節連休を前に企業マインドは幅広く改善しており、連休にはペントアップ・ディマンドも重なり消費は活況を呈するが、回復の動きにバラつきもみられる。中間層以上で活況な動きの一方、低所得者層などは苦境に直面する難しい状況が続いている。

9月のインフレ率は生活必需品の物価下落を受けて前年比+1.7%に鈍化したほか、コアインフレ率は同+0.5%と過去最低水準での推移が続く。川上の物価である生産者物価は前年比▲2.1%とマイナスが続き、内需の弱さを反映して出荷価格は下落傾向が続くなど、先行きの物価の重石になると見込まれる。当面の中国景気は回復が進む一方、雇用回復の弱さを反映してディスインフレ基調が続く難しい状況が続く

 

コロナ感染拡大でECB追加緩和の思惑広がる

欧州では新型コロナウイルス感染が再び拡大傾向にある。イタリアでは1日の感染数が前日比20%増となった。これを受けてドイツ、フランス、英国など欧州各地で夜間外出禁止令や域内の行き来で隔離条件をつけるなど経済活動を再び妨げる。回復が再び停滞するため欧州中央銀行(ECB)は追加緩和の導入を強いられる可能性が強まった。ラガルド総裁は『経済に必要な支援を継続する準備がある』と再表明した。指標や為替を綿密に見直し、必要とあれば全手段を修正する準備があるとした。経済の見通しが示される12月の会合でパンデミック緊急国債購入プログラム(PEPP)を拡大、延長するとの見通しが強まりつつある。そのため、今月末に開催する理事会では政策が据え置かれる見通しだが、年末の追加緩和を織り込むユーロ売り圧力が強まりやすい。

 

南アの新たな経済対策について

15日はラマポーザ南ア大統領が議会で演説で、新型コロナウイルスの特別補助金を3カ月延長することや、80万人の新たな雇用創出計画などを発表した。しかし、事前にある程度の内容が伝わっていたこともあり、市場は大統領の発言に反応薄だった。またアドバルーンを打ち上げるのは良いのだが、実際問題として雇用を含め計画通りに進むのかが全く不透明とも言える。実際の計画やその予算の割り振りは28日に延期された中期予算の発表をみるまでは市場も反応が難しい。

◆ラマポーザ南アフリカ大統領(新たな経済対策について)
「新型コロナウイルスの特別補助金を3カ月延長する」
「インフラ事業を急速に発展させる」
「2年間のエネルギー供給を当てにできる」
「80万人の雇用を創出」
「GDPを10年間にわたって平均3%まで押し上げる」
「4年間で1兆ランドのインフラ・投資を見込む」

 

トルコの外貨準備高は年初来から半分まで減少

15日にトルコ中銀が発表した9日時点の外貨準備高(グロス、金保有高除く)は411.2億ドルと前週比0.7%減、年初来では約半分まで減少した。トルコ周辺の地政学リスクの高まりなどで外国からの投資が減っているだけではなく、国内のドル化への動きも止まらない。金融当局によるドル売り・リラ買い介入の効果も薄いなか、来週22日(日本時間20:00時)の中銀会合前に投機筋による仕掛け的なドルの上値攻めには注意が必要となる。

 

米国市場では9月小売売上高が公表

8月実績は4ヵ月連続で増加したものの、伸び率は+0.6%まで鈍化している。ウイルスの感染流行が続いており、個人消費は回復途上にあることから、9月については衣料品などの売上が伸び悩み、8月実績と同程度か、若干上回る伸びにとどまる可能性がある。

 

米国市場では9月鉱工業生産が公表

8月実績は前月比+0.4%だった。ハリケーンの影響で石油やガスの採掘が一時的に減少した関係で鉱業は落ち込み、鉱工業生産の伸び率は大幅に鈍化した。9月については、鉱業は持ち直す見込みだが、製造業の生産水準がさらに高まる状況ではないことから、全体の伸び率は8月実績をやや上回る水準にとどまる見込みである。

 

欧米市場イベント

○18:00   8月ユーロ圏貿易収支(予想:季節調整前151億ユーロの黒字/季節調整済180億ユーロの黒字)
○18:00   9月ユーロ圏消費者物価指数(HICP)改定値(予想:前年比▲0.3%)
○18:00   9月ユーロ圏HICPコア改定値(予想:前年比0.2%)
○21:30   8月対カナダ証券投資
○21:30   8月カナダ製造業出荷(予想:前月比▲1.4%)
○21:30   9月米小売売上高(予想:前月比0.7%/自動車を除く前月比0.5%)
○22:15   9月米鉱工業生産指数(予想:前月比0.5%)
         設備稼働率(予想:71.9%)
○22:35   ブラード米セントルイス連銀総裁、講演
○22:45   ウィリアムズ米ニューヨーク連銀総裁、講演
○23:00   8月米企業在庫(予想:前月比0.4%)
○23:00   10月米消費者態度指数(ミシガン大調べ、速報値、予想:80.5)
○17日05:00   8月対米証券投資動向
○欧州連合(EU)首脳会議(ブリュッセル、最終日)
○英国、EUに対する今後の対応を発表
○17日 ニュージーランド総選挙

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